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月子のティーハウス(絵本)を作成しております

第6話・祈りの前に

2024年07月17日 | 月子のティーハウス(第6話~第9話・エピローグ)

ご訪問ありがとうございます

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

第 6 話 祈りの前に

秋の午後のティーハウス
(今日、訪ねて来る人はいない)
月子にはわかっているようだ

レモングラスとミントのハーブティーを月子は淹れた
口にすると鼻の奥に香りが広がった

髪を後ろに束ね、月子はレターBOXを取り出した

BOXの中には、オフホワイトの封筒・便箋・モンブラン万年筆
(マイスターシュテック)が入っている
インクカラーはブルーブラック

ティーハウスのテーブルの上で、月子は手紙を書き始めた
さらさらとした時間が流れる

手紙の途中でハーブティーを飲んだ
(トントン)
…月子は笑った

ハーブティが冷めた頃、月子は手紙を書き終え
もう一度文面を確認してから封筒に入れた

最後に封かんをして、パラフィン紙で手紙をラッピングした
小さな藤のバスケットを取り出し
清酒の小瓶と共に、月子は手紙を入れた

ご一読ありがとうございました

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第9話・おでむかえ

2024年04月19日 | 月子のティーハウス(第6話~第9話・エピローグ)

ご訪問ありがとうございます
最終話となります、よろしくお願いいたします

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

第9話 おでむかえ

晩秋の陽光が、ティーハウスの窓を通して入って来る
微細な宝石のように、光はキラキラと輝いている

遅咲きのオールドローズを一輪挿しに入れ、月子はテーブルの上に飾った

まつざわたかしくんは、すでに来ていた
窓の近くの椅子に腰かけている

今日のまつざわたかしくんは、微笑みながら練習をしている
(…とう、ありがとう、ありが…)

足元には、さくらがくつろいでいる
こぼれるように月子は笑った

水の入った銅製のケトルが弱火にかけられている
ジャスミンティの茶葉を取り出し、月子はティーポットに入れた

ボーンチャイナの白いマグカップが取り出され
温めてあるオーブンの側には、少し大きめのカヌレが用意されている

ガスの火を止め、月子は耳を澄ませた
木の葉の擦れる音が聞こえ、ひとみ川の川音がする

そして落ち葉を踏む足音が、次第に近づいて来る
(シャクサク・シャクサク)
月子は頷いた

ドアを開け、エントランスの外へ出た
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」


(さくらも来ているようです)

お読み頂きありがとうございました

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月子のティーハウス・エピローグ

2024年02月29日 | 月子のティーハウス(第6話~第9話・エピローグ)

どうもありがとうございました

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

エピローグ

月子のティーハウスは、小さな拠り所です
ここには哀しみを抱えた者たちが訪れます

哀しみに耳を傾け、月子は細やかなおもてなしをいたします

やがて哀しみは、言霊となりティーハウスに漂い
いつしか天(そら)へ消えて行きます

哀しみが拭(ぬぐ)われ、新しい微笑みが生まれる時
月子は想います

(明日はきっと良い日になります)

どうもありがとうございました

コメント (2)
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第7話・月子の祈り

2024年02月23日 | 月子のティーハウス(第6話~第9話・エピローグ)

ご訪問ありがとうございます

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

第7話 月子の祈り

秋が深まった満月の夜、今日は風が止んでいる

生成り色のコットンワンピースを月子は着ている
襟は少し高く、胸元にはレースがあしらわれている

藤のバスケットを抱え、けもの道を通り 月子はひとみ川へ向かった
風の無いひとみ川は、穏やかで淀みは流れが止まっている

小瓶の蓋を開け清酒を差し上げ
瞳を閉じ、月子はお祈りを捧げた

結んでいた髪をほどいた
はらりとした髪が背中に届く

月子はひとみ川へ入って行く
川の水は、冷たく痛くそして重い

淀みに達すると手紙の入ったバスケットを浮かべた
天を見上げ、月子は満月と目を合わせた

「ふっ…」、誰かが息を吹きかけてくれた
(ひとみさん、ありがとう)

手紙の入った藤のバスケットは、ゆっくりと動き始めた
闇に溶けゆくまで月子は手紙を見送った

ご一読ありがとうございました 

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第8話・月子の手紙

2024年01月31日 | 月子のティーハウス(第6話~第9話・エピローグ)

ご訪問ありがとうございます

月子のティーハウス
(moon child's tea house)

第8話 月子の手紙

秋も深まった日曜日の朝7:30分
休日であったが男は目を覚ました

(何となくもう眠れない)
男は起きることにした

テーブルの上には、前日に購入したミックスサンドイッチとバナナがある
冷蔵庫から紙パックのオレンジジュースとミニトマトを取り出した

朝食を済ませ、歯磨きも終えると新聞を取りに行った
「…?」ドアポストにオフホワイトの封筒が入っている

手に取ってみると、少し濡れている
切手は無く宛先も書かれていない
裏面を見た

月子

男は呼吸が少し早くなった
部屋に戻ると、引き出しからハサミを取り出し慎重に封を切った

もう一度、ゆっくり確かめるように読み直した
みょうがは出かける支度を始めた

お読みいただきありがとうございました

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