ニコワッカ -niko W akka- FZ1

 blog of the rider, by the rider, for the rider !!

08北海道ツーリング 三日目

2008-08-31 15:24:16 | ツーリング
8月12日
のそりとテントから出てみれば空模様はグレー
雨が降り出さなければいいが、そうも言っていられないかもしれない

出立準備を終えてキャンプ場を出る頃になっても相変わらず空は明るくなる様子が無い
243号を弟子屈方面に向っている最中、パラパラと小雨が降りだしてくる
カッパを着る程ではないので油断していたら、そのうちに雨音が分かるほど降りだしてきた
路肩にバイクを停めていそいそとカッパを着る
追い抜いていくバイクを見れば全員が全員カッパを着ていた
使っているナビも防水仕様ではないのでジップロックを被せておく……曇って全く見えやしない

とりあえず摩周湖を目指す
前回はよく晴れていて雲ひとつ無いような状態だった
それを見て出世を諦めたんだが、今回は果たしてどうだろう
ぐねぐねとしたワインディングを上っていく
そのうち霧というか雲の中に突入してしまった
視界が10メートルも無いような状態の中でヒヤヒヤしながら走っていると自転車を押している人に何度が出会う
結構急な坂でも頑張って漕いでいる事が多いタフな彼らでも、この湿度の中カッパを着て坂道を登るのは流石に辛いのだろう
上りきって摩周湖の駐車場に辿り着くが、案の定全くの視界ゼロ
霧の摩周湖というよりも霧の中の摩周湖だ

そこで隼に乗ったタンデムライダーに出会った
相方さんがやけに小柄なんで親子かと思ったらカップルらしい
男の方は190位ある大柄な人だったもんで、物凄い組合せだ
美幌峠の方から来たらしいが、どうやらそっちも酷い霧の中らしい
阿寒湖方面に抜けたほうが賢いかもしれない
何も見えないがとりあえず写真だけとってそこを後にする

川湯温泉方面に下っていく
このあたりでやっと天候が回復してきた
青空もよく見える

途中硫黄山に立ち寄る

時間が早いので客はまばらだ
名物の温泉卵売りも一軒しか出ていないうえ、声すら上げていない
さらに川湯市街へ
川湯温泉にある公衆浴場は北海道で最高の温泉だと思う
高級そうなホテルが立ち並ぶ中、ポツンと一軒だけやけにボロイ建物がある
気が付かなければそのまま通り過ぎそうな小さな建物だ
で、今回立ち寄ったかというと完全に失念
気が付けば屈斜路湖の湖畔まで行ってしまっていた
戻るのも面倒くさいのでそのまま先に進んだことを今になって後悔している

屈斜路湖の湖畔を走って再び243号に合流
この近辺に「おかめ食堂」という小さな定食屋があるのだが、そこも結構お勧めだ
そこの素朴なお婆さんが作ってくれる料理が非常に良い
とても暖かみのある雰囲気で、家庭の味といった感じだろうか
時間帯が早いので寄ることは出来なかったが、また足を運んでみたい店だ

その後241号に入り、阿寒湖方面へ
ぐねぐねとした道は中々に楽しい
阿寒湖自体はスルーしてそのまま先へ行く
途中でオンネトーに向う道を曲がる
オンネトーに辿り着くが、観光バスやら乗用車やらが沢山止まっており、とてもじゃないが秘境という雰囲気は無い
景観はそれなりといった所だ

駐車場に戻って出発しようとしたところ、なんと車が駐車スペースでもないところに駐車して退路を塞いでいる
しょうがないのでタバコを咥え、待っていると暫くして持ち主が戻ってきた
睨みつけはしないが、ぼけっと眺めているとそそくさと逃げるように去っていった
こちらも気分が悪ければあちらもすっきりしないだろうに……最初からやらなければ良い

そのまま奥に進めば再び241号に合流できるのだが、道は途中までダート
荷物を積んでなければ先に進むのだが、今回は自重して戻ることにする
その後足寄方面へ
道の駅あしょろ銀河ホール21に立ち寄る
元々は足寄駅の駅舎であった建物を利用しているので、建物内に駅の軌道が残されていたりする

