それでも永山則夫が好きだ(スピンオフ)

「ねっとわあく死刑廃止」や、無期懲役囚で「とらえなおし」で知られる飯田博久さんや、小松川事件の李珍宇のことを書いたり色々

(その1)1996年頃から死刑廃止派同士でモメた、『代替刑・終身刑導入』議論について。裏事情など。

2017-10-30 12:43:44 | 死刑の代替刑・終身刑導入問題

1996年頃から死刑廃止活動家同士でモメた、『終身刑導入』議論について書きます。

 

その件について、「水田ふう」さんも、ネットでわかりやすくネットで書いてくれています。

〈終身刑問題〉をめぐって

 

死刑執行をストップさせるために、議員たちに、『代替刑・終身刑導入』を提案しないか、

と、強く主張しだしたのは、フォーラム東京・安田好弘弁護士グループだったそうな。

安田好弘弁護士というのは、死刑廃止派の間では、アイドル的存在の方で、彼のファンも結構おり、彼の言葉をツイッターで嬉しそうに流している死刑廃止派もいますよね。私も、かつて、東京都内の死刑制度関連イベントに行きまくり、安田好弘弁護士のことは、7回以上、生で見ています^^;(もう今は、死刑制度関連イベントは時間の関係で私は行けてないですが。)

 

安田好弘弁護士が、当時、焦って代替案・終身刑を導入したがった心理については、

上の、水田さんのサイトで、わかりやすく書かれているのでご参照ください。

水田さんは、終身刑導入反対派みたいです。

 

『ねっとわあく死刑廃止43号1997.10.20.』でも、終身刑導入の賛否でごたついている様子が見てとれます。

 

1997年といえば、永山則夫が処刑された年です。(1997年8月1日処刑)

↑永山則夫24歳。八王子医療刑務所で、1974年、第二次精神鑑定を行った医師によって撮影。

 

今からちょうど20年前…

1997年9月20~21日に行われた、第10回死刑廃止合宿(in姫路)で、はじめ、3人の死刑廃止活動家がスピーチをされました。

一番目:姫路在住のK氏(終身刑導入反対派)

二番目:安田好弘弁護士(フォーラム東京・終身刑導入賛成派)

三番目:武田和夫氏(永山則夫元支援者・終身刑導入反対派)

 

まず、上の3つのスピーチ内容に、目を通されてください。

そして、この合宿に関係する、『終身刑導入するか否かのゴタゴタ』について、

当時のことをよく知る関係者の方から聞いたことを以下、そのまま載せます。

 

この一番目にスピーチをしたKさんという方は、医師で、さらに、真宗大谷派の僧侶の資格を持った方だった。

Kさんは、理屈を言っている様で、実は「死刑存置」か「廃止」かと言っている私たちのほうが「理屈」を言っているに過ぎないのだと述べている。

Kさんは、スピーチの中で、こう述べている。

・「死刑存置ということに対して死刑廃止があるわけじゃない。存置の中に廃止があるというのが僕の思いです」

・「死刑を求めるというのは、世の中にある、いわゆる犯罪と呼ばれるような事件を憎む心だと思います。・・・死刑廃止もまた、事件を憎むことに変わりはない。・・・加害者とよばれる人を救うことを通して、最終的に事件が起こらない社会を求めるというのが死刑廃止の願いですから。」

つまり彼は、問われているのは死刑を望む人たちの気持ちではなく、死刑を廃止しようとしている私たちのあり方だと言っている。

Kさんは、スピーチで、こう言っていた。

・「存置と廃止がもし違うとすればどこにあるのか。それは、廃止ということが、事件にかかわった人と一緒に生きようとしているということにほかならないと思うんです。加害者と共に生きる、あるいは被害者の家族と共に生きる。その時に、事件を憎む心は、死刑という形では解決されない問題をかかえると思います。」

「日常的な人間関係の中に出てくるのは、やはり、共にこういう事件は起こさないでいこうと。そのための方法を、加害者、被害者と共に求めるにはやはり死刑をやめる以外にないんじゃないかということを僕らがどれだけはっきりと自覚できるかということだろうと思う。」

たしかに禅問答(Kさんは禅宗ではないが)のようなところがあるが、実際に死刑を廃止している国では生きているであろう想いにどこかで繋がっているのではないかと思います。同時に、「現実的配慮」に基づいて「終身刑でより多くの支持を」めざそうという「死刑廃止運動」が実際にどうなって行ったのかを見るまでもなく、そこに全く欠けていたものが示されているように思える。

このとき、Kさんは、安田弁護士が展開しようとしていた「終身刑で死刑廃止と存置が出会う」という論理を、安田弁護士が話す前に根底的に批判している。

しかし、合宿の半年前に出されている『死刑廃止年報』で、安田弁護士の「存置と廃止の出会い」という路線が全面的に展開されていて、Kさんは発言の中でその死刑廃止年報にふれています。それこそ「安田派」が編集している『死刑廃止年報』で、死刑廃止運動の路線として展示されているものに、全国合宿で反論が出ても何の不思議もないはずです。そして「それで本当に出会えるのか」と問われているのに、とっさのこととはいえ安田弁護士は一言もかみ合う反論が出来ていないばかりか、

「この間東京では、終身刑についていろいろと議論がなされています。
・・・今、Kさんがおっしゃったような意見が大変強くあります。」

というふうに、安田弁護士は、Kさんの意見を単に「終身刑導入反対論」としかとらえていない。

「終身刑導入」の最初の動きとして、1996年2月、公明党からのテコ入れで(当時公明党議員が死刑廃止議員連盟の事務局長をしていた)終身刑法案を提出しようとしていたフォーラム90に私が言ったのは、「死刑廃止運動の方向を、全国の仲間への説明を抜きに決めるな」ということだけでした(公明党がその後、どんな「党」になっていったかはご承知の通り)。

東京の大部分を占める「安田派」の人たちは、全国の仲間への説明という運動の最も基本的な原則も果たさず、死刑廃止運動の本質を変えようとした。

その年の秋の全国合宿(箱根)では各地の仲間から「なぜ今終身刑なのか」という議論が相次いだ。次の年に『存置と廃止の出会い』をテーマとする「死刑廃止年報」が出され、Kさんが話したのはその秋の全国合宿でした。

結局「終身刑導入派」は「反武田」で凝り固まり、全国合宿をボイコットし、更には、武田氏が仕事上動けない2月に全国合宿を設定した。

 

そして、この情報を下さった方は、さらにこういうこともおっしゃっている。

 

現段階で極めて現実的な話をすると、今の状況では政権交代しない限り死刑廃止は出来ないだろう。3.11以降、反対勢力を結集して「今の政治を変える」ことがあらゆる問題にとっての共通の課題となっている。しかしフォーラムニュース(安田弁護士らが現在進行形で発行している会報)に見られる発言は、気の毒なくらい今の状況にコミットしていない。「3.11以降」の日本の現実を死刑廃止の言葉で語る言説がない。

以上

 

管理人の私から…追記:安田弁護士グループが、死刑の代替案『終身刑導入』を訴えてから、もう、20年ほど経過するが…『終身刑導入がされ、死刑制度が廃止になりそう』…といった報道を聞かない。せいぜい、聞いたのは、『日弁連が死刑制度廃止宣言をした』ということくらい。

 

 

 



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