精神世界と心理学・読書の旅

精神世界と心理学を中心とした読書ノート

『釈尊の断食法』

2007-05-01 22:47:46 | 食と健康
◆『釈尊の断食法』前田行貴(地湧社2003年)
少食や断食が健康にもたらす効果については、甲田光雄医師の一連の著作などによってかなり知られるようになった。私も、甲田氏の本によって断食や少食を試みるようになった。この本も、巻末で甲田氏が解説を執筆しており、断食の医学的理解についてはほぼ同じ考え方にたつものと言ってよい。

原始仏典における釈尊が断食をどれだけ具体的に説いたかは疑問だ。著者も釈尊がどのような断食法を説いたかを文献的に基礎付けているわけではない。本書でも、釈尊成道後の瞑想と断食に触れ、後は義浄三蔵の『内海寄帰内法伝』(694年)において、「病気の時はまず食を断つべきだ」だと釈尊が説いたと書かれていることに触れられている程度だ。

が、断食や少食を行うこと自体は、健康のためだけでなく瞑想のためにも、また仏教の慈悲の精神からも、きわめて意味の深い実践だと思う。本書によると、断食を印度の言葉でウポワズという。ウポワズによって気力や体力が落ちてくると、自己の内面に潜在する本性が露見してくる。その時こそ過去世からのカルマ(業)と向き合う反省の時であり、運命開拓の時であるという。

私も断食のあと、いつもより深い夢をみることが多い気がする。それが自分の内面を探るのに役立っている。本書で、再び一日半の断食にチャレンジするよき刺激となった。

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