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武藤農園日記

畑の様子、日々の暮らしなどを綴ります。

堆肥を撒きながら思う

2011-09-08 22:26:06 | 雑感

 だいぶ遅れてしまったが、冬野菜用の畑の堆肥散布にようやく今日から取り掛かる。
 武藤農園でメインに使っている堆肥は、茂木町の美土里館で作られている堆肥である。
 こちらの原料は、牛糞、生ゴミ、落葉、モミガラ、オガクズで、いずれも茂木町内の廃棄物や未利用資源を堆肥化したものである。よく分解しており、嫌な匂いもせず、なかなか良質な堆肥であると思う。ゆくゆくは、緑肥と米ぬかを主体にした土づくりに切り替えていくことも考えているが、そのためには規模を広げる必要があり、当面はこの堆肥を中心に使っていくことになりそうである。
 さて、今堆肥や腐葉土の放射能汚染が問題となっている。ちなみにこの堆肥はというと、町で自主的に検査をした結果、セシウムが84ベクレル/kgとのこと。基準値の400ベクレル/kgの約5分の1程度である。
 詳しくはこちら
 まあこれをどう判断するかは人によって様々だと思う。
 5月に茂木ゆうきの里づくり協議会で行った土壌の放射能分析調査の結果から、うちの畑からとれる野菜に含まれる放射性物質は、あったとしても検出限界値以下になるだろうと判断し、現在出荷をしている。この堆肥の汚染レベルなら畑に入れることにより状況が悪化したり、作物の取り込む放射性物質が増えたり、そういった問題が生じてくることは考えにくいと判断し使用することとした。
 ただ少し心配なのが、今度の冬に集める落ち葉がどの程度汚染されているかということである。うちでは集めた落ち葉で踏み込み温床をつくり、その発酵熱で冬の間苗を育てている。電気も石油も使わず自然の力を活用して熱を出す伝統的なやり方である。そして温床として使った落ち葉はさらに2年寝かして分解させ、苗を育てる培養土として使用する。
 別に落葉がなくても電熱線を使い、培養土は有機JAS認定のものを購入すれば出来ないことはない。でもそれは自分のやりたい有機農業とは少し違う。ひと口に有機農業と言っても色々なやり方がある。農薬と化学肥料さえ使わなければそれでいいと考える人もいるだろう。有機JAS認定の肥料を扱う業者から大量に有機肥料を購入し、畑に散布する人もいるだろう。それも有機農業のひとつの形なのかもしれない。でも私の目指すスタイルとはやはり異なる。私としては永続的な農業を目指す、という点にこだわりたいのである。永続的な農業の基本はやはり循環。自分の農場内で完全に循環させるのが理想であるが、それが無理ならせめて地域内での循環。地域の資源をうまく活用して生かし循環させていきたい。そうした意味からも、遠方から取り寄せた培養土や有機肥料を使うというのはやはり違和感がある。
 でも、これからそうした循環を中心に据えた有機農業をやるのが難しくなってしまわないか少し心配している。より放射性物質が少なく安全だからといって地元の資源を使わずに西日本もしくは外国産の有機肥料を取り寄せるのか。やはりそんな有機農業はやる気になれそうもない。


 


今年もよろしくお願いします!

2011-01-18 00:39:55 | 雑感

新しい年になりました。早いもので茂木に来てからもう3回目のお正月を迎えることとなりました。今年は就農4年目のシーズンになります。気持ち新たに一層頑張っていきたいと思います。今年もまた農業ができることに感謝しつつ…。そしてさらに充実した野菜セットをお届けできるよう努力したいと思っておりますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年の暮、借りている畑の地主さん達の所に年末のご挨拶に回りました。農業って大変でしょう、よく頑張ってるね、と口々に言われました。まあ昨年は猛暑にやられてしまいそれほど頑張れなかったのですが、確かに農業は大変です。うちは年間50種類以上もの野菜を作っているので栽培の事だけでも考えなくてはいけない事が山ほどあるのですが、さらに出荷の事、販路開拓の事、経営の事、その他考えなければいけない事がかなり多く、体力的にもつらいし休みも少ないし…。でもやりたい事が次々と広がってきてワクワクしてくるのも事実です。例えば種のカタログを見ているだけでも次々とやりたい事が出てきます。新しい品種を取り入れてみたくなったり(オレンジ色の中玉トマト、きっと売れるぞ。すでに今はこれで頭がいっぱい)、新しい栽培方法を試してみたくなったり(クロタラリアというマメ科の牧草による土づくり、どれほど効果があるのか。それから秋どりキャベツの挑戦。その他色々)。やはり好きな事を職業にできるというのは本当に幸せな事なんだろうな、と最近しみじみ思います。

