名残の花
澤田 瞳子
新潮社
江戸から明治に時代は移りかわり価値観ががらりと変わります。
かつては、武家の後ろ盾があった能の世界は明治になり切り捨てられて行きます。
世の趨勢にあらがい細々と能の存続を願い修行に励む若者、その若者に稽古つける老いてもなおかくしゃくとした師匠。
かつて歌舞音曲を風紀を乱すと取り締まる側にいて罷免後も老いてもなおかくしゃくとした武士の生き残り。
世の中は単純に江戸から明治に移りかわりったわけではなかったようでした。
明治と言う時代に打ち捨てられた物、明治と言う新しい時代に活路を見出した物の能と武士の志を糧に生きた老人と若者の交流が描かれています。
