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物語を食べて生きてます

アニメや小説など物語に感謝を込めて

深読み探偵大神空也 ふぁいる四十四 歳を取ったかな

2010-01-27 22:38:24 | 深読み探偵 大神空也
「私も歳を取ったかな」
「どうしたんですか急に?」
 感慨深げに言う大神にユリが尋ねる。
「いやね。ある物語の登場人物のキョッチフレーズにね。
  プライドと夢は、誰にも負けない
 というのがあったんだよ」
「はあ、良くあるようなフレーズですけど」
「いやね、そうなんだけど。
 私がこのフレーズからいける印象は ズバリ
   『痛い』
 なんだよ」
「痛いですか」
「ああ、若い頃なら 
   『格好いい』
 と感じたんだろうが、今じゃ痛いだよ。
 なんか、実力が無くて 口だけばっかりの痛い子を連想してしまうのだよ」
「そうなんですか、私なんか結構いいイメージで受け取りますけどね」
「ユリ君もそんな無理しなくても、君だってもうじき・・・」
「もうじきなんですか」
「いやゴホン。
 と言うわけで思いついたのが
 大神式 精神年齢テスト。
 次の言葉からあなたが受けるイメージで精神年齢が分かる。
 ①プライドと夢は、誰にも負けない
 ②まあ、なんとかなるさ
  などなど
 本にしたら売れると思わないかい?」
(そんなこと考えつくなんて 十分精神年齢ひく・・若いですよ)
と思いつつもユリは答える。
「やってみなけりゃわからねえ」

深読み探偵大神空也 ふぁいる四十三 テレビの底力

2009-04-15 00:45:37 | 深読み探偵 大神空也
「くっやはり何だかんだいっても侮れないな」
「何がですか?」
 ノートパソコンを見て唸る大神にユリが尋ねた。
「おおっユリ君これを読みたまえ」

【速報】昨日のT○Sのすべての番組の視聴率が2ケタを切って1ケタ台に

「へえ~ネットに押されて低迷しているとは言われてましたけど・・・」
「そうだ、凄い視聴率だろ」
「はい?」
 思わず?と小首を傾げてしまうユリ。
「私はそんな不思議こと言ったかね?」
「だって視聴率が一桁だなんて」
「そうだ、つまり100人に1人は見ているわけだ」
「いえいえ、100人に1人しか見てないのですよ」
「はあ~意外とユリ君も計算が出来ないんだな、そんなことだから女は・・・」
「なんですって、よく聞こえませんでしたが」
「はっは、いやいやユリ君はいつも聡明で綺麗で優しいなあ~。
 だからまずは私の話を聞こう」
 ユリの笑顔に大神は脂汗が大滝のように溢れ出すが、最後の威厳を保つ為あく
まで口調は冷静に語り出す。
「日本の総人口を1億として、視聴率一桁ということは100万人は見ていると
言うことだ」
「まあ、そうですね」
「これをだな、よく比較されるインターネット計数に変換すると。
 一日 100万 IPということだ。
 これは人気ブログサイトを遙かに超える数字だぞ」
「いやそのそんな個人の・・・」
「くそ~羨ましい。
 ちなみに椿ちゃんと作った宣伝用の深読み探偵blog なんて一日10IPがい
いとこだぞ。くそ何がいけなんというのだ」
「それは知りませんでしたが、ちなみに何が書いてあるのですか?」
「それはもちろん、日頃の私の素晴らしい深読みをだな華麗に綴っているに決まっ
ているではないか」
(あんな戯れ言を10人も読むなんて日本は広いですわね)
 ユリは心の中そっと溜息を付く。
「やはり色気か? 圧倒的に色気が足りないと言うのか。
 水戸○門の由○かおる入浴シーンには勝てないとうのか。
 こうなったら、ユリ君の悩殺水着写真を乗せるしかない。
 大神探偵事務所の為一肌脱いで@!#$%」
 会心の音と共に大神は沈黙した。
 呼び掛けても返事がない、屍のようだ。
「というわけで、久しぶりの登場と共に退場してしまいましたので、今度からは
美人探偵ユリが始まります。皆さんよろしくね」


