作 肥田美代子
絵 岡本颯子
ひさかたチャイルド
<粗筋>
ラーメンが美味しいと評判の『とんちんけん』に、ある日、目深に帽子を被ったお客がやって来る。
「ラーメン いっちょう、とびきり うまいやつを たのむよ」
ところがそのお客、店の主人けんさんがラーメンを出しても一口食べただけで帰ってしまう。
次の日も、そしてまた次の日もお客はやって来るが、やはりほんの少し食べただけで店を後にしてしまう。
自分のつくるラーメンのどこが気に入らないのか確かめたくなったけんさんは、そのお客の後を追ったが……
これは僕が子供の頃に繰り返し読んだ絵本で、昨年12月に復刊された。とにかくラーメンが美味しそうに描かれているのと、その謎のお客が毎回ラーメンを残した理由が子供心に印象深かったものだ。
店内に掲げられているラーメンの値段は初版当時の物価が窺われるし、他の頁でもその場の雰囲気が伝わってくる心地良い工夫が見受けられる。あたかも自分がその状況(物語後半部分)でラーメンを食べているようだ。そして何より、謎のお客がラーメンをほとんど食さなかった訳を知ったけんさんが、その後も以前と変わらずに店を営む結びが良い。温かい当時の世相までもが伝わってくる。
長らく絶版だったこの作品、大きな書店でなら容易に目にする事ができるだろうから、興味を持たれた方は是非。
絵 岡本颯子
ひさかたチャイルド
<粗筋>
ラーメンが美味しいと評判の『とんちんけん』に、ある日、目深に帽子を被ったお客がやって来る。
「ラーメン いっちょう、とびきり うまいやつを たのむよ」
ところがそのお客、店の主人けんさんがラーメンを出しても一口食べただけで帰ってしまう。
次の日も、そしてまた次の日もお客はやって来るが、やはりほんの少し食べただけで店を後にしてしまう。
自分のつくるラーメンのどこが気に入らないのか確かめたくなったけんさんは、そのお客の後を追ったが……
これは僕が子供の頃に繰り返し読んだ絵本で、昨年12月に復刊された。とにかくラーメンが美味しそうに描かれているのと、その謎のお客が毎回ラーメンを残した理由が子供心に印象深かったものだ。
店内に掲げられているラーメンの値段は初版当時の物価が窺われるし、他の頁でもその場の雰囲気が伝わってくる心地良い工夫が見受けられる。あたかも自分がその状況(物語後半部分)でラーメンを食べているようだ。そして何より、謎のお客がラーメンをほとんど食さなかった訳を知ったけんさんが、その後も以前と変わらずに店を営む結びが良い。温かい当時の世相までもが伝わってくる。
長らく絶版だったこの作品、大きな書店でなら容易に目にする事ができるだろうから、興味を持たれた方は是非。
絶版になっていたものが 復刊されたとのこと,
これはつまり,古き (古くもない?) 良き日本人の繊細さが
見直されている,ということではないでしょうか。
一見,食べ物を無駄にしている物語のようにも思えますが,
きっと読んでみたら,奥深いものを味わえそうな予感です。
ショパンⅢ世さんの創作も楽しみですが,このような
本の紹介も,母の立場として,とても参考になります。
ありがとうございました。
ちなみに、けんさんが煙草を喫っている場面が2箇所あったのですが、この度の復刊本ではその描写を描き変えているようです。時代の流れですね…。
>一見,食べ物を無駄にしている物語のようにも思えますが, きっと読んでみたら,奥深いものを味わえそうな予感です。
確かにそのお客は、物語中でラーメンを粗末にしています。しかし、これを真似て食べ物を残す子供はまずいないと思うので、例えば小さな子に読んであげても差し支えないでしょう♪
>このような本の紹介も,母の立場として,とても参考になります。
そう仰って頂けると、こうしてブログに載せた甲斐があります☆僕の主観ではありますが、これからも少しずつ良質な作品を紹介していきたいと思います。
表紙を見ただけで読んでみたい気にさせられます。
子供時代に読んでた本が今も店頭に並んでたりするのをみるとうれしいですよね。
本屋さんで見かけたら読んでみますね。
今日のお昼、偶然にもラーメンでした(*´Д`*)
もう表紙からして不思議な雰囲気が漂ってますよね。全体的に赤・黄・オレンジ等の暖色系を基調としているので、ラーメンの熱さや匂いが伝わってくるんです。今のように自分のお金でラーメンを食べる事ができなかった子供の時、どんなに美味しいんだろうと想像したものです☆
あっという間に読み終えられますから、是非読んでみて下さい♪
種類が豊富にあるカップ・ラーメンを手軽な値段で食べられる現在、この作品のように店に赴いて素朴なラーメンを食す人は減っているでしょうから、そういう点でも妙な懐かしさをもたらしてくれる絵本です。