名邑十寸雄の手帖 Note of Namura Tokio

詩人・小説家、名邑十寸雄の推理小噺・怪談ジョーク・演繹推理論・映画評・文学論。「抱腹絶倒」と熱狂的な大反響。

♪ 我輩は蛙である風 スクリューボール・ジョーク

2012年12月26日 | 日記
「俺達、がま蛙だよね」
「そうよ、あなた」
「じゃあ、何故ヒキガエルの子が生まれたんだ。劣勢遺伝かな」

「なんであたしが、ヒキガエルと浮気しなきゃいけないの。気持ち悪い」
「それもそうだな」
「病院で間違えたとしか考え様がないわね」
 傍(かたわ)らで聞いていた坊やが、口を挟んだ。
「違うよ。パパとママは、勘違いしているんだ」

「そう云われてみれば。あたし達、がま蛙じゃないかも知れない」
「宇宙船の出発以来、夢の中をさ迷いながら、意識下で交信していたんだ。あれから、もう3千億年カプセルで眠ったままだもの」
「夢でもいいけど、あたし達の種族の名は何ていうのかしら」
「浮世の名称など、どうでもいいじゃないか。ほら、真っ暗な到達点が見えて来た。やっと目的地に達するんだ」
「目的地って、まさか」
「ブラック・ホールの調査。本当に神様がいるのかしら」
「ママ。僕達が何者かも識らずに、幾ら考えても無駄だよ」
「坊や。あなた、一体誰なの」
「僕にも、良く分からない」と振り向く子には、目も鼻も耳も口も無く体中がつるっとしている。
「どうして我々は、地球人類の言語で会話しているんだろう」
「という事は、詰まり」

「恐ろしくて、これ以上考えられない」





♪ クリスマスのシャンペン風 スクリューボール・ジョーク

2012年12月25日 | 日記
「外に繋いでおいた馬が消えた。俺は、ビールを一杯呑む。その間に馬が戻らない場合には、このバーにいる全員に俺が何をしでかすか思い知らせてやる」

「バーテンが口を挟むのも気が引けますが、繋ぎ忘れたんじゃないですか」
見ると、無人の馬が一頭砂漠の中を走り去って行く。
「俺達は、指名手配中のお尋ね者ばかりだ」という男達数名が、ライフルの銃身を男の頭に突き付けて素早く拳銃を抜き取った。
「お前がここにいる全員に何をしでかすか、是非聞かせて貰いたい」
「クリスマスですから、皆さんにシャンペンをおごります」
「有り金全部だろうな」
「当然です」
「それから、どうする」

「今の状況から判断すると、隣の町まで歩いて行く他ないでしょうね」