ボストンにはビッグ・ディグっていう大型トンネルがあって、空港と市周辺を結ぶこのトンネルの全長は5.6キロにもなる(ハイウェイ部分も含む)。1985年に出された見積もりでは総工費が25億ドル程度だったらしいけど、2003年暮れに最後の工事が完了した時、総工費はなぜか146億ドルにまで膨れ上がっていた。僕がボストンにいた頃から、ビッグ・ディグを「金の無駄遣い」と批判する声が少なくなかったけれど、オープン後はトンネル内で水漏れがいくつも発見されて、安全面での不安も懸念されていた。そんな中、10日夜にビッグ・ディグの中で事故が発生し、38歳の女性が死亡している。この女性が夫の運転する車でローガン空港に向かっていた時、突然トンネルの天井が崩れ落ち、車が下敷きになったそうだ。奇跡的にも彼女の夫は一命を取り留めている。水漏れといい、今回の事故といい、1兆6千億円近くかかったこのトンネルで手抜き工事が行われていたような気がするのは、僕だけじゃないと思う。さて、今日はイラクで発生した殺人事件で、新たに5人の米兵が逮捕されたというニュースを。
イラク駐留米軍は9日、今年3月にバグダッド南方にあるマハムディヤで発生したイラク人家族殺害事件で、新たに米兵5人を逮捕したと発表した。5人のうち4人は14歳のイラク人少女を強姦し、彼女とその家族を殺害した容疑がかけられており、有罪の場合には死刑が宣告される可能性も高い。5人目の逮捕者は事件の詳細を知りながらも通報を怠っていたとして、職務怠慢容疑で逮捕されている。今年3月の事件では、14歳の少女が両親と妹の前で5人の米兵にレイプされ、その後少女と家族は殺害されている。米軍は今月3日に第101空挺師団に所属していた21歳のスティーブン・グリーン容疑者を逮捕したが、これまで共犯者とされる人物の情報は公開されてこなかった。法廷資料によると、イラクから戻ったグリーン容疑者はケンタッキー州のフォート・キャンベル基地に勤務していたが、最近になって「人格障害」を理由に軍を名誉除隊していた。
今回、性的暴行および殺人の容疑で新たに逮捕されたのはポール・コルテス、ジェームズ・バーカー、ジェッシ・スピールマン、ブライアン・ハワードの4人で、上層部に虚偽の報告を行ったとされるアンソニー・ユリベ伍長も職務怠慢容疑で逮捕されている。バグダッドの米軍広報官によると、ユリベ容疑者は事件に直接関与はしていなかったとの事だ。グリーン容疑者と仲間の3人はイラク人一家4人が暮らす民家に侵入後、室内にあったライフル銃を使って4人を射殺している。犯行に使用されたカラシニコフ銃は近くの用水路に捨てられ、返り血を浴びたグリーン容疑者らの衣類は焼却されたのだという。犠牲者には5歳の少女も含まれていた。グリーン容疑者は3日、ノースカロライナ州シャーロットにある連邦裁判所に出廷したが、裁判がケンタッキー州で行われることが決まったため、身柄を移されている。
司法省高官が3日にCNNに語ったところによると、すでに除隊しているグリーン容疑者は民間人として裁かれる予定で、連邦法では元軍人が海外で犯した罪を民間人として裁くことが可能なのだという。有罪の場合、グリーン容疑者にも死刑が求刑される可能性が高い。米兵によるイラク人殺害事件は以前から地元住民らによって指摘されており、米軍は数ヶ月前から内部調査を開始している。マハムディヤ事件以外にも、4人のイラク人を殺害した疑いで、11人の米兵が起訴されている。また、イラク西部アンバル県にある町ハディサでは昨年11月、米海兵隊員によって地元住民24人が殺害された疑惑が浮上しており、アメリカ国内メディアは1968年にベトナムのミライ村で発生した米軍兵士による虐殺事件の再来として大々的に報じている。
この前のブログにも書いた「米軍内部で白人至上主義者が増えている」という民間団体の報告が気になって、時間を見つけては関連資料に目を通している。95年のオクラホマ連邦政府ビル爆破事件の主犯が軍隊にいた時に極右思想に目覚めたって言う話はこのブログにも書いたけれど、94年にはジョージア州フォート・ベニング基地に勤務していた5人の兵士が爆薬やマシンガンをアラバマ州の極右組織「アーリア人国家戦線」に横流しようとして逮捕されている。そういえば、アメリカ国内で大きな勢力をほこる「アメリカナチス党」も元海軍少佐のジョージ・ロックウェルによって作られたものだった(この組織は80年代まで僕が今住んでいるアパートから歩いて5分の場所に事務所を構えていた)。もう少し資料がそろえば、取材もしてみたいと思っているんだけど、こういった白人至上主義者が再び米軍の中で増え始めているかもしれないという報告はすごく気になる。イラクや、アフガニスタン、それから日本にも駐留している奴がいるかもしれないって事だから。
