精神世界と心理学・読書の旅

精神世界と心理学を中心とした読書ノート

『覚醒へのネットワーク』上田紀行(講談社1997年)(3)

2007-08-15 20:35:28 | 瞑想
国家という暴力、自然破壊の暴力はそれだけで存在しているのではなく、私たちが「殻をかぶった自我」であり、集団としても同様の「殻」をかぶって、他を排除する構造を維持していることの必然的な帰結なのだという。ある集団で問題が起これば、その暴力を放出する別通路を作ろうとする。集団内で生じた対立や暴力をひとつ上のレベルに棚上げし、もっと大きな敵を作ることでそれを正当化して、切り抜ける。「愛国心」によってその場しのぎをするわけである。そして今度は「愛国心」相互の対立が生まれる。

「核兵器」も私たちの外にあるのではなく、「殻をかぶった」私たちのあり方のシンボルだという。大きな国家的な暴力の根源が私たちの中にある。しかし、逆に私たちがその構造に気づき、それに対して行動するならばそこに解決の方向が見えてくる。「殻をかぶった個」やそれに根ざす「殻をかぶった共同性」の排他性を解き放つ方向こそが求められている。

いままでは、現実の社会状況を変革する「社会運動」と自分の内面を見つめ、内面的な成長をめざす「精神世界」は、むしろ対立するものと考えられてきた。しかし、一方には「社会運動」にのめりこみながら、自分の内面の暴力性に気づかずに独善的になっていく「運動病」がある。そして他方には、「精神世界」にのめりこんでそこからなかなか出てこれないとう「セラピー中毒」がある。本当に必要とされるのは、両方の流れを深いところで結びつけ「覚醒のネットワーク」を築いていくことであると筆者はいう。

「学校でのいじめを解決する運動は、私たちのからだを考える医療の運動とも、世界の貧困をなくしていく世界平和の運動とも深くつながっています。『いま、個々で』暴力を止めていく運動は、世界のいたるところで同時に起りつつあります。そして『いのち』のネットワークは、地球上のすべての生きとし生けるものの癒しをいま生み出しつつあるのです。」p237

この本は、筆者が大学院生の時に書き始められ、1989年に出版されたという。この本でやさしい言葉で語りかけられたような、魂の目覚めと社会的な変革とを深く結びつけてネットワークを築いていこうとする動きは、徐々にではあるが日本の社会にも広がっているかに見える。しかし、その動きは、まだまだ大きなうねりにはなっていない。

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