 このお話は、完全オリジナルのフィクションです。
 存在する人物団体とは、一切関係ありません。

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深読み探偵大神空也 ふぁいる号外

2008-09-01 23:45:30 | 深読み探偵 大神空也
「驚いちゃった」
「本当ですね」
「何気なくテレビ付けたらいきなりだもんな~」
「ボク楽しみにしていたドラマ見れなかった」
「世の中には、嫌なことがあっても仕事を辞めないで
頑張っている人いるのに、というか仕事は辛い」
「ほんとですよ。私だって安月給我慢してるのに」
「時給あげるっしょ」
「こほんっ。
 つまりだ、簡単に辞められる政治家は仕事じゃないんだよ。
 サークルや同人会みたいなもので、楽しい仲間の寄り集まり」
「それはちょっと、言い過ぎじゃ」
「いいや、そうなのだ。
 つまり逆説的に考えれば、金持ちは政治家になってはいけないのだ。
 貧乏人もしくは普通の人で、議員の給料を貰わないと生活出来ない人が
やるべきなのだ。そうすれば、簡単には辞められない。
 きっと必死になって政治という仕事をやってくれるだろう」
「う~ん、一理あるような無いような」
「なんにしろ、日本の総理の尻は軽いのね。
 だが安心しろ、この大神空也は最後までやり遂げるぞ」
「はいはい、誰も期待してませんけどね」
「そんにゃ~」



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深読み探偵大神空也 ふぁいる四十二 OhIShe

2008-08-31 01:11:10 | 深読み探偵 大神空也
「むっむ、こっこれは」
 私の前にはカレーライスが置かれ。
 その向こうには、制作者のユリがいる。
 そして、一口食べた私をぎゅっと凝視している。
「隠し味に入れられたパイナップルによる甘味と酸味が強調され。
 更には辛さを引き立てる積もりで入れられたんだろう、天然塩
による塩見加減。
 体にいいから入っているゴーヤによる苦み。
 やっぱり日本人なのか、垂らされた醤油によるうま味が混じり」
 感想を聞き入っているユリ、その目は期待に輝いている。
 ちらっと横目で見ると一緒に食べていたはずの椿は、既にいなく
なっている。
 ちっこういうときは素早い奴目。
 とっ兎に角言葉を続けなければ、そう私は深読み探偵。味だって
深読みしてやるよ。
「なっなんとこれは、あやゆく味逃すところだったぞ。
 隠しに隠しきった隠し味(そんなに隠して意味あるの?)、チョ
コレート、いやいや。
 これはヨーグルトによる、カルシウム味だな。
 これで、味覚の6要素は揃った」
「あの~」
「なんだね、ユリ君」
「味は、甘味、酸味、苦味、塩味、うま味5要素ではないのですか?」
「くっく、ユリ君は情報が遅い。それではグルメ評論家には成れないぞ。
 これを見ろ。
【「カルシウム味」を認識?=苦くて酸っぱい第6の味覚-米研究者
 【ニューヨーク30日時事】うま味に続く新たな味覚発見か?
 人間がカルシウムを「味」として認識している可能性のあることが、
米ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるモネル化学感覚研究所の
マイケル・トルドフ博士らの研究で、このほど明らかになった。
 肝心の味だが、「カルシウムっぽいとしか言いようがない。
苦くて、恐らくちょっと酸っぱい」(同博士)という。 】

