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NEOMAP Web Forum

総合地球環境学研究所プロジェクト4-4「東アジアの新石器化と現代化:景観の形成史」のwebフォーラム

琵琶湖WG第1回会議に参加して その2

2008-08-05 05:34:52 | 琵琶湖WG
つづく瀬口氏の発表では、
景観とは何か、景観史研究の目的、「新石器化」研究の意義を最初に提示し、
琵琶湖・北陸WGでの取り組みと研究の展望を行った。

ここで大切なことを2点述べている。
景観史=人と資源、人と人の関係史と定義でき、
景観史から地球の環境と文明に関わる問題を考えることができるととた。
そして、「新石器化」とは、後氷期移行直後の適応過程のひとつと捉えている。

これにより、全世界で共通の環境変化を前提とすることができ、
地域を問わず比較できるようになる。
また、どのように生きていくのかというカテゴリであるので、
資源利用形態の変化として探究できるという。
このことは、新石器化のメルクマールが必ずしも
「農耕化」だけを指さないことを意味する。
この点で、NEOMAP年度報告にあった新石器化の指標=農耕の広がりという図式は、
慎重に扱う必要がある。

こうした「景観」と「新石器化」および研究目的を整理した方法論を論じた点で、
NEOMAP自体が景観形成史研究をいかに進めていくか、あらためて考えさせられた。
そこで、いま一度確認をしなければならないことがある。
NEOMAPは
東アジア内海の新石器化と現代化を景観学から明らかにするのか
東アジア内海の景観形成史を新石器化と現代化の分析を通して明らかにするのか
このことは、方法や方法論に大きく影響することから、再確認が必要だろう。
(makiba)

※理解に齟齬があればご指摘ください。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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makibaさん、あなたの理解に齟齬ありません (瀬口眞司)
2008-08-08 22:24:50
「新石器化」担当の瀬口です。と言いつつ、新石器化って、日本先史学をやっていると、もう一つしっくりこなくて困っていました。そもそもいわゆる「新石器化」って、西アジアやヨーロッパをベースに組み立てられた、後氷期適応の一形態、もしくはそのモデルであって、それが東アジアや日本列島に汎用できるとは限らないように思えて仕方なかったのです。資料をいじるたびに、東アジアには、そこに適したプロセスがあったように思えて仕方ないのです。研究史上でもしばしば指摘されてきたことですが。
 ですから、この学説史上の「新石器化」という現象・用語・モデルに呪縛されるのではなく、一度フラットな状態に戻した上で議論したくて、「新石器化」=「後氷期適応」の一形態と位置づけて議論を始めているところです。
 この方向性は、西アジアのモデルに当てはめるのではなくて、それと同時期に起きた適応の諸形態を読み取ろうとする道にほかなりません。日本先史学を志している方なら、多くの皆さんが実践しておられることでしょうが、そうすることで人類の過去の多様性がはじめて素直に掬い取れるようにおもえます。過去の多様性を素直に認めることは、現代社会の多様性と相互の理解を深める基盤ともなりましょう。これは未来可能性の大事な起点の1つですよね。
 「新石器化」を少し突き放し、相対視する。そうすると、NEOMAPもわざわざ東アジアを取り上げる意義がより深まるようにも思っているところです。
 そのように議論を進めていく上で、makibaさんと同様に、わたしもスタンスをそろそろ本格的に定める必要を感じています。すなわち、 
 A:景観の分析を通して新石器化(後氷期適応)の過程を明らかにするのか、
 B・新石器化(後氷期適応)の分析を通して景観変遷史を明らかにするの、と言った問題です。
 わたしの現在の方向性は、Aかも知れませんが、よろしかったでしょうか、ボス!?
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makibaさん、あなたの理解に齟齬ありません (瀬口眞司)
2008-08-08 22:22:57
 「新石器化」担当の瀬口です。と言いつつ、新石器化って、日本先史学をやっていると、もう一つしっくりこなくて困っていました。そもそもいわゆる「新石器化」って、西アジアやヨーロッパをベースに組み立てられた、後氷期適応の一形態、もしくはそのモデルであって、それが東アジアや日本列島に汎用できるとは限らないように思えて仕方なかったのです。資料をいじるたびに、東アジアには、そこに適したプロセスがあったように思えて仕方ないのです。研究史上でもしばしば指摘されてきたことですが。
 ですから、この学説史上の「新石器化」という現象・用語・モデルに呪縛されるのではなく、一度フラットな状態に戻した上で議論したくて、「新石器化」=「後氷期適応」の一形態と位置づけて議論を始めているところです。
 この方向性は、西アジアのモデルに当てはめるのではなくて、それと同時期に起きた適応の諸形態を読み取ろうとする道にほかなりません。日本先史学を志している方なら、多くの皆さんが実践しておられることでしょうが、そうすることで人類の過去の多様性がはじめて素直に掬い取れるようにおもえます。過去の多様性を素直に認めることは、現代社会の多様性と相互の理解を深める基盤ともなりましょう。これは未来可能性の大事な起点の1つですよね。
 「新石器化」を少し突き放し、相対視する。そうすると、NEOMAPもわざわざ東アジアを取り上げる意義がより深まるようにも思っているところです。
 そのように議論を進めていく上で、makibaさんと同様に、わたしもスタンスをそろそろ本格的に定める必要を感じています。すなわち、 
 A:景観の分析を通して新石器化(後氷期適応)の過程を明らかにするのか、
 B・新石器化(後氷期適応)の分析を通して景観変遷史を明らかにするの、と言った問題です。
 わたしの現在の方向性は、Aかも知れませんが、よろしかったでしょうか、ボス!?
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