でんち・デンチ・電池【NEXcell】

電池って何?どんな電池があるの?環境にいい電池って?ネクセルの扱う電池って?
電池から人生までも話しましょう。

リチウム空気電池の最前線という本

2013年10月02日 | Weblog
今年8月出版した本です。本の概要:
 産業技術の発展にともない、人類の社会活動と生活に便利な移動型、あるいは携帯型電気製品が続々登場し、普及している。たとえば電気自動車や4G(=第4世代)移動通信システムに対応するためには、従来の蓄電池ではエネルギー密度不足が問題である。より高いエネルギー密度を有する蓄電池へのニーズが高まっている。
 現在あるクリーンな蓄電池の中で、重量あたりのエネルギー密度と体積あたりのエネルギー密度が一番高いのは、リチウムイオン電池である。しかしながら、そのリチウムイオン電池でも、現状のエネルギー密度は約120~160Wh/kgであり、電気自動車の長距離ドライブ、あるいは4G携帯電話の長時間使用にはまだ不足であると言われている。
これらのニーズに答えるために、リチウムイオン電池に、大幅なエネルギー密度の向上の可能性はあるのだろうか?
 リチウムイオン電池のエネルギー密度は、おもに正極の容量に制約されている。今開発している正極の活物質から考えると、リチウムイオン電池の理論エネルギー密度の限界は約250 Wh/kgになると言われている。極端に容量が大きな活物質は、現在のところ、まだ開発されていないため、大幅なエネルギー密度の向上には制約がある。
 そこで、正極材として空気中の酸素を用いるリチウム空気電池では、活物質である酸素は電池セルに含まれておらず、空気中に無尽蔵に存在するので理論的に正極の容量が無限となり、大容量電池技術として注目されている、その中でも、とくにリチウム空気電池は、近年、日本国内のみではなく、欧米、中国、韓国など海外の大学、研究機関、企業も、エネルギーに関する重要なテーマとして、次々にリチウム空気電池のプロジェクトをスタートし、真剣に研究を行っている。その進展も著しく進んでいる。
 急速に発展する研究環境の中で、リチウム空気電池と金属空気電池の研究開発についてより理解いただくために、リチウム空気電池の現状、構造、特徴、問題点などを本書にまとめた。

                                      2013年8月 周豪慎(本書「はじめに」より)

著者一覧

 周 豪慎   (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 首席研究員,(兼)エネルギー界面技術研究グループ グループ長
 石原 達己  九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 主幹教授
 蓑輪 浩伸  日本電信電話(株) NTT環境エネルギー研究所 研究員
 林 政彦   日本電信電話(株) NTT環境エネルギー研究所 主任研究員
 林 克也   日本電信電話(株) NTT環境エネルギー研究所 主幹研究員
 小林 隆一  日本電信電話(株) NTT環境エネルギー研究所 主幹研究員
 劉 銀珠   (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 研究員
 金村 聖志  首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 教授
 張  涛   (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 エネルギー界面技術研究グループ
 北浦 弘和  (独)産業技術総合研究所 エネルギー技術研究部門 エネルギー界面技術研究グループ
 高羽 洋充  工学院大学 工学部 環境エネルギー化学科 准教授
靳 忠效   (株)ネクセル 代表取締役社長
島野 哲   住友化学(株) 筑波開発研究所 主任研究員
山口 滝太郎 住友化学(株) 筑波開発研究所 主席研究員
中根 堅次  住友化学(株) 筑波開発研究所 上席研究員
江頭 港   日本大学 生物資源科学部 准教授
阿久戸 敬治 島根大学 研究機構 教授
日比野 光宏 東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 上席研究員
水野 哲孝  東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻 教授

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