IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

アディオス、グリンゴ!

2006-03-17 13:46:03 | スポーツ
正直に告白すると、今日は朝から野球が頭から離れなかった。他力本願とはいえ、WBCでメキシコ代表がアメリカ代表に勝利すれば、日本代表の準決勝進出の可能性が高くなるわけで、やはり気になって仕方がなかったのだ。今日は米政府が「国家安全保障戦略」を発表し、将来的なイラン攻撃への懸念が国内メディアなどでも語られていたけど、今日のブログは野球に関する話題で行きたいと思います。ただ、「国家安全保障戦略」やイラン問題、中国問題などは、近いうちにこちらのメディアの扱いを紹介しようと思ってます。実は少し前に某夕刊紙で連載中のコラムでバリー・ボンズのステロイド疑惑を紹介したんだけど、MLB側がボンズに関する調査を実施するというニュースが16日に入ってきたので、今日はこのニュースを。まだクロかシロかも分からないため、彼のホームラン記録に関しては何も言いたくないけれど、彼がルースやアーロンと同じ尊敬を勝ち得れるのかは疑問だ。それに、マグワイアやパルメイロの時にも感じたんだけど、今のMLB機構では全てのステロイド剤使用調査が中途半端に終わってしまう気もしてならない。

サンフランシスコ・クロニクル紙の2人の記者によって5年以上におよぶステロイド使用疑惑を指摘されたサンフランシスコ・ジャイアンツのバリー・ボンズ外野手だが、MLBによる事実調査の実施に関して、彼自身も彼の代理人も何の連絡も受けていないと語っている。ボンズ選手は2001年にマーク・マグワイア選手のシーズン本塁打記録を抜きさる活躍を見せたが、3月23日に発売が予定される「ゲーム・オブ・シャドウズ(以下シャドウズ)」というノンフィクション本の中で、1998年から少なくとも5シーズン、定期的に数種類のステロイド剤やヒト成長ホルモンなどを摂取していたと指摘されている(MLBは2002年シーズン終了後、ようやく筋肉増強剤などの使用禁止に関して選手会と合意に達している)。バド・セリグ大リーグ機構コミッショナーは先週、「シャドウズ」の発売を待ち、それからボンズ選手に対する調査を開始するかどうか決めるとコメントした。しかし、MLB側はすでに調査準備に取り掛かった模様だ。

16日のニューヨーク・デイリーニュース紙は、MLB機構幹部の証言として、セリグ氏がすでにボンズ選手に対する調査の実施を決定したと報じている。デイリーニュース紙はセリグ氏が来週にも調査実施に関する発表を行うだろうと報じているものの、現時点で調査がMLB機構によって行われるのか、もしくは外部機関によって行われるのかは不明だ。また、WBCアメリカ代表チームへの合流が噂されたボンズ選手だが、16日になって「バック・マルチネス代表監督から何のコンタクトもなかった」と語り、代表チームへの合流を否定している。WBCでは主砲として期待されたボンズ選手は今年1月、「シーズン前の調整に専念したい」と語り、代表チームから離れていた。しかし、WBCの大会中にジョニー・デーモンとデレク・リーの2選手が負傷したこともあり、準決勝から代表チームに復帰するのではという噂が存在していた。

すでに膝の手術を3度行っているボンズ選手は、昨シーズンわずか14試合にしか出場しておらず、今季のオープン戦もわずかに2試合の出場にとどまっている。メジャーリーグの歴史を見ても、700本以上の本塁打を記録した選手はボンズ選手を含めて3人しか存在せず(残りの2人はベーブ・ルースとハンク・アーロン)、メジャー最高記録であるアーロンの通算本塁打数755本への到達までに、ボンズ選手はさらに47本のホームランを打たなければならない。前出の「シャドウズ」は、ボンズ選手が1998年からウィンストロールと呼ばれる強力なステロイド剤を使用し始めたと指摘しており、このステロイド剤は以前にドーピングが発覚したラファエル・パルメイロ選手も使用していたとされる。また、ボンズ選手のトレーナーがサンフランシスコのエイズ患者(処方箋が支給されるため)を経由してヒト成長ホルモンを入手していた疑惑も本には書かれており、来週の発売に注目が集まっている。

おととい紹介した俳優ジョージ・クルーニーのブログ記事。有名ブログ「ハフィントン・ポスト」にコラムを寄稿したクルーニーが、「愛国心」という踏み絵に怯える民主党の政治家達を痛烈に批判した内容だったんだけど、16日になって「僕はこのブログ記事を書いていない」というコメントを発表している。さらに今日になって分かったのが、クルーニー本人のコラムだと信じられていた問題の記事が、彼が過去に行ったインタビュー(CNNのインタビュー番組と英ガーディアン紙で)における発言をまとめただけという事実だった。クルーニーはインタビューでの発言をまとめたハフィントン・ポストの記事を掲載前にチェックしており、掲載そのものには問題ないと答えていたんだけど、その記事を「本人が書いた記事」として掲載されるとは思ってもいなかったようだ。僕も、やはりこれを彼のコラム記事とは絶対に言えないと思うし、アメリカのメディア関係者が絶えずチェックするほど影響力の大きいハフィントン・ポストがこんな事をするなんて、どうにも情けなくなる。


写真:2004年に撮影されたボンズ選手のシルエット (AFP通信より)

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