22日から2泊3日の予定でボストンに取材に行く事が決まり、今日は朝からボストンに住む友人や知人に電話をしていた。今回ステイするのは住宅地ブルックラインにあるB&Bで(郊外に住む友人が泊まっていけばとメッセージを残してくれていたんだけど、移動が大変なので、今回は申し訳ないけど断る事にした。なにしろ、ダウンタウンから12、3マイル離れているから…)、僕が学生時代の後半に住んでいたアパートから歩いて5分ほどの距離。そこから徒歩10分でボストン映画祭の出典作品が上映される映画館に到着し、23日はここが取材のメインとなる。このB&Bから目と鼻の先にある公園は、僕が毎週末サッカーの試合を行っていた場所で、時間があれば22日の夕方にでも友人がいないかを確かめに行こうと思っている。さらにその近くで美容室を経営するイタリア人好色爺のサルバトーレは元気にしてるのかな?取材と同じくらい、みんなの顔を見るのが楽しみになってきた。さて、今日は元米軍司令官らが公然とラムズフェルド国防長官の辞任を要求し始めたというニュースを。
イラク戦争の長期化とともに、アメリカ国内では司令官を含む一部の退役軍人らからラムズフェルド国防長官の辞任を求める声があがりはじめており、長官の「全体主義的な」リーダーシップが軍の任務にとって大きな支障となっているという主張も少なくない。12日にはジョン・バティステ元陸軍少将がCNNのインタビューで、「軍隊に尊敬を払える人物が舵取りをすべきです。新しくリーダーとなる人物にはチームワークの重要性を理解していただきたい」と語り、現在のラムズフェルド体制を批判した。バティステ元少将は2004年からの1年間、イラクに駐留する陸軍第一歩兵師団の指揮を執っていた。バティステ元少将のラムズフェルド嫌いは陸軍内では以前から周知の事実であり、イラクから帰還した昨年には昇進も約束されていたが、「現国防長官の下ではもう働けない」として申し出を固辞している。
バティステ元少将はイラク戦争が軍の根本的な原則に違反していると強調し、とりわけ統一されていない指揮系統を問題視している。また、別のインタビューでは十分な兵力を持たないままイラク占領を行っている現状を危惧しており、十分な訓練も受けないままイラクに送られた兵士の多さがアブ・グレイブ刑務所での囚人虐待事件などの原因でもあったと語っている(アブ・グレイブ事件に関与した米兵も含め、イラク駐留米軍には州兵出身者が多い)。バティステ元少将の他にも3人の退役司令官がラムズフェルド国防長官の辞任を声高に要求しており、2002年まで統合参謀本部で要職についていたグレゴリー・ニューボールド元海兵隊中将は今週号のタイム誌にエッセイを寄稿し、ラムズフェルド長官をロバート・マクナマラ元国防長官(ベトナム戦争初期の国防長官)に重ね合わせながら、長官とその側近の辞任を要求している。
少し前にはアンソニー・ジーニ元海兵隊大将が「平和のための戦い」という本を発表し、その中で「この3年間は全くの無駄であった」とラムズフェルド長官のイラク戦争計画を激しく非難している。しかし海兵隊出身者として初めて統合参謀本部議長を務めるピーター・ペース大将は11日、イラク戦争開始前にラムズフェルド長官の計画を批判もしくは反対した司令官がいなかった事実を挙げ、「今になってそういう事を言うのは間違っている」とコメントしている。また、退役軍人の中にもラムズフェルド擁護派は存在し、マイク・デロング元海兵隊大将はCNNのインタビューで、「ラムズフェルド長官に仕えるのは、企業で言えばCEOに仕えるようなもの。軍人はいつでも相応の準備をしなければならない」と語っている。ラムズフェルド長官は2005年2月にCNNに出演した際、アブ・グレイブ事件のあとでブッシュ大統領に辞任を2度申し出たが、2回とも大統領に固辞されたと語っている。また、13日にはホワイトハウスのスコット・マクレラン報道官が記者会見でラムズフェルド長官の進退問題に触れ、ブッシュ大統領は長官を全面的に支持していると語った。
少し前のブログでドキュメンタリー映画「アブダクション」について触れたけど、今日は夜7時過ぎから2時間ほど監督とプロデューサーにインタビューをする機会があった。クリス・シェリダンさんがプロデューサーとしてCBSに勤務しているため、本当に貴重な時間をいただいて感謝の気持ちで一杯なんだけど、妻であり監督のパティ・キムさんと一緒にインタビューに応じてくれた。ときおり世間話も混ぜながら(僕は10分間限定といったようなインタビューで無い限り、ギリギリまで時間を使い、その間に世間話などでコミュニケーションをとるスタイルを長く使っている。ワシントンではなかなか出来ないのも事実なんだけどね)、あっという間に2時間が過ぎてしまった。詳細は日本のラジオや月刊誌で触れたいので今は言いにくいんだけど、横田めぐみさんの話題から少し離れて、映画作りそのものに話題を移したとき、2人はインディペンデント作品の厳しさについても語ってくれた。
「この国では映画作りのハードルがそれほど高いわけではないけど、それだけ多くの人が映画制作に関わっているという事でもあって、映画祭などで認められる作品はほんの一握りなんだよ。家を抵当に入れて、車で寝起きしながらドキュメンタリーを作っている監督もいるけれど、人に何かを伝えたいという純粋な気持ちだけがモチベーションなのだと思う」、クリスさんがそう説明してくれた。幸いにも2人の映画は今年に入ってから4つの映画祭で受賞作品に選ばれており、パティさんは「送られてくる請求書の支払いくらいは大丈夫」とおどけてみせたけど、「アブダクション」の評判は上々だ。2人は22と23日にボストンでの上映会に参加し(僕のボストン取材もこれに関係している)、それから数日後にカナダのトロントで行われる映画祭に出席し、そのあともボルチモアやオーストラリアのシドニーで別の映画祭に参加する。「映画作りのあとは、いつも選挙キャンペーンのような生活さ」、そう笑うクリスさんだったけど、体だけは大切に!
