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※ 練金術(ねりきんじゅつ)とは『週刊金曜日』練馬読者会的やり方という意味です。

◆ 住民無視の無謀すぎる関越「高架下利用」は 地域を壊す ◆

2013年02月17日 | これだけは言いたい!
   無謀な関越道練馬大泉「高架下利用」  

 中央道・笹子トンネルで死者九名という大事故が起きた。かねてより心配されていたインフラの老朽化によるものだ。この国の土木行政はフロー(新設)には熱心だが、ストック(既設)の維持管理は重視してこなかった。向こう50年、190兆円(国交省試算。330兆円という研究試算もある。)ともいわれる膨大な額の維持・補修についての政策も未定だし、「経済優先」の矛盾した施策すら強引に進められている。
 最近の高速道路高架下の「占用利用」策がその典型だ。関越道練馬大泉高架部では、1キロメートルにも及ぶ建物中心の巨大開発の計画案がさきごろ高速道路機構から発表された。地域の分断回避(一体的発展)のための高架化であったし、全国有数のすぐれた環境施設帯(交通公害に対する良好な住宅地環境の保全が目的)が設置される地域でもある。国交省通達の基準ではこうした高架部は占用対象外のはずだし、巨大開発による交通公害の誘引・発生は必然で、環境施設帯設置の目的にも反する。7000人以上の人びとが反対署名を行った。地元協議会との「合意」を定めた協定も無視された。

 どうしてこんな「無謀」がまかり通るのか。国交省が一昨年打ち出した「道路空間のオープン化」である。高架下空間などを「貸出す」政策である。もともとは、同省「新成長戦略」の目玉のひとつである。「商品化」「規制緩和」「市場優先」のあの新自由主義路線の典型である。だが、首都高速やJR山の手線では、高架下を店舗等が占用していて老朽化補修がままならないのが実情だ。他の高速道とて例外でない。高架部も急速に老朽化が進んでいる。占用による補修困難はやがて人命事故に直結しよう。

 老朽化問題もさることながら、それぞれの地域の環境も歴史も地域社会もズタズタに破壊する。大泉についていえば関越道前身の有料道路「東京川越道路」計画時から地域住民が環境保全に積極的に取り組んできた住宅地である。関越・練馬の占用利用は、全国15000箇所とされる高速道路高架下の大規模開発の先駆けとなる。利用占用の申請者は「住民無視」「上意下達」のあの練馬区で、国交省・機構・高速道路会社は、練馬区案の丸呑みでこの計画を強行しようとしている。経済論理優先で、老朽化の深刻な危険性にも向き合っていない。不誠実でなりふり構わぬ強引な占用(貸出し)計画案決定。審査過程も不透明だ。これではやがて全国に禍根をまき散らすことになろう。モラルハザードが極まると思うのは筆者だけではないだろう。

 こんな無謀な計画は練馬はもとより全国展開させてはならない。

                     三村翰弘(筑波大学名誉教授・関越道協議会共同代表)
当読者会にも参加のMMさんから投稿をいただいたので、参考のため、2013年1月25日付東京新聞の記事を付記する。



(練金術師)

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