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第7話・月子の祈り

2024年02月23日 | 月子のティーハウス(第6話~第9話・エピローグ)

ご訪問ありがとうございます

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

第7話 月子の祈り

秋が深まった満月の夜、今日は風が止んでいる

生成り色のコットンワンピースを月子は着ている
襟は少し高く、胸元にはレースがあしらわれている

藤のバスケットを抱え、けもの道を通り 月子はひとみ川へ向かった
風の無いひとみ川は、穏やかで淀みは流れが止まっている

小瓶の蓋を開け清酒を差し上げ
瞳を閉じ、月子はお祈りを捧げた

結んでいた髪をほどいた
はらりとした髪が背中に届く

月子はひとみ川へ入って行く
川の水は、冷たく痛くそして重い

淀みに達すると手紙の入ったバスケットを浮かべた
天を見上げ、月子は満月と目を合わせた

「ふっ…」、誰かが息を吹きかけてくれた
(ひとみさん、ありがとう)

手紙の入った藤のバスケットは、ゆっくりと動き始めた
闇に溶けゆくまで月子は手紙を見送った

ご一読ありがとうございました 


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