今年はあえて規模拡大はしない予定です。年間通してイメージ通りしっかり野菜を栽培する、それを今年の目標にしたいと思います。そしてそれができたら来年あたりからは田んぼを始め、さらにはニワトリを飼い、椎茸の栽培をし、ゆくゆくはブルーベリーを栽培し…。夢と妄想は果てしなく広がってゆくのであります。

(農園だより 2011.1月第1-2週号より)

 

 


初出荷の日

2010-10-01 22:34:48 | 雑感

 農業を始めて年月がたっても、初めて自分で作った野菜を販売した時の事はいつまでも鮮明に覚えているものです。

 私が初めて野菜を出荷したのは、忘れもしない今からちょうど3年前の10月1日でした。

 まだ茂木町へ来る前のこと。当時は茨城県石岡市(旧八郷町)にある某NPOに部屋と田畑を借り、細々と野菜を作りながら本格的に農業をするための家と農地を探していました。でも気分はすっかり新規就農者。まだ仮の住まい、仮の畑であったにもかかわらず、生意気にも出荷を始めることにしちゃいました。

 出荷先は水戸市(旧内原町)のとある直売所。実はこの直売所は有機農産物をメインに据えたこだわりの直売所で、出荷者はメキメキと力をつけてきた周辺の若手有機農家さん達が中心でした。中には知り合いの有機農家さんも何人かいました。サラリーマン時代、週末に農業の勉強で内原町によく来ていたので、帰りにこの直売所に立ち寄ることもしばしばありました。そんな時いつも思ったものでした。いつかここに自分の野菜を並べるぞ、と。

 出荷できることが決まった時は、本当に嬉しかったですね。いよいよ有機農家さん達に混じって自分も同じ場所に野菜を並べられるようになったんだな。自分の作った野菜は果たしてここでどれだけ通用するのだろうか。そんなことを考えていたらドキドキワクワクして初出荷の前日は興奮してよく眠れなかったのを覚えています。

 (ちなみに初出荷の戦績は、ナス完売、インゲン完売、キュウリはひとつも売れず、でした)

 あれから3年。茂木町に移り本格的に農業を始めることができ、一応夢は叶いました。まだまだイメージ通りにはなかなか行かず、バタバタと農作業に追われる日々で、苦戦続きではありますが…。

 今日はちょうど10月1日(初出荷記念日?)だったので、ふと3年前の事を思い出しました。今年は異常気象に猛暑、そして農園主がバテてしまったため今畑はボロボロ、とても人には見せられない状態になってしまいました。でも今日からまた初心に帰って仕切り直しをしたいと思います。 農業ができる喜びを忘れずに、そしてかみしめながら…。

  


当たり前の事をただ当たり前に…

2010-08-17 00:17:17 | 雑感
 すっかり武藤農園の恒例の行事となった月一回の代々木公園でのアースデイマーケット。今月もしっかり出店して来ました。今回は8月15日のお盆の日だったので東京にはあまり人がいなそうだな、と思っていましたが予想以上に盛況でした。
 先月甲府からわざわざ買いに来てくれたおばあさん、また来てくれました。こないだ色々買ってみたけれど武藤農園のカボチャが一番おいしかったね、と嬉しいことを言ってくれ、うちの黄色いミニカボチャを買い占めてくれました。また、となりのブースでお米を売っていたFさんが、先月買った武藤農園のキャベツを食べたらとてもキャベツとは思えないほど味が濃かった、と絶賛してくれました。どちらも正直それほど味に自信を持っていたわけではありません。特に土の良い畑で育てたわけじゃないし、特別な栽培方法で育てたわけでもない。品種もごく普通のものだし、使った肥料も普通の堆肥に普通の鶏糞。それなのになぜこんなに評判が良かったんだろうか?
 するとそれを聞いていたボランティアさんが言いました。「農業をしている山口のおじいちゃんが言ってたわ。『当たり前の事をただ当たり前にやればおいしい野菜はできるんじゃ』って。それが武藤農園なのかもしれないね」 うん、いい事言うなあ。
 実はこのところ少し悩んでいました。新規就農ブームのせいか最近実力のある新しい有機農家が続々と増えています。競争が激しくなる中で、ただ安全でおいしいというだけでは野菜は売れない時代になってきました。それ以外のこだわりというものが必要なようです。さてうちは何をこだわりにすべきか。味を良くするために特別にこだわった肥料を使うとか、徹底的に安全や環境にこだわった農法にするとか、何か特別な栽培方法を取り入れるとか…? ほかにも色々考えましたがどれも何だかしっくりきませんでした。
 そんな中、ボランティアさんの一言で心のモヤモヤが晴れた気がします。そう、うちは特別な事にこだわるのではなく、当たり前の事をただ当たり前にやる事にこだわってやっていくことにしたいと思います。
 さて、改めて畑を見回すと草ぼうぼうです。最近当たり前の事が全然できていないですね。でも当たり前の事をするのって、けっこう難しい事なのかもしれません。