松山千春に縁があるらしいが、興味も無いのでよく分からない

242号を南へ下り、幕別へ
更に途中から道道15号をショートカットして忠類に入る
236号に合流した後、道の駅忠類で休憩
隣接している「アルコ236」という温泉施設で風呂に入る
入浴は出来るが味も何も無い

236号から336号に入り海を目指す
暫く行けば黄金道路だ
海沿いの断崖を切り開いて作ったこの道路
その工事は至難を極め、まるで黄金を敷き詰めたかのごとき巨費を投じられたことからこの名前がつけられたという
その割には未だに落石やら悪天候やらで頻繁に通行止めや補修工事が行われるようなハードな道だが……
覆道の柱の間から見える太平洋は、ストップモーションを見ているようであり中々に面白い道ではある
流石に曇りでは価値も下がるだろうが

途中から道道34号に入り、襟裳岬を目指す
風に悩まされる地域だというが、今日はそれほどでもない
静かなアップダウンが繰り返される道を更に南へ
天気がよければ草原の中を走っているような気持ちの良い道だろう
傍らは渚100選に選ばれる百人浜が続く…・・・が、この浜は色々と曰くがあるわけで
暫く走れば襟裳岬だ

バイクを停めて突端部へ向う
曇ってはいる物の、かなり先まで見える

野生のアザラシが生息しているが、裸眼視力0.03、矯正1.0では全く確認できない
突端部から展望施設を見てみるととんでもない場所に建設されていることがよく分かる
普段の運動不足を恨みながら駐車場に戻り、ついでにそこで食事をする
土産物屋のうち、なにやら「テレビの取材がありました」とわざわざ看板まで作っている店に入ってみる
カニやらウニやらの入った生簀が並ぶ奥に食堂が併設されていた
とりあえず期待もせずに塩ラーメンを注文
だいたいラーメンに塩しょうゆ味噌から選べます、と書いてある時点であまり信用できない……
が、この店は違った
北海道らしく昆布とカツオから取った香りのいいダシに海草やタコ、カニ、ツブ貝を浮かべた非常に豪華なラーメンが出てきた
しかも非常に旨い
カニは小振りだがちゃんと身が詰まっているし、ツブ貝は味も濃く食感が非常に良い

観光地の食堂でこのレベルのラーメンを出してくるとは中々恐れ入る
スープも全部残さず飲み干して店をでるが、この時の自分は良いホクホク顔をしていたと思う


今日の宿地は先ほど通り過ぎた百人浜にあるキャンプ場だ

ここで先ほどの話の補足
結構な昔にこのあたりで船が難破したらしく、浜にかなりの水難者が漂着した
冬の寒さと飢えで生き残りも次々に事切れた
その数は百人にも及ぶ、と
で、百人浜
そこでは夜になると数え切れないほどの“それら”が海から丘のほうに歩いてくるのが目撃されたという
キャンプ場は元々海の近辺に存在したらしいが、あまりにもそういう目撃談が頻発するので内陸部の山の中に移設されたらしい(未確認)
移設されたいまでも見る人は見るらしく、森の中から彼らが覗いているとか……

と、まあこんな話なんだが、自分としてはそれ程怖くは無い
前回の北海道ツーリングで数日前に自殺者が出たというキャンプ場に何も知らずに行ってしまい、時間との兼ね合いでしょうがなく一人きりで宿泊したこともあったが、その時に比べれば新鮮さも全く無いので
ちなみにそのときは深夜に得体の知れない声を聞いたが、恐怖よりも眠気に負けてしまった