「分かるかね、ユリ君。これが世界に与える影響。経済効果は絶大だよ」
「そっそうなのですか」
 半信半疑顔のユリ君、相も変わらずいい反応してくれる。
「今までは、料理の批評に味の五要素をつらつら述べていたのが、今度は
六要素についてつらつら述べるんだぞ。それにより、表現の幅が1.2倍
にも増えたのだぞ。
 1.2倍を馬鹿にしてはいけない、100円の缶ジュースが110円に
なったときより、大きいんだぞ。
 料理の紹介だって、1.2倍も増えればページの穴埋めは楽、ライター
さん大助かりさ。レストランだって料理の紹介が楽。これら作業効率アップ
で経済は上向きになる。不景気脱却だーーーーーーーーーーーーーーーー」
「なんか凄そうですね。
 でそれはそれとして、結局私の料理どうでした?」
 ちっ深読みで誤魔化せなかった。
 ユリ君はいつもが嘘のような純粋な笑顔で聞いてくる。
 どうしてこう向上心の高い人はこう独自料理に走るのかな~かな~。
「OhIShe(おういーしー)かったです」
 Oh my God
 I am unnhappy
 She is happy
 の頭文字を繋げた造語だよ、この野郎。
「嬉しい、お代わりいっぱいありますので沢山食べて下さいね」
 心からの笑顔を見せてくれてありがとうユリ君、その笑顔をおかずに食べて
見せましょ、それぞ深読みの道?
 いやいや、男の甲斐性ですか。 


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深読み探偵大神空也 ふぁいる四十一 焦土作戦

2008-07-06 22:37:26 | 深読み探偵 大神空也
薫コーヒーを楽しみ
 優雅に私は新聞を読む
紹介しておこう
 私は 探偵 大神 空也
 今日も迷える子羊が救いを求めて我が探偵事務所のドアを叩く。

ヘッドライン
<大分・教員採用汚職>教員採用「カネとコネ」とうわさ絶えず 暗部に踏み込む
 ◇校長・教頭贈賄で子供合格

「どうです、この事件。こんなことが国民の知られないところで行われていたんですよ。
 それがついに正義の一刀両断。
 この教育に蔓延る暗部、是非先生の深読みをして下さい」
 20代くらいの青年、背権 詩等豆が我が事務所に駆け込むなり意気揚々と記事を掲げ
興奮している。
「確かに、何で今更メスが入ったのかそこに興味が引かれるな」
「はれ、先生そっちに惹かれるの?
 公務員のこの体質については」
「公務員の子は公務員。
 公務員はカネとコネ次第。
 そんなこと今更言われなくてもな~。
 私の田舎だって市役所に採用されるのは、金とコネがある奴だけだぞ」
「へっそうなんすか?」
「そうだよ。
 公務員は世襲制の仕事、そんなこと誰だって知っている。
 君はそんなことも知らなかったの」
「はあ」
 背権は顔を赤くして俯いてしまった。
「でも、ほんとうに何で今更メスを入れたのでしょう?」
 私の有能なる助手ユリ君がお茶を置きつつ聞いてきた。
「まあ、普通に考えればスケープゴート。
 最近公務員への風当たりが強いから、もっと凄い暗部を隠すために、取り敢えず適当な
これに犠牲になって貰ったと」
「妥当すぎて、面白くないっしょ」
 こちらは、アルバイト所員椿くん。
 いいツッコミだ。
「その通り、そんなありきたりのことなどこの深読み探偵大神空也がするか、してたまる
か。
 暫し待て、今この空也あっと驚く、深読みをしてやる」
 警察と教育。
 この二つを繋ぐ糸は何だ。
 潜れ潜れ。
 深読みをしろ。

 なぜ同じ公務員同士がこんなことをする?
 その狙いは。

 ある日の公務員サミット開催
A「最近、国民調子に乗ってねっ」
B「そうっすね。誰のおかげで生きていられる思ってるって感じ」
C「お上に意見するとは不届き千万」
D「いっちょお灸すえね」
E「いいっすね」
A「じゃあ、こんなのはどう?」
 斯くして開始される反攻作戦