写真:10日夜にビッグ・ディグで発生した事故で、突然崩れ落ちた天井のコンクリート部分 (ロイター通信より)
イラク駐留米軍は9日、今年3月にバグダッド南方にあるマハムディヤで発生したイラク人家族殺害事件で、新たに米兵5人を逮捕したと発表した。5人のうち4人は14歳のイラク人少女を強姦し、彼女とその家族を殺害した容疑がかけられており、有罪の場合には死刑が宣告される可能性も高い。5人目の逮捕者は事件の詳細を知りながらも通報を怠っていたとして、職務怠慢容疑で逮捕されている。今年3月の事件では、14歳の少女が両親と妹の前で5人の米兵にレイプされ、その後少女と家族は殺害されている。米軍は今月3日に第101空挺師団に所属していた21歳のスティーブン・グリーン容疑者を逮捕したが、これまで共犯者とされる人物の情報は公開されてこなかった。法廷資料によると、イラクから戻ったグリーン容疑者はケンタッキー州のフォート・キャンベル基地に勤務していたが、最近になって「人格障害」を理由に軍を名誉除隊していた。
今回、性的暴行および殺人の容疑で新たに逮捕されたのはポール・コルテス、ジェームズ・バーカー、ジェッシ・スピールマン、ブライアン・ハワードの4人で、上層部に虚偽の報告を行ったとされるアンソニー・ユリベ伍長も職務怠慢容疑で逮捕されている。バグダッドの米軍広報官によると、ユリベ容疑者は事件に直接関与はしていなかったとの事だ。グリーン容疑者と仲間の3人はイラク人一家4人が暮らす民家に侵入後、室内にあったライフル銃を使って4人を射殺している。犯行に使用されたカラシニコフ銃は近くの用水路に捨てられ、返り血を浴びたグリーン容疑者らの衣類は焼却されたのだという。犠牲者には5歳の少女も含まれていた。グリーン容疑者は3日、ノースカロライナ州シャーロットにある連邦裁判所に出廷したが、裁判がケンタッキー州で行われることが決まったため、身柄を移されている。
司法省高官が3日にCNNに語ったところによると、すでに除隊しているグリーン容疑者は民間人として裁かれる予定で、連邦法では元軍人が海外で犯した罪を民間人として裁くことが可能なのだという。有罪の場合、グリーン容疑者にも死刑が求刑される可能性が高い。米兵によるイラク人殺害事件は以前から地元住民らによって指摘されており、米軍は数ヶ月前から内部調査を開始している。マハムディヤ事件以外にも、4人のイラク人を殺害した疑いで、11人の米兵が起訴されている。また、イラク西部アンバル県にある町ハディサでは昨年11月、米海兵隊員によって地元住民24人が殺害された疑惑が浮上しており、アメリカ国内メディアは1968年にベトナムのミライ村で発生した米軍兵士による虐殺事件の再来として大々的に報じている。
この前のブログにも書いた「米軍内部で白人至上主義者が増えている」という民間団体の報告が気になって、時間を見つけては関連資料に目を通している。95年のオクラホマ連邦政府ビル爆破事件の主犯が軍隊にいた時に極右思想に目覚めたって言う話はこのブログにも書いたけれど、94年にはジョージア州フォート・ベニング基地に勤務していた5人の兵士が爆薬やマシンガンをアラバマ州の極右組織「アーリア人国家戦線」に横流しようとして逮捕されている。そういえば、アメリカ国内で大きな勢力をほこる「アメリカナチス党」も元海軍少佐のジョージ・ロックウェルによって作られたものだった(この組織は80年代まで僕が今住んでいるアパートから歩いて5分の場所に事務所を構えていた)。もう少し資料がそろえば、取材もしてみたいと思っているんだけど、こういった白人至上主義者が再び米軍の中で増え始めているかもしれないという報告はすごく気になる。イラクや、アフガニスタン、それから日本にも駐留している奴がいるかもしれないって事だから。
写真:10日夜にビッグ・ディグで発生した事故で、突然崩れ落ちた天井のコンクリート部分 (ロイター通信より)