料金を払って幕営準備
昨日のキャンプ場はバイクの乗り入れが可能だったが、今回はリヤカーに荷物を乗せて引いていく
まあ、普通はこんなもんだ
ちゃっちゃとテントを張ってコーヒーを入れる
先ほどのラーメンがまだ胃袋に残っているので夕食にはまだ早い
持ってきた文庫本を読んでいると、バンガローサイトが非常に煩い
20メートル以上離れているのに会話内容が全部伝わってくる
少年野球団の集まりらしく、子供達がキャッチボールすら始めやがった
こっちを向いてボールを投げるな
まあ、こどもはまだ良いとするが、大人達のマナーの悪さには本当に閉口する
他の客がいるにも関わらず子供に対して大声で怒鳴り、説教を始めやがる
時計を眺めてあと5分続くようだったら文句を言いに行こうと思ったが、結局直ぐに終わってしまった
ちなみに読書は5ページも進んでいない
その後暗くなってからやってきたライダーと談笑
幽霊が出てきたら面白いね、なんて話をしていた
で、遅めの夕食を準備
今日はパスタを茹でてみる
オイルサーディンとトマトソースを混ぜた簡単なソースを作って和えれば出来上がり
登山と違って沸点に依存する麺類などを料理できるのはいい事だ
缶ビールをやっつけた後で就寝

08北海道ツーリング 二日目

2008-08-24 21:53:37 | ツーリング
8月11日

この日も朝から晴れだ
例の如くツーリング時間で起床しているので、まだ他に起き出しているような人は見当たらない
そりゃあ昨日夜遅くまで騒いでいた連中がこんな時間に起きるわけがないのだが

6時過ぎには出発
この日も引き続きオホーツク沿いを走り、サロマ湖や能取湖、網走湖をなどの湖を横目に知床を目指す
早速随分時間が飛ぶが、8時半ぐらいにサロマ湖に到着

昨日の彼はもう出発してしまっただろう……というか無事にここまで辿り着いたのだろうか
まあ、そんな事を気にしつつ、道道442号に逸れた湖畔にある駐車場で休憩
以前来たときよりも若干であるが水かさが増している
前回ここは干潟の様になっており、水が少し臭っていたが今回はそんなことも無いようだ
写真をとって一服済ませると238号に戻って網走に入る
能取湖、網走湖の湖畔を走るが、ここの道は前回も同様に走ったはずなのに全然景色が違うように感じた
まあ、前回は分厚く雲がかかっていて、いつ降り出すとも分からないような状態だったから、今回のような青天ではまったく見える景色も違うように感じているだけだろうが
呼人浦の辺りはかなり綺麗だったことに今更気が付いたのはちょっと悔しかった

網走のような市街地は例の如くパスする
網走監獄もこの時間じゃまだ開いていない
244号の線路沿いの道を走る
前回は酷い雨と酷い眠気と戦いながら走った記憶がある
ただ、そんな中でも右手に見える湿地帯にタンチョウを見かけたのだが、今回はいなかった……残念

小清水を抜け、斜里町に入って暫く走る
実はこの先にツーリングマップルには乗っていない穴場的なスポットが存在するのだ
斜里の町のハズレに、国道をそのまま行くと道路がほぼ45度、急に左側に曲がる道がある
もちろん地図に載っている通り、曲がる方の道が国道なのでルートとしては正解なのだが、ここで何か面白そうな空気を感じ取ってしまった人は直進する細い道へ進んでしまう
この道は山へ真っ直ぐ伸びる道で、2kmほど進んだ先に展望台があるのだ
そこからは今まで走って来た直線路がぐーんと伸びている景色が見える
右手にはオホーツクが見えるし、道路の先には田園風景がずっと広がっているという、如何にも北海道らしいといった風景
言葉にすると大したことないように感じるが、行ってみると意外と面白い場所なので是非おすすめする


斜里の町を抜けると、もう先ほどの長閑な畑の風景はなりを潜め、これから秘境の地へと向うことを予感させるような深い森の中を進むことになる
森を抜けるとオホーツク沿いの曲がりくねった道になる
走って20分ほどでオシンコシンの滝に到着
ここで彼と二年ぶりの再会を果たすこととなった
腕に少し傷を負ってはいるが、相変わらずの威厳をたたえている
懐かしさに思わず涙が……













