IPSO FACTO

アメリカの首都ワシントンで活動するジャーナリストの独り言を活字化してみました。気軽に読んでください。

タバコを吸ってくれてアリガトウ

2006-10-14 12:12:13 | スポーツ
少し前のブログでも紹介したように、アメリカ国内の学校で1週間のうちに3件もの銃撃事件が発生して、ワシントンでもブッシュ政権関係者による緊急会議なんかが開かれたりもしていた。僕は日本の夕刊紙に連載しているコラムの中で、ウィンスコンシン州の州議会で教師が武装する権利を認める法案が提出されるかもしれないと最近書いたんだけど、テキサスではもっと凄い事になっていたよう。フォートワース郊外のバールソンという町では、地元の学区にある全ての公立学校で生徒を対象にした護身術の訓練がスタートしている。AP通信などの記事によると、訓練ではコロンバイン高校銃撃事件などを想定して、生徒達に手足だけではなくペンやベルトなどを使って侵入者と闘う方法もレクチャーされ、インストラクターにはイギリス軍の予備役少佐も名を連ねている。こういったレクチャーが逆に校内暴力を増加させてしまうという懸念もあるようだけど、今後こういったレクチャーが各地で実施されていくかもしれない…。さて、今日は11日にマンハッタンで発生した小型機衝突事故に関するニュースを。

11日にニューヨークのマンハッタン東部で発生した小型飛行機の衝突事故では、事故機に搭乗していたニューヨーク・ヤンキースのコリー・ライドル投手の死亡が確認されたが、12日にはもう1人の犠牲者の名前も明らかになっている。ニューヨーク市警察によると、亡くなったのはセスナ機などの操縦インストラクターとして働いていたタイラー・スタンガーさんで、カリフォルニアの地元紙「サン・ガブリエル・バレー・トリビューン」によると、スタンガーさんは17歳の時に操縦免許を取得し、南イリノイ大学で航空経営学の学位を取得していたのだという。9月8日付のニューヨーク・タイムズ紙は小型機の操縦を趣味としていたライドル投手へのインタビュー記事を掲載しており、記事の中ではカリフォルニア南部に自宅のあるライドル投手とスタンガーさんが約1年前に出会った様子などが紹介されている。ライドル投手は約8ヶ月前に小型機の操縦免許を取得していた。

ヤンキースタジアム内にあるライドル投手のロッカーの向かい側には、今も全く使用されていないロッカーがあり、そのロッカーを最後に使っていたのは70年代に活躍したチームキャプテンのサーマン・マンソン捕手だった。マンソン選手は1979年オーナーのジョージ・スタインブレナー氏によって永久欠番にされている。12日付のニューヨーク・タイムズ紙によると、ヤンキースがプレーオフでタイガースに敗れたため、ライドル選手は8日にヤンキースタジアムを訪れ、ロッカーを整理しながら何人かの記者と会話を楽しんでいたのだという。会話の内容は小型機の操縦についてだった。ライドル選手は記者らに対し、国家安全運輸委員会(NTSB)のウェブサイトでマンソン選手の事故に関する報告書を読んだ事を明かし、同じようにセスナ機の操縦中に事故死したジョン・F・ケネディJr.に関する報告書も読んでいたと語った。9月8日のニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたインタビュー記事の中で、ライドル選手はこれまでに95時間程度の単独飛行を行ったと語り、セスナ機の操縦がストレス解消にもなると説明していた。

マンハッタンでの事故をうけて、連邦航空局(FAA)は13日、ニューヨーク・マンハッタンのイースト・リバー周辺での固定翼機の飛行を禁止すると発表している。これまではイースト・リバー沿いの飛行が認められていたが、これからはヘリコプター以外がこの周辺を飛ぶ事は原則的に禁止となる。ライドル選手とスタンガーさんが死亡した今回の事故では、現在も解明されていない謎が幾つか存在し、事故機を操縦していたのがどちらだったのかさえ、まだ判明していない。ライドル選手の遺族はMLB機構側から150万ドル程度の保険金をもらえる予定だが、ライドルさん本人が事故機を操縦していたと証明された場合、今回のケースは保険金支払いの適用外となる。事故発生前、ライドル選手らはマンハッタン上空を旋回飛行していた模様で、自由の女神や国連ビルなどの周辺上空を飛行していたと当局は発表している。

この1週間で3本の映画を見た。3本とも友人から薦められていた作品で、タイトルを紹介すると、「ラッキー・ナンバー・スレヴィン」、「サンキュー・フォー・スモーキング」、そして「ダウン・イン・ザ・バレー」というラインナップ。どの作品も凄く面白く、「スナッチ」のアメリカ版程度にしか考えず見た「ラッキー・ナンバー・スレヴィン」のストーリーが意外な方向に展開していく様子にはいい意味で驚かされたんだけど、ブログを読んでくれている方にぜひ見てもらいたいのが、「サンキュー・フォー・スモーキング」だ。今年もすでに200本近い映画を見てきたけど、この作品は間違いなく今年見た作品ではトップ3に入ると思う。ストーリーなんだけど、タバコ産業の大物ロビイストを中心に描かれる人間模様で、渋めのキャスティングにも好感の持てるコメディ。ここで内容を書くよりも、ぜひ実際に見てほしい作品で、主人公がカリフォルニアで映画業界のフィクサーと出会うシーンなんかはジャック・エイブラモフを思い出してしまうほど。一番最後のラインが気に入ってて、主人公が「マイケル・ジョーダンはバスケをやって、チャールズ・マンソンは人を殺して、そして僕は喋るのだ。人には、皆なんらかの才能がある」とナレーションで語る部分は凄く印象的だった。

写真:11日にマンハッタンで発生した小型機衝突事故で、事故機の残骸によってフロントガラスにダメージを受けたタクシー (AP通信より)


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3 コメント

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Unknown (KK)
2006-10-14 21:25:53
小型機の事故は、亡くなった選手に焦点があたってますが、マンションの住人も災難ですね。



いつも映画情報とか嬉しいです。何をみようか迷うことなく、次回はThank you for smoking 見てみます。変わったタイトルですね。
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Thank you for smoking (ダイゴ)
2006-10-15 05:33:50
ちょうどその映画昨日ネットフリックスから届いたところです。僕もどこかの映画のプレビュー観て気に留まってた映画だったので…。たのしみです。最近映画も観る時間が無いんだけど…。ところで最近気になる映画でロビン・ウイリアムスのMan Of The Year。みたいけど、ベビーシッター雇ってまで観る価値あるか現在検討中。
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Unknown (keiko)
2006-10-16 13:03:31
私もみましたーおもしろいですよね
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