外国人技能実習制度 建設業特例で通年8年間~長すぎる実習期間はトラブルを生む
最近の日本政府は、やりたい放題ではないか。率直に言えば、建設業の外国人技能実習生についてここまで拡大するとは想像していなかった。政府案を見て、このやり方は最悪だと思った。まさかここまで酷いとはというのが率直な感想だ。
政府は、人手不足が深刻な建設業で外国人労働者の受け入れを増やすため、2015年度から外国人技能実習制度を拡大させる方針を固めた。
実習生の在留期間について、現行の実習期間(最長3年)に加え、法相が指定する「特定活動」という資格で最長2年の在留延長を認め、建設現場で働けるようにするのが柱だ。
いったん帰国後、再来日して技能向上を目指す外国人の在留も認め、実習制度に基づく在留期間を通算8年まで延ばせる仕組みとする方針だ。
政府の拡大案では、実習生の再来日について、〈1〉1年未満に再来日した場合は最長2年〈2〉1年以上たって再来日した場合は最長3年――の特定活動をそれぞれ認める。
特定活動は1年ごとに延長する。
ソース 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140327-OYT1T00889.htm
ここで改めて「外国人技能実習生」について説明したい。JITOCO(公益財団法人国際研修協力機構の説明では、「開発途上国等には、経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識(以下「技能等」という。)を修得させようとするニーズがあります。我が国では、このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう「外国人技能実習制度」という仕組みがあります。
この制度は、技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っています。」 というものだ。
しかし、こんなものは建前であって、本音は労働力が欲しいのだ。ただし、日本は韓国のような単純労働も受け入れる労働ビザはない。そこで美辞麗句な言葉で飾り立てているのがこの「外国人技能実習制度」だ。つまり、建前は日本の進んだ技能・技術を学ぶ制度であるが、本音は外国人からすれば「お金を稼ぎたい」、日本人経営者からすれば、「日本人が来ないから外国人が欲しい」ということだ。
今、建設業では人手不足であり、賃金も設計労務単価を上げて対処はしているものの、即効性の対応とまでは行かない。建設業のイメージの悪化も含めると、すぐに人が来るかと言えば疑問である。長期的な視点では、若者が憧れる職業、そしてそれに相応しい待遇、要するに賃金や休日の増加なども実施していかないと、若者は来ないだろう。
ただしすぐに若者が来るとも思えないので東京オリンピック・パラリンピックを睨んだ上での外国人技能実習生の受け入れをやらなくてはいけない。私はあくまで外国人技能実習制度を使うのではなく、外国人を受け入れるのであれば、日本人と同等な待遇である労働ビザの対応をしていくべきだと考えている。
しかし、労働ビザとなると国民的な議論があり、現実的に使える制度は、外国人技能実習制度しかないことから、東京オリンピック・パラリンピックまではこれを使うしか方法がないのだ。
それでは何が問題なのかと言えば、実習期間が通年8年と異常に長い。私はせいぜい5年くらいではと考えていた。8年というと、下手すれば外国人留学生のコースで言えば永住資格も付与できる時間である。
とりあえず建前は「実習」なのだから、そんなに異常な長期間の「実習」が存在するのか。日本政府の怖さはその建前ですら、投げ出したということだ。実習制度であればそんなに高い賃金を払わなくて済むし、人も確保できるいいことずくめではないかという意見があるが、日本人の賃金は、必ず、この外国人技能実習生の賃金に引きずられていく危険性がある。
ただし、現実的に外国人技能実習生をなくして東北の復興や東京オリンピック・パラリンピックの工事を遂行可能かというと実は不可能である。2020年には、国土交通省のシミュレーションでは約50万人の建設技能労働者が不足している。もちろん、今でも不足しているのだが、何も手を打たなければ、今よりもっと工事を遂行することができなくなるというのが実情である。
それに高齢化した建設技能労働者のコアな世代は50代から60代だ。この世代が今後、引退に入ると40代から20代ではとても支えきれないというのが現実なのだ。なぜなのか、建設業界全般が嫌われて若者が入職しなくなったことと、賃金が安くなったせいだ。
そういうことで、外国人の人材活用はもはや建設業に限っては避けようもない。しかし、8年という期間は長すぎるし、終わったら不法就労で定住化してしまうのではないかという懸念がある。さらにいえば、建設業界は安全面では非常に多く問題がある業界で事故率も大変高い。
もし、外国人技能実習生の事故が多発した場合、どのような措置を行うのか、日本人との賃金の格差でそのうち、裁判でも起こす事例も増えてくるのではないか。もう一つ懸念材料は家族について忘れていないか。結婚している人もいるだろうし、子供もいる人もいるかも知れない。人道上ここまで離ればなれになると日本に連れてきても良いという意見も出るだろう。8年という期間はそれだけ長すぎるのだ。
ベストな案は、5年間の労働ビザの付与、もちろん、外国人技能実習制度は廃止する。ただし労働ビザは韓国でも同じ問題が起こっているが、逃げてしまうケースが多く、外国人労働者をコントロールできない面がある。それでも外国人技能実習生の拡大よりは良い。
どうしても外国人技能実習制度を採用したければ最長で5年間が限界だと思う。つまり、制度として3年間実習し、再入国を認め、2年間の再実習を行うものだと思っていたのだが、ここまで政府が考えていたとは想像もしなかったのだ。
