「おっぱいの なみだ」

いっちゃんに　おっぱいあげるのは
これで　さいご
そう思ったら
さびしくて
かなしくて
なみだが　でてきた

いっちゃんを産んで
とってもいたい　おっぱい
いっちゃんにとっても　吸いにくいおっぱい
ふたりとも　がんばったね

おっぱいやめるまで
毎日７～８回のんでだ
１日８回・・・３６５日・・・２年・・・
いったい何回のんだことだろう
何千回と　くりかえした　おっぱい

生まれてすぐのころは
左のおっぱいが　吸いにくくて
母は寝ずにしぼる
いっちゃんは　吸いたくなくて泣く
とても大変だったね

手が使えるようになると
服を引っぱったり
お母さんの手を持っていったり
自分でおっぱいをつかんだり
何度も見てきた寝顔なのに忘れちゃった・・・
泣きながらおっぱい見て　泣き笑い
うそ泣き
おっぱいに話しかけるようにもなり
おっぱいたたいたり　抱きついたり・・・

やめても張ってくるおっぱいが
切なくて　いたくて
ぎゅーっと　しぼった
なんだか捨てるのが惜しくて
お皿にポトポト・・・
これは大事なおっぱいなんだ
さみしくて　もったいなくて
自分でのんでみた

うっすら甘くて　とってもやさしい味がした
こんなにやさしい味を
いっちゃんが　ずっとのんできたんだと思ったら
なみだは
あたたかな　笑顔に晴れて行ったよ