「ノラ」さんです

前回も会いました
相変わらず寝てばっかりの様です
お盆休みということで観光客の多さは前回の比ではないのに、全く動じることなく自分の夢の中に入っているようです
腕の包帯は多分不注意な人にでも踏まれてしまったのだろう
地べたに寝転がってばかりだから……
大分歳をとったようで、遠目でも老けたと感じる
実家で猫を飼っているので大体の年齢は分かるが、この猫は結構なご老体かと
次に来た時は会えるだろうか……長生きして欲しい

で、後回しになったが滝の風景


再出発してウトロへ
ここでは会社の上司に土産を頼まれていたので海産物を購入することになった
幾つかの店舗を回った後、結局なんだかんだで有名な梶原鮮魚店に入る
予算を言って適当に見繕ってもらった
こんな巨大なタラバは自腹じゃ絶対に買わないだろうなというものと、毛蟹、ウニ、イクラ、ホッケに鮭とたっぷり詰め込んでもらった
さすがに自分で持って帰るわけには行かないので発送
後でのリアクションが非常に楽しみだ(非常に好評でした)
発送したとの連絡をして出発

ウトロを出ると直ぐに知床峠に入る
こちら側は天気がいいが、反対側は少し怪しそうな雰囲気がある
ともあれ、時間がたっぷりあるのに天候を読んで留まるなんて勿体無いことをするつもりはない
北海道に来て初の峠道だ
タイヤも新品のハイグリップに交換してきたのだから元気良く走らなくては
後ろの荷物も忘れる気分でワインディングをこなしていく
追い抜かれた車やバスの連中が「イカレてる」と思ってくれたたらこちらの勝ちだ
途中までは羅臼も見えて非常に天気がよかったのだが、峠のてっぺんにある展望台まで辿り着いてしまったらそこは深い霧の中
ごくたまに空の青さが見えるぐらいで、まったく山の陰も見ることが叶わなかった


一時間ほど滞在したのち、これ以上経っても天候の復活が期待できないと判断、出発することにした
途中『熊の湯』に立ち寄る
秘湯だ何て言われたりもするが、それほどでもない気が……
とにかく熱い
長時間入っていると先ほどのカニではないが真っ赤になってしまいそうだ
適当な所で切り上げて駐車場で湯冷まし
ここでこの後の予定をどうするか考える
羅臼側に来てから天候は崩れ始めたようだ
雨が降りそうな気配はないが空は暗い
時間はまだ二時ぐらいなので十分に先を行くことは出来るだろうが、この先のキャンプ場は事前に調べていなかったので何処まで行くべきなのか判断もつかない
ライダーの多く集まる場所に行って情報収集でも……ということで開陽台に向ってみる

30分ほど走ると、バイクの距離メーターがぞろ目を指した

気が付けばこんなに走っていたか

そこから更に一時間ほどで開陽台に到着
やはりライダーが多い
ここでのキャンプも一つの選択肢として考えていたが、どう考えてもあの笹薮の中を突っ切ることは出来ないだろうと判断し、断念
と、ここでF4iに乗ったライダーに話掛けられる
やけに空身なので何処かの宿に荷物でも下ろしてきたのだろうと思ったら、やはり中標津の市街地に宿を取っていたらしい
その人は北海道暦が長いらしく、色々と教えていただいた
中標津のはずれに緑ヶ丘森林公園キャンプ場というところがある
有料ではあるがかなり格安で森の中なので静かだし、設備も整っているのでおススメだそうだ
渡りに船とばかりに行ってみることにした

多少迷ったものの何とか辿り着くことが出来たキャンプ場では、さらにバイクが乗り入れ可能なサイトがあるうえ、コインシャワーまで完備しているという至れり尽くせりぶり

注:ここでいう『至れり尽くせり』とは、トイレも汲み取りで水が辛うじてある程度というようなハードなキャンプを平気で行う“ぶっ壊れライダー”、もしくは更に便所は穴を掘って済ませ、水は事前に確保しておくことが当然な“山屋”の基準であり、一般的なオートキャンパーにしてみればごく平均的なキャンプ場だといえる

ともあれいい感じのキャンプ場を確保できたことは嬉しい
少し蚊が多かったが、その辺は森の中のキャンプ場なのでしょうがないだろう
夕食はレトルトカレーで簡単に済ませた
明日の天気が少し心配になってきたが、週末まではなんとか持ちそうだとの予報もある
日本の的中率が高い天気予報を信じて就寝