生産と販売

2010-05-03 19:06:39 | 雑感

 最近某直売所の店長さんから、「納品お願いします」というFAXが毎日のように届く。 野菜の少ない時期だけにきっと品薄なのだろう。

 野菜の価格が高騰しており、しかもゴールデンウイーク。持って行きさえすれば確実に完売できるだろう。それなのに畑仕事に追われ出荷する時間がとれず、もどかしい。でももし畑を放り出し出荷に行けば、売上は伸びるだろうけど遅れている作業がさらに遅れ取り返しのつかない状態になる危険がある。今年は出荷予定日以外はじっとがまんして畑を優先させることにしている。

 生産と販売のバランスをどうとっていくか? この辺がひとりで農業をやる難しさでしょう。ひとりでやっている他の人はどうしているのだろう? 根性入れて両方こなしているのかなあ?

 そんなことを考えながら今日は遅れているネギの植え付けをひたすらやった。

 


あけましておめでとうございます!

2010-01-09 13:04:10 | 雑感
 新しい年になりました。今、「今年こそは!」という気持ちでいっぱいです。昨年も一昨年も年が変わるたびに同じ事を言っていたような気がしますが、それでもやはり「今年こそは!」なのです。
 思えば昨年は、仕事に追われまくりだいぶしんどい思いをしました。で最後はとうとう畑がまわらなくなり、気がつけば草ぼうぼうというかなりみっともない結果になってしまいました。当然収量は落ち、売上もたいして伸びず…。今年こそは仕事に追われず、先手先手の農業ができる一年にしたいものです。なぜ仕事に追われる状況に陥ったか。どうすればもっと効率よくこなせるか。自分なりに反省と分析と対策をしっかり考えたので、今年こそは大丈夫なはずです(たぶん…)。夏の農繁期になってもきっと余裕で左団扇で農作業をこなしていることでしょう(ホントかよ?)。
 そういえば先日町内の先輩有機農家さんが「うちは今年こそは!って7年間ずっと言ってるなあ」と語っていました。近所のじいちゃんは「農業は毎年1年生だっぺ」と言っておりました。実践と反省を繰り返し、それでもなかなか思い通りにいかないのが農業なのかもしれません。
 今年は就農3年目のシーズンになります。畑の土も少し良くなってきましたし、新たにまた畑を借りられ規模も拡がりました。何とか農業でやっていける形を作り上げたいと思っております。どうか今年も暖かく見守ってくださるようよろしくお願いいたします。

(農園だより 2010.1月第1-2週号より)