 こんな餌で教育界マスコミ大叩き
       ↓
 領民も踊らされて教育界を大叩き 一揆が始まる
       ↓勢いに乗って進軍する一揆
 先生への不信高まる
       ↓更に領地深くに敵を誘い込む
 モンスターペアレント増殖
       ↓まだまだもっと領地に引き込む
 モンスターペアレント調子に乗って暴れまくり
       ↓補給線が伸びきる
 モンスターペアレントに批判が高まる
       ↓補給線が切れた。
 子供が手を付けられなくなる
       ↓反撃開始
 親たちに批判高まり、領民同士で馬鹿なつぶし合い
       ↓
 やっぱり先生様にさからっちゃなんねえだとなる
       ↓
 ひいてはお上に逆らっちゃいけねえだになる
 
「くわっ読めた。
 これは公務員が仕掛けた、焦土作戦だったんだ」
「それは一体」
 背権が尋ねてきた。
「撤退の時期を見誤ると取り返しがつかないということだ」
「撤退って勝っているのに逃げるんですか?」
「そうだ、ほどほどに勝つそれが大事なのだよ。
 さもなくば、補給が切れる間もなく一気に相手の息の根を止めるかだ」
「難しい戦いですね」
「そうだ。まさしくヤ○提督のような方が必要な時期なのかも知れない」
「そこまで追いつめられているのですか」
 私の考えを悟ったのか深刻そうな顔でユリ君が言う。
「大丈夫っしょ」
「なぜだい椿くん?」
「外国に行けばいいっしょ」
 椿はあっけらかんと言い切った。
 そうだな、何も日本人だから日本に拘る必要はないのかも知れない。
 将来、転職成らず天国が普通になる時代が来るかもな。
 はれ!? 天国って・・・。 


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深読み探偵大神空也 ふぁいる四十零 フロンティアスピリッツ

2008-06-12 00:07:19 | 深読み探偵 大神空也
薫コーヒーを楽しみ
 優雅に私は新聞を読む
紹介しておこう
 私は 探偵 大神 空也
 今日も迷える子羊が救いを求めて我が探偵事務所のドアを叩かなかった。
 いつもの暇な一日。

「あら、今話題の水泳ですか?」
 暇そうにスポーツ新聞を読んでいる大神にユリが話しかけた。
「ああ、凄いな水着でこんな変わってしまうものなのか」
「それ知ってるす。その水着着ればボクも世界記録っしょ。
 ゴールドメダルで、カルデ有名人っしょ。
 ボク、テレビに出られる?」
 夢見る椿。
「それは言い過ぎ。
 でも、これでは技を競っているのか、技術を競っているのか分かりませんね」
「うむ、スポーツとは本来己の技と体で勝負するのが本道。
 これはもう、公平にやるにはもう裸でやるしかない。
これぞ、貧乏人も金持ちも関係ない、真の公平、技と肉体勝負」
 拳に力が入る大神。
「所長、えっちっしょ」
「そんなの出来るわけ無いでしょ」
 頬を赤くして大神の頭を叩くユリ。
「いたた、叩くこと無いじゃないか。
 でもまあ、聞けばこの水着会社、ルールスレスレのところを狙って、この水着を
作ったらしいな。
 おかげで、水着は予約で一杯、うはうは。
 富も名声も、いつの時代、いつの世も、危険を恐れずチャレンジフルにフロンティ
アに挑んだ者が掴むのだな」
「そうですね。そういう殿方には惹かれたりもしますわ」
「ボクも、カルデ格好いいと思うっす」
「そうか。
 史上初とは、美女も手に入れるのか、まさしく勝利者の称号だな。
 とると彼は今頃銀座かどっかで祝勝会でも開いているのかな?」
「はい、そんな偉業を達成した人最近いました?」
 小首を傾げるユリ、さらさらの黒髪がすっと流れる。
「なんだユリ君、新聞はちゃんと読まないと駄目だぞ。
 ほれ、
< 福○首相 民主党など提出の問責決議、参院で可決 史上初めて>
 うんうん、彼も前人未踏の危険地帯で勝負した勇者。
 間違いなく、歴史に名を残したし史上初の栄光に相応しい人物だな」
「あの~それはどちらかというと。
 成し遂げられなかったのでは・・・」
「何を言う。
 史上初はそんな軟弱者に送られるわけが無かろう。
 後期高齢者、官僚の不祥事、年金問題。
 ありとあらゆる日本の瘡蓋を取りまくり、膿を出しまくっているじゃないか」
「そうですね。出し切れれば素晴らしいでしょうね」
「ボク、ばっちい膿きらい」
「ふっ史上初とは傷だらけの称号なのだよ」
「おあとがよろしいようですね」



