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月子のティーハウス
(moon child's tea house)
第 4 話 小さなごぶりん
その日、月子はキッチンにいた
床下からトントンと音がする
不思議に思い、月子はフロアー点検口を開けた
ワイン/シードル/パスタ/レンズ豆そして調味料があった
「野ねずみ?」月子は思った
えっ…、視線を戻すと男の子がいた
「月子さん、僕ごぶりん(えへへ)来ちゃった!」
ごぶりんは片方の足でフロアーを軽く叩いた
(トントン)
「いらっしゃい、ごぶりんくん」月子は笑った
ごぶりんは椅子に腰かけた
「ごぶりんくん、お腹すいてるでしょ?」月子はたずねた
「何が食べたい?」
「おにぎりが食べたい」ごぶりんは答えた
「白いご飯をお腹いっぱい食べてみたい」
「少し待って」月子は答えた
梅干しと塩昆布を月子は取り出した
それから炊飯器の蓋を開け、おにぎりを握った
「いつものように僕は眠った、それからは覚えていない」
ごぶりんは話し出した
「でも息が苦しかった」
ピクルスを添えてグラスの水と一緒に月子は運んだ
「うわぁー、美味しそういただきます!」
「でもご飯もう焚けたの?」
おにぎりを頬張りながらごぶりんはたずねた
「炊飯器よ」
「すいはんきって、何?」
「羽釜のことよ」
「…?」
「白いご飯、すごく美味しい」
「ありがとう、良かったわ」
「みんな、僕に会うと幸せになるって言うんだ」
ごぶりんは不思議そうだった
「どうして僕は人を幸せにできるんだろう?」
「…」月子は言葉を探した
「わからないけど、僕はみんなを不幸になんかしたくない」
ごぶりんはグラスの水を飲み干した
「ごぶりんくんは、きれいな心を持っているからよ」
頷きながら月子は答えた
「月子さん、おにぎり美味しかったごちそうさまでした」
「ごぶりんくん、またいらっしゃい」
小さなごぶりんは、テーブルの下へ入りそしていなくなった
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