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厚木市議会議員「奈良なおし」の思うことをそのままに

コストコガソリンと大店法

2015-11-30 01:44:42 | 政治
アメリカ発の激安スーパー「コストコ」は、ガソリンも激安で販売しているということが判明した。現在、ガソリンの全国平均価格が120円前後を推移している中、コストコが販売している価格はたったの87円だ。

(2015/11/29 NETgeekより引用)

ネット上ではこんな記事が踊って話題になっています。
石油価格が下落基調で、国際原油価格指標でもあるWTI(=West Texas Intermediate)は2014年7月までは$100ペースであったが、2015円1月には$45を割り込むなど、とにかく下落を続けており、厚木市内のレギュラー小売価格も115円前後となって「安くなったなぁ」というのが正直な感想ではありますが、レギュラーガソリンが87円/リットルとは安い。

元石油関連会社勤務として、事情を知る側の立場で申しあげますと、ガソリンなどの揮発油はエネオスや昭和シェルなど、系列間で取引される「系列玉」と、在庫のだぶつき等で取引される「業転玉」という商流が発生し、いわゆる巷の安売りガソリンは後者の「業転玉」によるものです。

一方、私の試算ですが円建ての原油コストに石油石炭税とガソリン税を加えると88~89円程度、ここに消費税が加算されるので96~97円というのが現状考えられる1円も利益の無い状態であって、業転玉の取引価格換算でも107円程度が小売店の仕入れ価格であって、この状態はどのように考えても仕入れ以下になってるものです。

ただし、コストコは店舗で商品を購入する際に年会費がかかるので会費収入でペイできるという見方もできますし、また、こうした大型ショッピングセンターの収益源は店舗売り上げのほか、テナント料収入が大きいので、このように口コミで話題になって、お客さんが集まるなら仕入れ値とトントン、もしくは赤字でも問題ないという判断だと思います。

こういう話題がのぼりますと出てくるのが、通常のガソリンスタンドが「ぼったくり」と言われちゃうことですよね。
これは真面目な話として「87円/リットル」の水準ならば、普通のガソリンスタンドはこの価格で仕入れたほうが安い状態であって、つまり、コストコ価格と通常のガソリンスタンドを同列で考えるには無理があると思った方が良いと思います。

一方、日本国内で24店舗を展開するコストコでは今後も概ね50万人商圏に1店舗の目安で展開を計画していますので、石油関連を事業とされている方にとっては対岸の火事とはならない可能性を秘めています。

こうなったのも2000年に大店法(=大規模小売店舗法)が廃止され、大型店舗出店に際し、商工会議所等の関与が出来なくなって以来、週末に賑わう郊外の大規模ショッピングセンターが林立し、その付近の従来の小売店舗はシャッター街に化ける。日本全国津々浦々にセブンアンドアイ、或いはイオンがあって、シャッター街が出来ている・・・それが全国各地を見てきた私の感ずるところです。

こうした背景にはバブル期以降、工業団地へ造成したものの塩漬けとなった土地を手放したい自治体の意向もあり、こうした大規模ショッピングセンターは自治体も誘致に動いている背景があります。事実、誘致に成功さえすれば税収も上がるので、周辺の自治体にある商圏を先に喰おうと誘致に必死になっています。

しかし高齢社会を迎え、いつまでも週末に車を走らせ、大規模ショッピングセンターに足を運ぶモデルが本当に通用しつづけるのか?を考えなくてはならないはずであり、今回はガソリンですが、これが食品等生活関連用品に波及すれば、益々地域の小売業は死滅しかねません。

まちづくり、地域、防犯、様々な場面で小さなコミュニティの一つの核としての小売業の存在があるはずです。その観点から、今やらなくてはならない政策のひとつは「小売業の秩序回復」であって、新たな大店法を検討する時期が来ているのだと指摘します。

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