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深読み探偵大神空也 ふぁいる三十九 サムライとカウボーイ

2008-06-04 00:52:45 | 深読み探偵 大神空也
薫コーヒーを楽しみ
 優雅に私は新聞を読む
紹介しておこう
 私は 探偵 大神 空也
 今日も迷える子羊が救いを求めて我が探偵事務所のドアを叩く。

「所長、10時に予約していた有月さんが来ました」
 私の優秀なる助手ユリ君が来客を告げた。
「うむ、通してくれたまえ」
 ユリ君に連れられ、スーツに身を固めた男が入ってきた。
「初めまして、有月といいます」
 有月は、折り目正しく一礼をする。
「私は、深読み探偵 大神 空也です」
「先生のご高名はいつも聞いています」
「まあ、そうでしょう。
 自慢話は後でたっぷりするとして、まずは座って下さい」
「・・・はい」
 失礼な有月は呆れ気味な顔を一瞬だけだけどした。
 ふんっ私は無意味な謙遜などしないのだよ。
 なぜなら、私は自分に自信がある真の探偵だからだ。
「今日は是非先生に暴いて欲しい陰謀があるのです」
「ほう、なんですかな」
「これです。
<車離れにスタンドも悲鳴…ガソリン200円時代現実味か
 ガソリン200円時代がいよいよ現実味を帯びてきた。
石油元売り各社が6月からガソリンの卸売価格を大幅に引き上げたこと
を受けて、レギュラーガソリンの価格を1リットルあたり170円超と
するガソリンスタンドが登場してきたのだ。原油価格は依然高い水準に
あり、1バレル=150~200ドルを予想する金融機関もある。ガソ
リン高騰は収まる気配がない。>」
 ほうっこの記事で来たか。確かにこれは私も最近注目していた。 
 なかなか、やるな有月、ただの堅苦しい奴じゃないな。
 感心しつつも、そんな内心を悟られないように私はクールに先を施す。
「これが」
「おとぼけを、先生なら分かっているはずです。
 ガソリンが200円なんて異常です、これは何かの陰謀に違いない。
 是非先生の深読みで、この陰謀を暴いて頂きたい」
「陰謀はいいとして、なぜです? あなたはただの一般人でしょ」
「何を言っているのですが、善良なる一市民として陰謀に気付いてしまった以上
気になってしょうがない。いやいや、正義心が許しません」
 今、ちらっと本心が出たか。
 まあ兎角群衆は陰謀が好きなもの、珍しくない。
「その正義感感心しました。この依頼引き受けましょう」
「ありがとうございます先生」
「感謝するのはまだ早いです。では、深読みを開始します」
 私は目を瞑り深く深く読みを始める。

 原油高騰
 そうなるとどうなる?
 アラブの王様うはうは。
 違う、こんなのは浅い、全然深読みじゃない
 原油とは何か?
 原油が無くなるとどうなる?
 車が走らなくなる。
 石炭会社うはうは。
 まだまだ浅いぞ大神。
 ミサイルも飛ばない。 
  