最近の日本政府は、やりたい放題ではないか。率直に言えば、建設業の外国人技能実習生についてここまで拡大するとは想像していなかった。政府案を見て、このやり方は最悪だと思った。まさかここまで酷いとはというのが率直な感想だ。
政府は、人手不足が深刻な建設業で外国人労働者の受け入れを増やすため、2015年度から外国人技能実習制度を拡大させる方針を固めた。
実習生の在留期間について、現行の実習期間(最長3年)に加え、法相が指定する「特定活動」という資格で最長2年の在留延長を認め、建設現場で働けるようにするのが柱だ。
いったん帰国後、再来日して技能向上を目指す外国人の在留も認め、実習制度に基づく在留期間を通算8年まで延ばせる仕組みとする方針だ。
政府の拡大案では、実習生の再来日について、〈1〉1年未満に再来日した場合は最長2年〈2〉1年以上たって再来日した場合は最長3年――の特定活動をそれぞれ認める。
特定活動は1年ごとに延長する。
ソース 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20140327-OYT1T00889.htm
ここで改めて「外国人技能実習生」について説明したい。JITOCO(公益財団法人国際研修協力機構の説明では、「開発途上国等には、経済発展・産業振興の担い手となる人材の育成を行うために、先進国の進んだ技能・技術・知識(以下「技能等」という。)を修得させようとするニーズがあります。我が国では、このニーズに応えるため、諸外国の青壮年労働者を一定期間産業界に受け入れて、産業上の技能等を修得してもらう「外国人技能実習制度」という仕組みがあります。
この制度は、技能実習生へ技能等の移転を図り、その国の経済発展を担う人材育成を目的としたもので、我が国の国際協力・国際貢献の重要な一翼を担っています。」 というものだ。
しかし、こんなものは建前であって、本音は労働力が欲しいのだ。ただし、日本は韓国のような単純労働も受け入れる労働ビザはない。そこで美辞麗句な言葉で飾り立てているのがこの「外国人技能実習制度」だ。つまり、建前は日本の進んだ技能・技術を学ぶ制度であるが、本音は外国人からすれば「お金を稼ぎたい」、日本人経営者からすれば、「日本人が来ないから外国人が欲しい」ということだ。
今、建設業では人手不足であり、賃金も設計労務単価を上げて対処はしているものの、即効性の対応とまでは行かない。建設業のイメージの悪化も含めると、すぐに人が来るかと言えば疑問である。長期的な視点では、若者が憧れる職業、そしてそれに相応しい待遇、要するに賃金や休日の増加なども実施していかないと、若者は来ないだろう。
ただしすぐに若者が来るとも思えないので東京オリンピック・パラリンピックを睨んだ上での外国人技能実習生の受け入れをやらなくてはいけない。私はあくまで外国人技能実習制度を使うのではなく、外国人を受け入れるのであれば、日本人と同等な待遇である労働ビザの対応をしていくべきだと考えている。
しかし、労働ビザとなると国民的な議論があり、現実的に使える制度は、外国人技能実習制度しかないことから、東京オリンピック・パラリンピックまではこれを使うしか方法がないのだ。
それでは何が問題なのかと言えば、実習期間が通年8年と異常に長い。私はせいぜい5年くらいではと考えていた。8年というと、下手すれば外国人留学生のコースで言えば永住資格も付与できる時間である。
とりあえず建前は「実習」なのだから、そんなに異常な長期間の「実習」が存在するのか。日本政府の怖さはその建前ですら、投げ出したということだ。実習制度であればそんなに高い賃金を払わなくて済むし、人も確保できるいいことずくめではないかという意見があるが、日本人の賃金は、必ず、この外国人技能実習生の賃金に引きずられていく危険性がある。
ただし、現実的に外国人技能実習生をなくして東北の復興や東京オリンピック・パラリンピックの工事を遂行可能かというと実は不可能である。2020年には、国土交通省のシミュレーションでは約50万人の建設技能労働者が不足している。もちろん、今でも不足しているのだが、何も手を打たなければ、今よりもっと工事を遂行することができなくなるというのが実情である。
それに高齢化した建設技能労働者のコアな世代は50代から60代だ。この世代が今後、引退に入ると40代から20代ではとても支えきれないというのが現実なのだ。なぜなのか、建設業界全般が嫌われて若者が入職しなくなったことと、賃金が安くなったせいだ。
そういうことで、外国人の人材活用はもはや建設業に限っては避けようもない。しかし、8年という期間は長すぎるし、終わったら不法就労で定住化してしまうのではないかという懸念がある。さらにいえば、建設業界は安全面では非常に多く問題がある業界で事故率も大変高い。
もし、外国人技能実習生の事故が多発した場合、どのような措置を行うのか、日本人との賃金の格差でそのうち、裁判でも起こす事例も増えてくるのではないか。もう一つ懸念材料は家族について忘れていないか。結婚している人もいるだろうし、子供もいる人もいるかも知れない。人道上ここまで離ればなれになると日本に連れてきても良いという意見も出るだろう。8年という期間はそれだけ長すぎるのだ。
ベストな案は、5年間の労働ビザの付与、もちろん、外国人技能実習制度は廃止する。ただし労働ビザは韓国でも同じ問題が起こっているが、逃げてしまうケースが多く、外国人労働者をコントロールできない面がある。それでも外国人技能実習生の拡大よりは良い。
どうしても外国人技能実習制度を採用したければ最長で5年間が限界だと思う。つまり、制度として3年間実習し、再入国を認め、2年間の再実習を行うものだと思っていたのだが、ここまで政府が考えていたとは想像もしなかったのだ。