久しぶりにドラマにはまっている。1ヶ月ほど前になるんだけど、友人と話をしていた時に、HBOで放送されている「ザ・ワイアー」という刑事ドラマをすごく薦められた。この刑事ドラマ、タイトルからも分かるように盗聴を専門とするボルチモア警察の1部署に勤務する刑事達と、ボルチモア市内のゲットーをテリトリーとするギャング、犯罪の減少を政治利用しようとする地元の政治家達が主な登場人物で、今年ですでに4シーズン目に突入しているんだけど、今までの刑事ドラマにはない新鮮さがある。10年以上前に「NYPDブルー」をはじめて見た時も、それまでの刑事ドラマには無かったオリジナリティに感動した記憶がある(しかも、関西のローカル局で深夜に放送されていたんです)。この2週間ほど、好きな映画をほとんど見られない毎日だったんだけど、そろそろシーズン2のDVDを借りに行こうかなと思っている。日本でも放送されていたら、ぜひチェックしてみてください!さてさて、今日は中間選挙後のワシントンの動きに関するニュースを。
中間選挙は民主党が大躍進を見せ、上院・下院・州知事の3つで過半数を制した。ブッシュ大統領は選挙から2日後の9日にホワイトハウスで民主党のナンシー・ペロシ院内総務(アメリカ史上初の女性下院議長に就任する予定)らと会談を行い、超党派の連携が今後2年間は重要になってくると強調したが、議会で過半数を制した民主党の影響力が早速あらわれはじめたようだ。強硬派で知られるジョン・ボルトン国連大使は就任前に上院の支持を得ることができず、「期限付き」で国連大使を務めていたが、その任期も来年1月で切れる。民主党が過半数を制した上院でボルトン氏の国連大使就任が賛成される確立は極めて低く、また上院全体で行われる承認作業の前に予定されている上院外交委員会での承認でも、委員会のメンバーである共和党のリンカーン・チェイフィー議員(今回の選挙で民主党候補に敗れている)がボルトン氏の国連大使就任に反対すると「反旗を翻した」展開を見せている。国務省高官の1人はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、「ボルトン氏が承認される可能性はゼロでしょうね」とコメントしている。
ブッシュ政権への風当たりも、さらに厳しさを増しそうだ。民主党のヘンリー・ワックスマン下院議員は10日、ブッシュ政権による政権運営が議会内で調査の対象になるだろうと語っている。ロサンゼルス市商工会議所でスピーチを行ったワックスマン議員は、ハリケーン「カトリーナ」発生直後の現政権による対応や、イラクや対テロ戦争で巨額の契約を勝ち取った民間企業とブッシュ政権との関係、さらには環境保護局(EPA)や食品医薬品局(FDA)が打ち出した規制に対する政権側からの政治介入が調査の対象になるだろうと指摘している。「これから非常に興味深い時間を過ごす事になるでしょう。政府改革委員会には全てのトピックを調査できる権限があります。唯一問題があるとすれば、どれから手を付け始めればいいのかという悩みだけです」。ワックスマン議員はそう語っている。中間選挙から3日がたち、上院・下院の両方で民主党に過半数を奪われた共和党陣営の間では、「報復措置」として捜査や召喚が繰り返されるのではという懸念が存在している。
また、2年後に行われる大統領選挙に向けての動きも活発化しつつあるようだ。共和党からの出馬が噂されているジョン・マケイン上院議員だが、AP通信は10日に共和党関係者の話として、マケイン議員が来週にも大統領選挙検討委員会の立ち上げを行うだろうと報じている。この共和党関係者は匿名を条件に、「マケイン議員がすでに委員会用の銀行口座を開いた」と語っており、2000年の大統領選挙では共和党からの最終的な指名を勝ち取る事のできなかった同議員が、2008年の大統領選挙に再挑戦する公算が強くなった。マケイン議員の広報官はAP通信の取材に対し、「大統領選挙に出馬するかどうか、現時点では何の決定もありません」とコメントしているが、複数の情報筋はクリスマス休暇中に同議員が家族らと話し合いを行い、最終的な決断を下すだろうと語っている。
アメリカのテレビ・ジャーナリズムで伝説的な存在でもあったエド・ブラッドリー氏が、9日にニューヨークで他界した。ブラッドリー氏がもう65歳になっていたのにも驚いたんだけど、1年以上前から慢性リンパ球性白血病に侵されていた事も昨日のニュースで初めて知った。僕は98年にアメリカに来てから、CBSの報道番組「60ミニッツ」でレポーターをつとめる彼を初めて見たんだけど、「カッコいい!」といった印象を抱いたのを覚えている。フィラデルフィアの母子家庭で生まれ育ったブラッドリー氏は、苦学して大学に進み、卒業後は小学校の教師としてしばらく働いていた。教師時代にボランティアでラジオ局の手伝いをしていた時に、レポーターの仕事をオファーされ、それからしばらくしてCBSに入社したという変わった経歴の持ち主なんだけど、1972年からはベトナム戦争の特派員としてハノイに派遣されている(74年にはカンボジアで取材中、迫撃砲の攻撃にあい、重傷を負っている)。マイノリティが少なかった当時のテレビ報道の世界で、特派員として活躍したブラッドリー氏の功績は半ば伝説と化しているんだけど、それより以上に若いジャーナリスト達と積極的に交流し続けた彼の姿勢には心底感服する。謹んでご冥福をお祈りいたします。