 数分に及ぶ深読みの後、私はゆっくりと目を開けた。
 恐ろしい。
 恐ろしい陰謀に気付いてしまった。
 これを目の前の一般人に言っていいのであろうか?
「分かりました。確かに秘密結社の陰謀です」
「やはり。それでその秘密結社とは」
「答える前に確認したい、敵はあまりに強大。
 知ればあなたの身に危険が及ぶかも知れない、それでも知りたいですか?」
 私は真摯に質問した。
 数秒の間、有月は答えた。
「危険でも教えて下さい。私はもう無知ではいられない」
「分かりました。
 これは、日本とアメリカ、2大秘密結社の陰謀です」
「なんですって、というとフリーメーソンとか?」
「違う、そんなもんじゃない。もっと骨がある組織です。
 原油が無くなればどうなると思います」
「う~ん、車が走らなくなるかな」
「そうです、それです。
 車が走らなくなる→代わりが必要→ガソリンいらないもの→馬」
「馬?」
「そう馬です。そして馬と言えば、カウボーイ。
 これは車に破れたカウボーイ達の陰謀なのです」
「ホントですか?
 そんなしかし」
 有月はよほど驚いたのか自問自答している。
 こんなことでは、もう一つの組織を聞いて大丈夫だろうか。
「落ち着いて下さい」
「すいません、驚愕の事実だったもので、それでもう一つの組織とは」
「原油が無くなって動かなくなるのは車だけではありません。
 船飛行機なども動かなくなり、日本人は海外に行けなくなる」
「つまり、日本の海外進出を妨害する外国の陰謀?」
「浅い、浅すぎますぞ有月さん。
 日本の海外進出を好ましく思わないのは外国だけじゃない。
 つい数十年前にもあったでしょう」
「ありましたかな」
「あるでしょう。
 サムライですよ」
「さっさサムライ」
 有月から血の気が引いた。
「そうかつて攘夷を唱え鎖国を守ろうと戦ったサムライ達ですよ。
 彼らは敗れ地下に潜りはしたが、今この機会に鎖国を達成すべく動き出したのです」
「カウボーイだけでなく、サムライが敵だなんて」
「そうです。
 これぞ真の日米同盟。
 サムライとカウボーイ、敵はあまりに強すぎます。
 悪いことは言いません、今日聞いたことは忘れてしまいなさい」
「我々はもう終わりなのでしょうか?」
「いや、救いはあります。
 サムライとカウボーイ、これに勝てるたった一つの希望。
 それは」
「それは」
「ヒロインですな」
「ヒロイン!?」
 有月は何とも言えない顔になった。
「古来より、サムライもカウボーイも女には弱い。
 すなわち、可愛い女の子。
 すなわち、美少女。
 すなわち、萌え萌え。
 すなわち、アキバ産業。
 そう世界の命運は、アキバ産業に掛かっているのです。
 アキバ産業が、サムライとカウボーイを虜にするヒロインを生み出すのが先か、
 日本が鎖国するのが先か。
 我々は、残念ながら傍観するしかないのです」
「納得しました」
 有月は入ってきたときと違い、憑き物が墜ちたすっきりした顔になっていた。
「私も微力ながら応援する意味を込めて、帰りに美少女コミックを勝って帰ります」
「ええ、そのささやかな応援が奇跡を産むのです」
「では、失礼します」
 こうして、私の深読みが今日も一人の迷える子羊を救ったのであった。

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深読み探偵大神空也 ふぁいる三十八 大神ガイド

2008-05-19 00:34:25 | 深読み探偵 大神空也
薫コーヒーを楽しみ
 優雅に私は新聞を読む
紹介しておこう
 私は 探偵 大神 空也
  おっと探偵と言っても浮気調査なんてしないぜ
  追い掛けるのは 夢さ
今 私のことを笑った奴
 寂しい人生を送っているな
この世に夢などない
 いつまでも子供みたいなこと言わないで現実に目覚めろとでも説教する気かな
私に言わせれば想像力のない いや洞察力のない奴としか言いようがない
 この世には 心躍る不思議なことや
        大金を掴むチャンスなど
山とあるのに嘆かわしいことだ