08北海道ツーリング 一日目

2008-08-23 22:52:14 | ツーリング
8月10日

午前3時半
そとはまだ明けきれてはいない
デッキに出てみると遠くに小樽の明かりが見える
気の早いライダー連中は早くも起き始め、待ちきれないといった様子でフェリーの中をうろついている
かくいう自分も喫煙所に行ってみたり、意味も無いのに洗面所で顔を洗ったりと忙しない

一時間ほど経つとフェリーが接岸した
大抵のライダーは準備万端といった様子でロビーに集まっているのだが、バイクの下船は車の後になるとの事
周囲を見回してみると、平静を装ってはいるが明らかに「まだか、まだか」と心の中で貧乏ゆすりをしているライダーの顔ばかり
自分もタバコを数本消化しきったところでバイクの下船がアナウンスされた


甲板に下りると早くも多くのライダー達が自分のバイクに取り付き、荷物の積み込みを始めている
自分も急ぎ足でFZ1に向い、出発準備に取り掛かる
慣れたものでそう時間がかかる作業でもないが、「お先に」とばかりに先に下船していくバイクを横目に気持ちばかり焦る
いよいよ準備を終え、バイクに跨ってセルを回す
エンジンがかかららない……ギアがローに入りっぱなしだった
ニュートラルに入れなおして再びセルスイッチを押した
FZ1も待ってましたとばかりに元気良くエンジンを吹かせる
隣で作業をしていたライダーに片手を挙げて『先に行くよ!』と合図をすると、そいつもニヤリと笑い片手を挙げて返事をしてくれた
甲板を出てスロープを下る
左手から差してくる朝日はだいぶ高くなってしまったが、一日は始まったばかりだ
サングラスを忘れてしまったが、眩しい朝日が逆に何かを予感させる

二年ぶりの北の大地だ
去年は来ることのかなわなかったこの地も、どういう巡り会わせか再び上陸することができた
本州とは違う冷たくて少し渇いた空気を吸いこんだ
エンジンも湿気を孕んだ熱風のような空気を吸っていない分、かなり元気だ
まだ店も開いていない早朝の小樽を駆け抜け5号線に出ると、ギアを一段落として勢い良くスロットルを回した

小樽郊外のうねった道をパスし留萌方面、337号へ出ると、そこはもう本州とは全く違う道だ
広い車線と長い直線
早くも北海道を走っていると実感する
暫く走って見かけたセイコーマートに入る

おにぎりを2つとカツゲンを購入
おにぎりを買って「あたためますか?」と尋ねられるのは久しぶりだ
腹ごしらえをすると再び走り出す
いつもでは車の流れリードするようなスピードでさえ、この地では軽トラに軽く追い抜かれる
普段よりもスロットルを気持ち多めに回して更に追い抜き返す
気が付けば液晶の速度表示はいけない数字だが、自重することもない
なにせここは北海道だ

ひたすら日本海沿いを北上していく
小樽では多少雲が多くまぎれた青空だったが、気が付けば青の面積の方が広くなっていた
今日は殆ど寄り道をするつもりはない
宗谷岬を目指してひた走るだけだ
とはいっても本州のつまらない国道なんかと比べれば圧倒的に面白い道だが
増毛から留萌を通過し、232号へいよいよ天売国道に入る
ニシン番屋で休憩

この時点でまだ10時あたりなので殆ど走りっぱなしだ
特に見所もないので軽く一服しただけで再び走り出す

さらに北を目指し北上
天塩を抜ければもうそこはこの日の目的地の一つオトンルイ風力発電所が見えてくる

左手に日本海と利尻富士、右手にサロベツ原野とこの28基もの巨大な風車群を望む直線ろは北海道に上陸したライダー達の憧れの地であり、自分も行っておくべき場所のひとつとして数えていた。
ここからはひたすらの直線路だ
地平線に道が消えていく場所なんてそうあるものじゃない
走っているだけなのに気分が高揚し、思わず叫びたくなる