写真:9日に亡くなったエド・ブラッドリー氏 (ロイター通信より)
中間選挙は民主党が大躍進を見せ、上院・下院・州知事の3つで過半数を制した。ブッシュ大統領は選挙から2日後の9日にホワイトハウスで民主党のナンシー・ペロシ院内総務(アメリカ史上初の女性下院議長に就任する予定)らと会談を行い、超党派の連携が今後2年間は重要になってくると強調したが、議会で過半数を制した民主党の影響力が早速あらわれはじめたようだ。強硬派で知られるジョン・ボルトン国連大使は就任前に上院の支持を得ることができず、「期限付き」で国連大使を務めていたが、その任期も来年1月で切れる。民主党が過半数を制した上院でボルトン氏の国連大使就任が賛成される確立は極めて低く、また上院全体で行われる承認作業の前に予定されている上院外交委員会での承認でも、委員会のメンバーである共和党のリンカーン・チェイフィー議員(今回の選挙で民主党候補に敗れている)がボルトン氏の国連大使就任に反対すると「反旗を翻した」展開を見せている。国務省高官の1人はニューヨーク・タイムズ紙の取材に対し、「ボルトン氏が承認される可能性はゼロでしょうね」とコメントしている。
ブッシュ政権への風当たりも、さらに厳しさを増しそうだ。民主党のヘンリー・ワックスマン下院議員は10日、ブッシュ政権による政権運営が議会内で調査の対象になるだろうと語っている。ロサンゼルス市商工会議所でスピーチを行ったワックスマン議員は、ハリケーン「カトリーナ」発生直後の現政権による対応や、イラクや対テロ戦争で巨額の契約を勝ち取った民間企業とブッシュ政権との関係、さらには環境保護局(EPA)や食品医薬品局(FDA)が打ち出した規制に対する政権側からの政治介入が調査の対象になるだろうと指摘している。「これから非常に興味深い時間を過ごす事になるでしょう。政府改革委員会には全てのトピックを調査できる権限があります。唯一問題があるとすれば、どれから手を付け始めればいいのかという悩みだけです」。ワックスマン議員はそう語っている。中間選挙から3日がたち、上院・下院の両方で民主党に過半数を奪われた共和党陣営の間では、「報復措置」として捜査や召喚が繰り返されるのではという懸念が存在している。
また、2年後に行われる大統領選挙に向けての動きも活発化しつつあるようだ。共和党からの出馬が噂されているジョン・マケイン上院議員だが、AP通信は10日に共和党関係者の話として、マケイン議員が来週にも大統領選挙検討委員会の立ち上げを行うだろうと報じている。この共和党関係者は匿名を条件に、「マケイン議員がすでに委員会用の銀行口座を開いた」と語っており、2000年の大統領選挙では共和党からの最終的な指名を勝ち取る事のできなかった同議員が、2008年の大統領選挙に再挑戦する公算が強くなった。マケイン議員の広報官はAP通信の取材に対し、「大統領選挙に出馬するかどうか、現時点では何の決定もありません」とコメントしているが、複数の情報筋はクリスマス休暇中に同議員が家族らと話し合いを行い、最終的な決断を下すだろうと語っている。
アメリカのテレビ・ジャーナリズムで伝説的な存在でもあったエド・ブラッドリー氏が、9日にニューヨークで他界した。ブラッドリー氏がもう65歳になっていたのにも驚いたんだけど、1年以上前から慢性リンパ球性白血病に侵されていた事も昨日のニュースで初めて知った。僕は98年にアメリカに来てから、CBSの報道番組「60ミニッツ」でレポーターをつとめる彼を初めて見たんだけど、「カッコいい!」といった印象を抱いたのを覚えている。フィラデルフィアの母子家庭で生まれ育ったブラッドリー氏は、苦学して大学に進み、卒業後は小学校の教師としてしばらく働いていた。教師時代にボランティアでラジオ局の手伝いをしていた時に、レポーターの仕事をオファーされ、それからしばらくしてCBSに入社したという変わった経歴の持ち主なんだけど、1972年からはベトナム戦争の特派員としてハノイに派遣されている(74年にはカンボジアで取材中、迫撃砲の攻撃にあい、重傷を負っている)。マイノリティが少なかった当時のテレビ報道の世界で、特派員として活躍したブラッドリー氏の功績は半ば伝説と化しているんだけど、それより以上に若いジャーナリスト達と積極的に交流し続けた彼の姿勢には心底感服する。謹んでご冥福をお祈りいたします。
写真:9日に亡くなったエド・ブラッドリー氏 (ロイター通信より)