「所長~」
「なんだ、人が折角優雅にコーヒーとキシリトールガムの組み合わせを堪能して
いるというのに」
「もう限界っしょ。舌がぴりぴりで麻痺っす。それにこれ試す人いるんすか?」
 椿は犬のように舌をだして、はあはあ息をし、その前にはカレーと納豆が置いてあった。
「何を言う。カレーを食いつつふとライス部に納豆を掛けてみようとする人がいないと、
なぜ断言出来る、いや出来ない。
 そして組み合わせたときにどんな効果が出るか、それは未知だ」
「すでに味が未知っす」
「頑張るのだ。大儲けしたら寿司でも何でも奢ってやる頑張れ」
「ううっ辛いっす。本当にワクワクに儲かるんすか?」
「何を言う、世の中健康ブーム。健康には不景気でも幾らでも金は出す。

 そしてこの記事。
<ネットで見た「メントスコーラ」を胃袋で実験した女子大生、鼻と口からコーラ
が吹き出し病院に担ぎ込まれる…中国>
 
 くっく、これぞ現代版食い合わせ。
 昔はウナギに梅などと食い合わせが悪い物についてそれとなく言い伝えがあった。
 だが、今はどうだ?
 日々 新食い物は開発されているのに食い合わせについては発表されていない。
 そこで、2008年版空也ガイドを作り、一緒に食べてはいけない食い合わせガイド
を作れば大儲けすること間違いなし。
 普通の人は害を避けるため。
 当たり屋は企業を訴えるためにと大活用。
 ミリオンセラー間違いなしだ」
「そうよ椿ちゃん、頑張りましょう」
 ユリが椿の肩に手を置いて勇気づける。珍しく大神に協力的。
「ユリさん。
 でもうるうるの涙目っす」
「頑張るのよ。はいこれは所長に」
 ユリは大神の前に、ブルーベリージャムとキムチを置いた。
「あの~ユリ君この組み合わせは?」
「あら、パンにブルーベリーを塗りつつ、ふと刺激が欲しくなることだってありますわ」
「そうかな~」
「そうです。頑張って下さいね所長。
 これから私は椿ちゃんと一緒にフランス料理店に行ってきます」
「おい、さぼる気か?」
「いーーえ仕事です。
 ちゃんと一流フランス料理とコンビニで買ったウーロン茶の食い合わせを試してきます」
「ちょっと待て」
「予算が尽きてワインの代わりに、ウーロン茶にする可能性がないとは言い切れないでしょ。
 では。行きましょう椿ちゃん」
「ういっす」
 聞く耳持たないユリの後をミサイルのように飛んで付いていってしまった椿。
「己、私一人だけでもやってやる。
 金持ちになって見返してやるもん」
 事務所の中、大神は一人涙目でもくもくと食事をしたとさ。

