精神世界と心理学・読書の旅

精神世界と心理学を中心とした読書ノート

『齋藤孝の速読塾』齋藤孝(筑摩書房2006年)

2007-07-28 22:03:18 | 自己啓発
かつて『速度勉強術』宇都出雅巳著 (すばる舎 2007年) という本を読んだ。すみからすみまでゆっくり一度読むよりは、ざっとでもよいから何度も反復してよんだ方が記憶や理解ができる、という主張。ざっと読んで本の全体像をつかんでおくことは、非常に大切だ。重要箇所を拾って何回も回転させて読む速読法は、私にとって画期的で、それ以来本の読み方も読書への意識も確実に変った。この読書法に変って大きな喜びを得たが、ただこの2週間ほどは、また昔の読み方が懐かしくなり、迷いが生じていた。

齋藤孝のこの本を読んだおかげで、また「高速回転法」としての速読法の素晴らしさを再確認し、意欲を取り戻す形となった。もちろん、この本独自のよさもあるので、速読法に疎い人も、すでに多くの速読法に詳しく、いろいろ試みている人にも、充分に読む価値があると思う。

ポイントは、キーワードを絞り込んで、それをひたすらマークしていく方法と、引用すべきベスト3を見つけるという目標をもって読む「引用ベスト3方式」である。

「高速回転速読法」の問題は、「ざっと読む」時にどの部分をざっと読むかだ。目次を読んだり、前書き・後書きを読んだり、何回か、ページを最後までめくっているうちに重要箇所や興味を引く箇所が出て来るのも確かだが、なおどこを読んだらよいのか明確にならない時もある。

そんなとき、「キーワード・マーク法」は役に立つ。その本のキーワードベスト3を探しておいて、ともあれキーワードにマークをつけていくのだ。内容を理解している否かは気にしない。キーワードをつける作業に間に無意識にうちに様々な情報が飛び込んでいるからだ。そうすると、その本の重要箇所も見えてくる。

そうやって重要箇所が分かったら、今度は、引用する価値のあるベスト3を探しながら読んでいく。そういう目標を設定することで、その本の本当に重要な箇所をさらにしぼりこんで行くことができるだろう。

このよう重要箇所をピックアップして読んでいく速読法は、やってみるとその素晴らしさがよく分かるのだが、この本は、そういう速読法の、知っていて損はない他の様々なテクニックが随所に散りばめられており、私には本当に参考になった。

たとえば、重要箇所が分からなくとも、とりあえず一ページにつき一文、目に飛び込んだ文章を読んで行く。なるほど、これなら、迷うことなくともあれ「ざっと」最後まで読める。これを繰り返すことで自ずからそのページの本当に重要な箇所を即探し出せる力がつく。

このようなテクニックを使ってベスト3を決めたら、ルーペ感覚でそこをフォーカスして、少し詳しく見ていく。そして「引用ベスト3箇所」は何回か人に話すことで完全に自分の見につけてしまう。

著者は、速読法をヘリコプターでの移動にたとえている。「ペリコプターで重要な荷物を拾いながら、いちおう最終目的地まで飛ぶ。最重要な身もつは最初の一回の飛行で拾ったので、次のフライトでは二番目に重要なのを拾います。それを4回、5回とやっているとその風景を覚えてしまいます。」

ヘリコプターのように何度も飛べば、地上を一歩一歩、歩いていたのでは見えない風景を、何度も繰り返して見ることになり、目に焼き付けてしまう。まさにこれが速読法の醍醐味だろう。


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