社長ノート

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産経新聞 産経抄

2014-08-26 20:10:43 | 日記
   移民のリスク

 ロンドンで2005年7月に起きた同時爆破テロは、52人の死者を出す大惨事となった。イスラム系英国人による自爆テロだった事実が判明すると、英国民は二重のショックを受ける。
 長年、アイルランド共和軍によるテロに苦しんできたとはいえ、中東で頻発する自爆テロは「対岸の火事」だった。そんな英国民が、テロの温床となった自国の現状と向き合うこととなった。
 移民が多く暮らす欧州のなかでも、英国はとりわけ、異文化に寛容な国として知られてきた。そんな社会が過激なイスラム主義を育て、移民の2世、3世の若者に影響を与えているのではないか。イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の蛮行が連日伝えられるなか、当時と同じ批判の声が上がるかもしれない。
 英紙の報道によると、米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリー氏を殺害した「イスラム国」の構成員は、ロンドン出身の23歳の男の可能性が高い。男の父親はエジプト出身だという。すでに、英国でイスラム過激思想に染まった多くの移民の子弟たちが、シリア内戦に参加している。
 欧州各国はさらに、移民をめぐる新たな悩み事を抱えている。社会保障費の増大や失業率の高さを理由に、移民に対する反発の声が高まり、極右勢力の伸長を招いているのだ。労働力不足の解消といった目先の利益に目がくらみ、あるいは「多文化共生」といった甘い言葉に酔って、欧州の轍(てつ)を踏んではならない。
 評論家の関岡英之さんが、月刊誌『正論』9月号で指摘しているように、反日教育を受けた中国の若い世代の流入という、日本特有の心配事もある。政府が検討している、永住を前提とした移民の大量受け入れは、やはり考え直した方がいい。

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