詩3679「Off She Goes」

波止場に腰掛け

波の行方まで

目で追う人影

心は雲の上

黒髪なびかせ

身体で風受け

持つのは笛だけ

船に乗り旅立て

明日の今頃はどの港に着くのか

荷物も思い出もこの街に残して

胸の奥に残るあの音だけを辿って

どこかにある本当の故郷を探して

波の彼方まで

笛の音響かせ

追い風背に受け

走りゆく帆の船

捨てて行く足枷

海の底に沈めて

ただ前だけ見つめて

涙は枯れ果てて

明日の今頃はあの港に着くのか

夢の中で聞いた懐かしい笛の音

胸の奥に残るメロディを今初めて

故郷が歌う声　涙は流れて