7月3日、東京地裁で《函館市大間原発建設差し止め訴訟》(増田稔裁判長)の第1回口頭弁論が行われました。
この間(2014年6月末~7月)、集団的自衛権に関する応酬で、この国のあり様をひっくるかえす“ゴーイングアベノウエー”に対し、正面から立ちはだかる術を持たず、後追い報道=解説記事やQ&Aの多用など=に徹するメディア(マスゴミ?)にとって、原発再稼働問題、なかでも本件大間原発をめぐる函館市の動きなどは、客観性を装える絶好の材料だったのではないか?
ということで、東京地裁103号の大法廷は、約三分の一が報道席。運良く一般傍聴の抽選をくぐり抜けることができたので、その一端をレポート。
冒頭で工藤函館市長は、311以来函館市民・議会とともに大間原発建設の無期限凍結を求めてきた経緯や根拠とともに「極めて横暴で強圧的」な国とJパワーが一方的に建設工事を再開したことを指摘して30分をこえる意見陳述を行いました。
大間原発は規制委員会規制基準でなく、フクイチ過酷事故を引き起こした旧保安院審査基準で建設が進められていること、原子力発電未経験のJパワーが運用しようとするのは毒性が強く、高い危険性が指摘されているフルMOX(プルトニウムウラン混合燃料だけを使用)の世界未経験の原子炉であること、目前の津軽海峡や西側海域に巨大な活断層の可能性が指摘されていること、国際海峡である津軽海峡はテロ対策など大きな問題を抱えること、使用済MOX燃料は処理方法も処分地も決まっていないことなどについて渾身の陳述。
そして、大間原発でいったん過酷事故が起きれば、遮蔽物のない30km圏に位置する函館市を含む道南地域の農漁業や観光などの基幹産業に打撃を与え地域経済に壊滅的な被害をもたらすことになるばかりでなく、避難経路の不十分さから北斗市、七飯町を含む函館圏35万人の避難は不可能となるとの話しに、正面に座る3人の判事も真剣な面持ちで聴き入っていました。
この訴訟がこれまでの原発訴訟と大きく違う点は、道南の「中核市」である「函館市」自治体がみずから原告となって提起したという点で、「地方自治体の存立を維持する権利」に基づく主張が根幹になっているということです。安全神話を信じきっていた、脱原発派ではないという(自民党系)首長の、福島の未曾有の大惨事をみて放射性物質で自治体の機能が崩壊するという危機感を、ひしひしと感じることができました。
公判終了後に参議院議員会館で行われた報告集会は、原告函館市ではなく市民運動系(大間原発反対の会・関東)が主催。訴訟代理人の河合弁護士は福井地裁大飯判決に触れて、科学論争の迷路に入り込まないまっすぐの論理の説得性などを指摘。
(「新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり…」判決要旨より)
引き続き海渡弁護士も、完成されたばかりの原発を自治体提訴の裁判で廃炉にしたドイツの例をひいて、大間原発建設差し止めの現実可能性を強調。
そして、公判傍聴に駆けつけた小笠原厚子さんから、あさこはうすの現状に関して涙ながらに訴える場面があったことを付言しておきます。
※参考:函館市大間原発訴訟 訴状の概要(PDF)
(イトヤン)
大間原発予定地で反核フェスタ ⇒「大マグロック2014」は こちら
この間(2014年6月末~7月)、集団的自衛権に関する応酬で、この国のあり様をひっくるかえす“ゴーイングアベノウエー”に対し、正面から立ちはだかる術を持たず、後追い報道=解説記事やQ&Aの多用など=に徹するメディア(マスゴミ?)にとって、原発再稼働問題、なかでも本件大間原発をめぐる函館市の動きなどは、客観性を装える絶好の材料だったのではないか?
ということで、東京地裁103号の大法廷は、約三分の一が報道席。運良く一般傍聴の抽選をくぐり抜けることができたので、その一端をレポート。
冒頭で工藤函館市長は、311以来函館市民・議会とともに大間原発建設の無期限凍結を求めてきた経緯や根拠とともに「極めて横暴で強圧的」な国とJパワーが一方的に建設工事を再開したことを指摘して30分をこえる意見陳述を行いました。
大間原発は規制委員会規制基準でなく、フクイチ過酷事故を引き起こした旧保安院審査基準で建設が進められていること、原子力発電未経験のJパワーが運用しようとするのは毒性が強く、高い危険性が指摘されているフルMOX(プルトニウムウラン混合燃料だけを使用)の世界未経験の原子炉であること、目前の津軽海峡や西側海域に巨大な活断層の可能性が指摘されていること、国際海峡である津軽海峡はテロ対策など大きな問題を抱えること、使用済MOX燃料は処理方法も処分地も決まっていないことなどについて渾身の陳述。
そして、大間原発でいったん過酷事故が起きれば、遮蔽物のない30km圏に位置する函館市を含む道南地域の農漁業や観光などの基幹産業に打撃を与え地域経済に壊滅的な被害をもたらすことになるばかりでなく、避難経路の不十分さから北斗市、七飯町を含む函館圏35万人の避難は不可能となるとの話しに、正面に座る3人の判事も真剣な面持ちで聴き入っていました。
この訴訟がこれまでの原発訴訟と大きく違う点は、道南の「中核市」である「函館市」自治体がみずから原告となって提起したという点で、「地方自治体の存立を維持する権利」に基づく主張が根幹になっているということです。安全神話を信じきっていた、脱原発派ではないという(自民党系)首長の、福島の未曾有の大惨事をみて放射性物質で自治体の機能が崩壊するという危機感を、ひしひしと感じることができました。
公判終了後に参議院議員会館で行われた報告集会は、原告函館市ではなく市民運動系(大間原発反対の会・関東)が主催。訴訟代理人の河合弁護士は福井地裁大飯判決に触れて、科学論争の迷路に入り込まないまっすぐの論理の説得性などを指摘。
(「新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり…」判決要旨より)
引き続き海渡弁護士も、完成されたばかりの原発を自治体提訴の裁判で廃炉にしたドイツの例をひいて、大間原発建設差し止めの現実可能性を強調。
そして、公判傍聴に駆けつけた小笠原厚子さんから、あさこはうすの現状に関して涙ながらに訴える場面があったことを付言しておきます。
※参考:函館市大間原発訴訟 訴状の概要(PDF)
(イトヤン)
大間原発予定地で反核フェスタ ⇒「大マグロック2014」は こちら