写真: 11日にペンタゴンで記者会見を行うラムズフェルド長官とペース統合参謀本部議長 (ロイター通信より)
イラク戦争の長期化とともに、アメリカ国内では司令官を含む一部の退役軍人らからラムズフェルド国防長官の辞任を求める声があがりはじめており、長官の「全体主義的な」リーダーシップが軍の任務にとって大きな支障となっているという主張も少なくない。12日にはジョン・バティステ元陸軍少将がCNNのインタビューで、「軍隊に尊敬を払える人物が舵取りをすべきです。新しくリーダーとなる人物にはチームワークの重要性を理解していただきたい」と語り、現在のラムズフェルド体制を批判した。バティステ元少将は2004年からの1年間、イラクに駐留する陸軍第一歩兵師団の指揮を執っていた。バティステ元少将のラムズフェルド嫌いは陸軍内では以前から周知の事実であり、イラクから帰還した昨年には昇進も約束されていたが、「現国防長官の下ではもう働けない」として申し出を固辞している。
バティステ元少将はイラク戦争が軍の根本的な原則に違反していると強調し、とりわけ統一されていない指揮系統を問題視している。また、別のインタビューでは十分な兵力を持たないままイラク占領を行っている現状を危惧しており、十分な訓練も受けないままイラクに送られた兵士の多さがアブ・グレイブ刑務所での囚人虐待事件などの原因でもあったと語っている(アブ・グレイブ事件に関与した米兵も含め、イラク駐留米軍には州兵出身者が多い)。バティステ元少将の他にも3人の退役司令官がラムズフェルド国防長官の辞任を声高に要求しており、2002年まで統合参謀本部で要職についていたグレゴリー・ニューボールド元海兵隊中将は今週号のタイム誌にエッセイを寄稿し、ラムズフェルド長官をロバート・マクナマラ元国防長官(ベトナム戦争初期の国防長官)に重ね合わせながら、長官とその側近の辞任を要求している。
少し前にはアンソニー・ジーニ元海兵隊大将が「平和のための戦い」という本を発表し、その中で「この3年間は全くの無駄であった」とラムズフェルド長官のイラク戦争計画を激しく非難している。しかし海兵隊出身者として初めて統合参謀本部議長を務めるピーター・ペース大将は11日、イラク戦争開始前にラムズフェルド長官の計画を批判もしくは反対した司令官がいなかった事実を挙げ、「今になってそういう事を言うのは間違っている」とコメントしている。また、退役軍人の中にもラムズフェルド擁護派は存在し、マイク・デロング元海兵隊大将はCNNのインタビューで、「ラムズフェルド長官に仕えるのは、企業で言えばCEOに仕えるようなもの。軍人はいつでも相応の準備をしなければならない」と語っている。ラムズフェルド長官は2005年2月にCNNに出演した際、アブ・グレイブ事件のあとでブッシュ大統領に辞任を2度申し出たが、2回とも大統領に固辞されたと語っている。また、13日にはホワイトハウスのスコット・マクレラン報道官が記者会見でラムズフェルド長官の進退問題に触れ、ブッシュ大統領は長官を全面的に支持していると語った。
少し前のブログでドキュメンタリー映画「アブダクション」について触れたけど、今日は夜7時過ぎから2時間ほど監督とプロデューサーにインタビューをする機会があった。クリス・シェリダンさんがプロデューサーとしてCBSに勤務しているため、本当に貴重な時間をいただいて感謝の気持ちで一杯なんだけど、妻であり監督のパティ・キムさんと一緒にインタビューに応じてくれた。ときおり世間話も混ぜながら(僕は10分間限定といったようなインタビューで無い限り、ギリギリまで時間を使い、その間に世間話などでコミュニケーションをとるスタイルを長く使っている。ワシントンではなかなか出来ないのも事実なんだけどね)、あっという間に2時間が過ぎてしまった。詳細は日本のラジオや月刊誌で触れたいので今は言いにくいんだけど、横田めぐみさんの話題から少し離れて、映画作りそのものに話題を移したとき、2人はインディペンデント作品の厳しさについても語ってくれた。
「この国では映画作りのハードルがそれほど高いわけではないけど、それだけ多くの人が映画制作に関わっているという事でもあって、映画祭などで認められる作品はほんの一握りなんだよ。家を抵当に入れて、車で寝起きしながらドキュメンタリーを作っている監督もいるけれど、人に何かを伝えたいという純粋な気持ちだけがモチベーションなのだと思う」、クリスさんがそう説明してくれた。幸いにも2人の映画は今年に入ってから4つの映画祭で受賞作品に選ばれており、パティさんは「送られてくる請求書の支払いくらいは大丈夫」とおどけてみせたけど、「アブダクション」の評判は上々だ。2人は22と23日にボストンでの上映会に参加し(僕のボストン取材もこれに関係している)、それから数日後にカナダのトロントで行われる映画祭に出席し、そのあともボルチモアやオーストラリアのシドニーで別の映画祭に参加する。「映画作りのあとは、いつも選挙キャンペーンのような生活さ」、そう笑うクリスさんだったけど、体だけは大切に!
写真: 11日にペンタゴンで記者会見を行うラムズフェルド長官とペース統合参謀本部議長 (ロイター通信より)
日本にいるのとアメリカではやはり感じ方にも違いがあるのでしょうね。戦争に関する情報量も違いますでしょうから。
他の記事も大変興味深く読ませていただいています。
今後ともよろしくお願いいたします。...rtf