同じゾロ目の三月三日、五月五日、七月七日に比べて、今は余り話題にしなくなったが、もともとは重陽(ちょうよう)の節句という菊の祝いの日なんだって、知らなかったのだけど。かつては菊酒を飲んで長寿を願ったらしいけど、そのために花屋で買うのもなんだしね。そうして買ってきた菊の花を杯に入れて酒を注いだら、農薬は大丈夫だろうかとか、余計な心配もする。菊正宗で代用しとくか。菊正宗にワンカップってあるのだろうか?だいだい菊といえば仏花でお葬式とかそういう連想になってしまうのは、菊にはちょっとかわいそうかもしれない。人に花をあげるとき、菊はまず使わないしね。あとは菊の御紋章ということで高貴で厳粛なイメージか。いずれにしてもカジュアルとかモダンとかのイメージで普段の生活の中で積極的に取り入れられてるということにはなっていない。花としてはゴージャスな美しさとかいろんな顔を持った花なのにね。Hな文庫本とかではまた別の意味を持つし。假屋崎氏などはどう考えているのだろう?ガキのころ京都に住んでいたので秋になると枚方パークの菊人形をよく見に行った。その年のNHKの大河ドラマがテーマになっていることが多かったような記憶があり、ドラマの主要なシーンが人形で再現され、その衣装が無数の菊の花でできているという特異な世界であった。韓国のキム・ミンという美人女優の顔も見ると枚方の菊人形を思い出す。子供心に、なんで菊じゃなきゃだめなんだろうかと思ったが、答えは今も知らない。今でも菊人形ってやっているのだろうか?枚方パークで菊人形見て、ジェットコースター乗って、京阪電車で京都に戻って三条か四条の不二家で海老フライを食べる、というのが子供の私の秋の極上の悦楽であった。菊をめぐる随想、以上。