非常に長い道のはずなのにあっという間に終わってしまった
戻りたくなったが先を急ぐので泣く泣く進む
抜海を抜けるとこの大地の終わりを感じさせる空気になってきた
稚内の町を避けてノシャップ岬へ
寂しげな道を暫く行くとそこが見えてきた
バイクを停めるとブラックバードに乗った人に話しかけられる
昨日のフェリーで苫小牧から来たらしい
食事をしないかと誘われたので喜んでご相伴に預からせて頂く

食事は岬の側にある『樺太食堂』
マップにも載っている有名な食堂だ
そこで二人して三色うに丼を頼む
旅人の財布とは不思議なもので、紐が極端にきつくなるか逆に極端に緩くなるかのどちらからしい
自分らの場合は後者のようで、普段であれば間違いなく馬鹿にするような価格設定でも平気で金を出してしまう
値段に関しては白けてしまうので詳しく書かないが、定食2食分といったところだ
確かに高い買い物なのだが、その分旨さは折り紙つきである
ミョウバン漬けでは味わえないウニの甘さととろけるような食感、それに負けないぐらいに旨いホタテ、カニ、イクラ……
北海道でなければ絶対に味わえない味だ
二人とも物が出てくるまでには何処を回っただの何処に行きたいだのの会話をしていたのだが、食べ始めた途端に無言になる
時折どちらとも無く「うめぇ」だの「甘っ!」だのの独り言を……
食べ終わって店を出たときには揃って呆けたような顔をしていたことだろう



腹ごなしに岬の辺りをうろついてから再出発
ブラックバードのライダーはサロマ湖の辺りまで行きたい(この時点で昼過ぎ、到達は午後五時位か)と言っていたので先を急ぐらしく、宗谷丘陵を走りたい自分とはお互いに旅の安全を祈って途中で分かれた
そこから宗谷丘陵を走りぬけ、再び海側へ





このあたりからは樺太も見える

最北端のガソリンスタンドで給油し、今度はオホーツク沿いに東へ向う
宗谷国道も中々良い道で、七月にくれば白いノリウツギが咲き誇っていて非常に美しい
本当に真っ白になるのだ
さすがに一月も違うので既にノリウツギは少なくなってしまったが、ハマナスやクルマユリの花が点々と咲いていた

クッチャロ湖を横目に更に先を急ぐ
ここらまでくれば今日の幕営地まではもう直ぐだ
以前も来たウスタイベ千畳岩キャンプ場
特に変わったキャンプ場ではないのだが、全面が柔らかな芝生で車両の乗り入れが可能だという非常に便利なキャンプ場である
2kmも走れば枝幸の市街地に入ることが出来、大きなショッピングセンターもある
この日は3時過ぎにはここに到着して幕営の準備をした
テントを張り、米だけ研いで買出しに行く
ショッピングセンターの駐車場にバイクを停めると、シニアカーに乗った爺さんが話しかけてきた
今朝に小樽に着いてここまで来たというと驚いていた
「これ(シニアカー)で小樽まで行ったらどれぐらいかかるかな?」なんて話をしたのち買い物をする
特には考えていなかったが、ジンギスカンの材料を手にとってみる
野菜の詰め合わせもあったので購入
このショッピングセンターは意外と何でも揃っており、テントなどのアウトドア用品まで置いてあった
やる気になればバッグだけで中身なしの状態でここまで来て全てを揃えることも出来たと思う(笑)

テントに戻ると食事
ジンギスカンなんて最初からタレ付けになっているので特に準備なんてしない
野菜と一緒にクッカーにぶち込み火に掛けるだけ
米炊きも難しいものではないし、非常に簡素な食事だ


ビールを煽りながらの食事を済ませると既にすることはない
届いていたメールに写真つきの返信などを済ませているうちに日が暮れてきた


完全に真っ暗になると凄い物が見られる
天の川だ
唸るほどの星の海
ずっと眺めていても飽きやしない

この日は本当に天気に恵まれた
明日も良い天気になることを願いつつ、空の天の川を何時までも眺めていられないことを惜しみつつ寝袋に入った