自給暮らしの豊かさを取り戻せ

2009-12-25 23:31:35 | 雑感
 武藤農園の最大の弱点といえば、農園主が料理が苦手であることだ。
 「料理が苦手じゃお客様に野菜の食べ方を提案できないね」と以前長野の某ベテラン有機農家さんに指摘され、何とかしなくちゃとずっと思っていた。
 就農する前は、もっと自給の豊かさを満喫するつもりだった。料理の腕を上げ、加工品だって干し芋やたくあんやイモガラや、できればミソも作っちゃうぞ、と思っていた。でも実際就農しちゃうと日々の農作業に追われ、とてもそんな余裕はなかった。夏なんかは日の出から暗くなる夕方7時頃までビッチリ働き、それでも仕事が終らずヘトヘトになって家に戻ると、もうとてもゴハンを作る気になれない。今日は食べに行っちゃうか。一度さぼると堕ちるのは早い。ついに外食がちの百姓に成り下がってしまった。
 農閑期になり、最近やっとまじめに毎日料理を作れるようになった。たいしたものは作れないけど、それでもやはりとてもおいしい。うちの野菜って見てくれは今一だけど味は抜群だなあ。大根の煮物、ニンジン、キャベツ、チンゲン菜、どれもなかなかいける。ようやく自給暮らしの豊かさというものを取り戻しつつある。
 わが農園は、これでも一応、農的暮らしを楽しむだけの農家ではなく、農業で生計を立てられる経営ができる農家を目指している(今はまだボロボロの経営ですけどね)。でも「農家の豊かな自給生活の延長線上にお客様の台所がある」というスタイルだけは崩したくない、と最近強く思っている。いくら利益をたくさん出しても自分はカップラーメンを食べている、なんていう寂しい農家にはなりたくない。やはり自分の作ったおいしい野菜を食べるのが有機農業の醍醐味というもんだ。
 で今はいいけど、また農繁期になった時にどれだけ自給暮らしを確保できるだろうか。より一層の畑仕事の効率化が求められるところである。

ムトウのぼやき

2009-10-26 11:52:06 | 雑感

この秋から売上が急低下…。

ついに今月は、絶対に負けてはいけない相手(昨年の自分)に売上での負けが決定的になってしまった。

だいたいうちは、当たり前のことが当たり前にやれてないんや。宅配セットは何とかまわしているものの、あんなのはたまたま結果オーライなだけ。そもそもうちなんかはよその有機農家さんと張り合えるレベルには程遠いんや。

と思わずノムさんみたいにぼやきたくなってしまう。

うちは一人でやっているので、二人でやっている農家さんに比べ圧倒的に不利である。まともに同じことをやっていたんでは勝てっこない。「弱者の戦い方」をしなくてはならない。一人でやり、二人でやっている人達に負けないようにするためにはどうすればいいか。就農してからずっと考え続けているが、考えた通りの行動が全くできていない。

来月からは挽回だ、と言いたいところだが、売るものがないので手の打ちようがない。

せめて今やれることをしっかり確実にやろう。ソラマメ、エンドウの種まき。春どりのキャベツ、ブロッコリー、のらぼう菜の定植。小麦、冬越しレタスの畑の準備。

 

 


一人でやる有機農業の理想のスタイルは?

2009-08-31 17:29:41 | 雑感
 今日は台風接近の影響で一日雨。全く農作業できず…。
 正直この忙しい時期に月曜日が雨、というのはかなり痛い。
 現在うちは、火曜・金曜が宅配便野菜セットの出荷。水曜・土曜がレストランへの共同出荷及び直売所・スーパーへの出荷。日曜日が地元の有機農業者グループでやっている即売会(9月末まで)への出荷。そんなわけで本腰を入れて1日じっくり畑仕事ができるのは月曜と木曜だけなのである。
 やはり出荷や配達が頻繁にあると畑仕事の効率が落ち、中途半端にしか進まなくなる。からだが一つなので、当然両方は同時にはできない。ひとりで有機農業をやってみて一番むつかしいと感じることは、畑仕事と販売のバランスをどうとっていくか、ということである。売る方ばかりに一生懸命になっていると畑がおろそかになるし、その逆になると売上が伸びない。
 これを改善するにはやはり宅配便のお客さんを増やし、収穫・出荷の日をできるだけ集中させ効率を上げることだろう。火曜と金曜は収穫・出荷、それ以外の日は基本的に畑仕事に専念という具合に。こうすれば作業効率は今よりずっとアップするだろう。ゆくゆくはそういう方向にもっていきたいと思っている。宅配便である程度の安定した収入が得られるようになれば、そんなにムキになって直売所に出荷する必要もなくなるし、直売所の売れ行き状況に振り回されることもなくなる。宅配便9、その他1(余裕のある野菜を無駄なく売るために必要)くらいの売上割合が理想か(ちなみに現在は宅配便5、レストラン2、直売所等3くらい)。
 とはいっても宅配便のお客さんも、そう簡単には急に爆発的に増えることはないだろう。当面は我慢の日々が続きそうだ。
 自分の理想の形にするにはまだまだ時間がかかりそうである。