後日
 大神ガイドは見事自費出版され、三部ほど売れたとさ。

深読み探偵大神空也 ふぁいる三十七 二虎強食の計

2008-05-15 00:53:47 | 深読み探偵 大神空也
「これは、評価を変えなくては成らないかもしれないな」
 大神は感心したように唸った。
「誰の評価をですか?」
「この記事を見てくれ
<道路特定財源>省庁や族議員で予算争奪戦 一般財源化
5月14日20時8分配信 毎○新聞 」
「直ぐさま金の取り合いなんて、何かあさましいですね」
 眉を顰めるユリ。
「そう、官僚対官僚の戦いが始まったんだよ。
 しかし、この戦い誘発されたものだとしたら?」
「えっ」
「今まで中期計画は歴代の改革派が手を付けようとして、
 官僚・族議員という猛虎の抵抗に合い頓挫してきた。
 この猛虎に戦いを挑むのはことごとく倒される。
 そんなときユリ君ならどうする?」
「え~と、大砲」
 じと~と呆れる視線を送る大神。
「すっすいませんね。頭悪いですよ~だ。
 ならどうだっていうんですか」
「そんな逆ギレしないでよ。
 つまり中国の故事曰く
 二虎強食の計
 猛虎には猛虎をぶつけ、二匹が弱まったところで仕留める。
 すなわち官僚という猛虎には、同じ官僚という猛虎をぶつける。
 官僚の敵は官僚。
 互いにつぶし合わせ、弱まったところで、一気に片付け大改革。
 すなわち、昼行灯、超保守派、やる気無し、チンパ○ジーetc
 色々いわれていたが実は中国の名軍師などに並ぶ知将だったのだ。
 と深読み推理をしたわけだ」
「へえ~何事もほどほどがいいんですね」
「ちょっと待てなんだその可哀想な人を見るような目は?
 ふんっ我が深読み推理が正しいかは歴史が示してくれる」
「なら、外れたときにはごちそうでも奢って下さいね」
「えっ!?」
「椿ちゃんが証人ね」
「了解っしょ。
 ボク、焼き肉がいいっす」
「それもいいわね」
「あの~奢るとは一言も・・・」
「ワクワクの楽しみっしょ」
「お姉さんはお寿司がいいな」
 全く大神を鉄壁で無視。
「なんでうちの猛虎二匹は直ぐ手を組むんだ。
 勝てないじゃないか」
 ガックリ肩を落として溜息大神でした。
  溜息するとピンクの悪魔が来ちゃうぞ。

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深読み探偵大神空也 ふぁいる三十六.五 殿様その2

2008-04-29 21:09:09 | 深読み探偵 大神空也
「所長」
「なにかね、ユリ君」
「実はこんなクレーム来てます」
「どれどれ」
 大神はユリから渡された書類に目を通す。
「げっ」
「げっじゃ、ありません。
 先方はカンカンですよ。所長が責任を持って謝ってきて下さい」
「いや~その~。
 そちに任せる。良きに計らえ」
 大神はクレーム書をユリにぽいっ。
「何馬鹿な事言っているんですか、自分で処理して下さい」
 ユリはアタックで書類をつっかえ返す。
「はあ~嘆かわしい。
 ユリ君には武士道はないのかね?」
 大神は、顔を左に右に優雅に振って言う。
「何を意味不明なことを言っているんです」
「意味不明ではない。見ろ、これぞ武士道。
 日本○産社長 「休みたいなら辞めろ」発言を否定」
「これがなぜ武士道に繋がるのです?」
「ふっふ、確かに否定しているのが社長本人ならそうだろう。
 だが、否定しているのは、

「4月23日の決算発表記者会見において、弊社社長が『休みたいならやめれば
いい』と発言したかのような記事が掲載されましたが、そのような事実はなく、
誠に遺憾に思っております」

 この一文から分かるとおり、否定しているのは社員なのだよ。
 社員。
 これで、社長が言った決定的証拠が出た場合、社長は社員が勝手に言った
と言い逃れが出来る。
 つまり、ドロは社員は全て被る。
 つまり、失態を犯したのは殿様でも腹を切るのは家臣の部下。
 これぞ、武士道。
 つくづく、社員一同現代を生きるサムライ集団だな。
 関心関心。
 ユリ君もこれを見習って、主君のため泥を被る気にならないかね」
「すいません。私西洋かぶれなので」
「なので」
「騎士道を貫かせて貰います」
「騎士道、武士道に劣らない道なのだろね?」
 大神の額から汗が滲み出ている。
「騎士道とは、仕えるに値しない主君なら」
「主君なら」
「あっさり切り捨てる」
「ひいいい、ご免なさい、ご免なさい。
 責任もって処理しますので、切り捨てないで下さい~」
 大神は平謝りに頭を下げつつ、書類を掴むと飛び出していったとさ。