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名邑十寸雄の手帖 Note of Namura Tokio

詩人・小説家、名邑十寸雄の推理小噺・怪談ジョーク・演繹推理論・映画評・文学論。「抱腹絶倒」と熱狂的な大反響。

♪ その嘘ホント 「ベネチア風ピザの切り方」

2013年03月12日 | 日記
 ベニスの料理店で客がピザを頼むと、店員が笑顔で問い掛けた。
「お客様。ピザは4枚に切りましょうか、それとも6枚が宜しいでしょうか」
「君は、このテーブルに何人座っているか見えるかね」
「お独りです」
「だったら、一枚でいいだろうに」
「いえ、そういう事ではなく、私は何枚に切るかという点を」
「どう切ろうが、私の勝手だ。フォークとナイフを持ってこい」
 
 ピザが来ると、紳士はアンチョビやベーコンの並んだ上側と、下側のベースを別々に切り離した。不思議な方法に見惚れて、店員達だけでなく通りすがりの客までテーブルを囲んでいた。
「見世物じゃないよ。じろじろ見るな」
「ピザを上下に切り分けるとは、珍しい食べ方ですね」
「誰しも好みがある。等分にする方が、余程不合理だろうに」
 紳士は、胸元を開けると如何にも愉しそうに云った。
「お前達もお腹が空いたろう。さあ、海育ちのトムにはお魚、山育ちのジェリーにはベーコンを上げよう。パパはチーズ・パンを頂こうかな」
 その言葉の終らぬ内に、紳士は胸から飛び出した二匹のペットに食べられてしまった。そして、得たいの知れない生物は、けたたましい叫び声を上げながら窓から空に飛び去った。

 腰を抜かした店長が、店員に云った。
「看板に、一言書くのを忘れていた」
「何ですか」
「ベネチア風ピザ・ハウスは、ペットの同伴お断りだ」
「それにしても、好き嫌いの激しいペットでしたね」
「少なくとも、アンチョビとベーコンは口に合わなかった様だね」
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♪ その嘘ホント 「老眼の実態」

2013年03月12日 | 日記
「もう年だね、最近目が悪くなった」
「隣のテーブルでピザを頼んだ老人が見えたかね」
「ピサを上半分と下半分にカットしておった。変わった男じゃな」
「何だ、目は見えるじゃないか」
「その後、男とピザがどうなったのか良く分からん」
「見えなかったのか」
「忘れてしもうた」
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