パワーコマンダーはキャブレターの様に『低回転を薄く』だとか『高回転を濃く』の様にファジーな設定はできない
デフォルトでは250rpm毎にそれぞれのスロットル開度に応じて燃料噴射量の補正値を入力していく必要がある
それはそれはとても地道な作業で基本的に例外を除いて近道や簡単な方法といった物は無い
サブコンなどを導入するからには殆どの人がモアパワーを求めていると思う
まさか環境のことを考えて排ガスを綺麗にしたいだとか、より燃費が良くなるようにだとか考えて買ったなんて人はいないだろう
エンジン出力を上げるからには空燃比という物が重要になってくる
ガソリンと空気は約1:14.7の状態で一番効率的な燃焼ができるという
この空燃比を理論空燃比と呼ぶ
だが、その一番効率的な燃焼が最高出力を出せる状態ではない
一番出力を出せる空燃比を出力空燃比といい、一般的には1:12.5付近がその状態にあるといわれている
基本的にはこの出力空燃比を目指していくこととなる
ただ、全ての補正部でこの状態にすればいいというものではない
例えば高速道路をダラダラと巡航している時に出力空燃比を求めても仕方が無い
使用域にあった空燃比が重要になってくる
空燃比、空燃比と書いてはいるが、基本的にストック状態の車両もしくはパワーコマンダーを付けただけでは空燃比の確認のしようが無い
空燃比を数値的に見るにはA/F計と呼ばれるものが必要となってくる
勿論以下に記すセッティング方法ではA/F計の装着を前提としてのものではない
注意として、あくまで目安的なものであり自信が打ち出した補正値が完全な物になるとはいい難い
頑張って作ったマップが結局全てボツになることも珍しくは無い
気長にやってみて欲しい
幾つか基本的な症状とそのときの空燃比の状態
濃い場合
吹けが悪い
ボコつく
伸びが悪い
薄い場合
アフターファイヤーが出る
息つきのような症状がある
チリチリ音がする
ぎくしゃくする
非常に曖昧かつ主観的な表現であるが、一般的な日本人ならなんとなく理解は出来ると思う
まず、スロットルの開度を視覚的に確認できるようにするため、スロットルホルダーなりグリップなりにマーキングをしておく
PCVの場合、「0.2.5.10.15.20.40.60.80.100」
マーキングはPCVをパソコンに接続し、アプリケーション上で開度を確認しつつ行う
実際に走ってみて、回転数とアクセル開度から現在のマップ位置を割り出し、そのときの症状に応じて補正を加えていく
だが、いちいち記憶していたりだとか、少し走っては路肩に停めてノートパソコンのスイッチを入れるなんて事は危険だし効率が悪い
そこでこのようなブランクのマップをプリントしてバインダーにでも挟んでタンクに貼り付けておく
(クリックするとA4印刷用の画像)
そして気になった部分について記入していく
注意して欲しいのはここで具体的な数値を入力するのではなく、傾向として薄いか濃いかなどの大まかな情報のみを記入するに止めておく
自分で凡例を決めておき、例えば『濃ければ○』『薄ければ△』などでも良い
適当に走り回り、ある程度ブランクのマップが埋まってきたら実際にパソコンに接続して数値を入力していく
そのときの注意として、大きく+10だの-10だのと変更せず、±2ないし3程度に止めておく
マップを反映させたら再び実際に走ってみる
この作業を数回繰り返してマップを作成していく
ブランクのマップは何枚持っていても良いだろう
行き詰ったら
マップの作成を繰り返すうちに何がなんだか分からなくなることも珍しくない
頑張って作ったマップが日が明けてみたら全く駄目だったと感じることも良くある話だ
そういう時はいっその事ゼロマップを入れてみるのもアリかもしれない
初心に戻るというのも大切だ
その時もある程度完成したと思ったマップは各個保存しておき、破棄や上書きはしないように注意する
幾つかそういった死蔵マップが集まった時点でエクセルなどの表計算ソフトにマップを丸ごとコピーし、数値の大小毎に色分けしてやると全体的な傾向が掴めたりする
色分けについては『条件付書式設定』等で検索してみると丁寧に解説してあるページが見つかると思う
それでも駄目なら
もしくは
更に進んだ燃調をとりたい方は
『AutoTune』という、指定した空燃比に自動的にマップを変更してくれるオプションパーツがある
こういうのを反則、もしくはチートというらしい