天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

11/4 永楽館歌舞伎 昼の部

2012年11月11日 | 歌舞伎
去る11月3日、4日と兵庫県豊岡市出石町へお城まつりと永楽館歌舞伎公演に行ってきました。

いつもと違い、前日豊岡に泊まりましたので、8時過ぎまでゆっくり睡眠をとり、10時過ぎの出石行き全但バスに乗りました。

10時半過ぎ、出石営業所着。

ちょろっと歩いて、永楽館着。



真ん中の、初参加の中村種之助さんのまねきが新しいため、ちょっと白いです。

入り口前にはすでに50人くらいの方々が開場を待たれていました。

いつも予約している2000円のお弁当も前で受け取り、番付も買い、並ぼうをすると、休憩所に8月壱太郎さんのトークショーで見た某歌舞伎脚本家?演出家?評論家?さんが座られていました。そして、昨年もお見かけした、豊岡の中貝市長が今年も。

11時、開場。

いつも通り、入り口で靴袋をもらい、中へ。
3回目なのでどこかわかっております。

今年はなんと、嬉しいベンチ席「へ」列。

どんなに大きな方が前に来られても視界良好。足も痛くならないし、荷物もベンチの下に入れられます(すべての席がそうでもないようです)。

開演まで周りを見渡すと、昨年と同じく中貝市長がヘ列にお座り。
後方には某舞踊家さんが!
やっぱり初日だから関係者さんも見にきてはるねんなあ…と。

11時半開演

1.実録忠臣蔵 大石妻子別れの場(11:30~12:32)

赤穂事件のあと、山科に居を構えていた大石内蔵助一家。
主君の仇討ちはどこへやら、内蔵助は夜な夜な廓へ放蕩三昧。果ては身請けをしたりして、妻りく、母の千壽が意見しても聞く耳もたず。
そしてりくは離縁を願い出、内蔵助はあっさり承諾し、千壽と3人息子のうち下2人と実家の豊岡へ帰ることに。
実は仇討ち計画は実行中であったが、妻子に危害が及ばぬようにするための芝居。
主税は母上だけには事実をと願いでるが、許さぬ内蔵助だった。

庭で下の2人の息子たちが、縁側で主税が見守る中、剣術稽古。
真ん中の息子役が吉太朗さん。
9月松竹座ではすっかり大人の髪結いさんだったのに、今回は実年齢に近い子役。
やっぱりなにしてもかわいいなあ♪

吉良の間者を見抜いてやっつけてしまうかっこいい下人に薪車さん。
彼も内蔵助の胸のうちを知っていて、それで、りくたちとともに豊岡へ。
最後の花道で吉太朗さんが「兄上ぇもご一緒に。」って行くところを必死に制止。良いお役だったなあ。

昨年同様、眉なしお歯黒の壱太郎さん。黄緑?うぐいす色?のお着物が綺麗。
9月の松竹座でのお芝居がものすごくよくて、たぶんりくも大丈夫って思っていました(エラソーにすみません)。予想以上にりくさんでした。主税役の種之助さんと3歳しか変わらないのに、ちゃんと母上に見えました。すごいです。

初めてちゃんと拝見しました、種之助さん、お行儀よく、母上思いで、主君の仇討ちに燃えてるという感情がよく出ていたように思います。

千壽の吉弥さん。こんなに老けなくても。もう少し若くても良かったんじゃないのかしらん。
ちょっと違和感ありました。でもお芝居はいつもどおりお上手です。

内蔵助役の愛之助さん、お部屋に昼寝(ふて寝?)から登場。
うううううううううん、内蔵助でなかったなあ。
でも、今の歌舞伎界で私のイメージする内蔵助さんがいないので、ごめんなさいです。
ちょっと、種之助さんと親子には見えなかったなあ。ああ、すみません。

違和感というと、脚本、演出にも。
仇討ちも考えず、放蕩三昧。さらに大枚はたいて身請けまで、もう許せません。と、りくは豊岡へ。
下の2人の息子にも剣術の稽古を熱心にさせるのは父上が大望を果たさぬときのため。
一緒に豊岡に帰らないという主税に「父上と同じく放蕩三昧か。」情けない。

まったく、りくさんは内蔵助を信じきっていないような演出、脚本でした(のように思いました)。

りくさんは放蕩三昧は世間を欺く仮の姿。私たちが居ると迷惑になります。離縁して、心置きなく大望を果たしてくださいと。主税には私たちの代わりに父上を頼みます。
下の子供たちはまだ小さいので、説明はできないので悲しい思いをさせる。
千壽には内蔵助が放蕩三昧なので離縁しますと。

私はこういう脚本かと思い込んでいました。原作がこうなのか変えられたのかわかりませんが、あまりに忠臣蔵にこだわりがありすぎるため、申し訳ない感想になってしまいました。


20分の幕間には、2000円のお弁当。今年はこんな感じ。




2.口上(12:52~13:15)

薪車 種之助 愛之助 壱太郎 吉弥 並びでした。

愛之助さん
5回目の節目の回となりました。これも一重に豊岡市のみなさん、中貝市長のおかげです。ありがとうございます。と、ベンチ席に座ってはる市長さんにむけて挨拶。立ち上がる市長。拍手。
初回は父の秀太郎と壱太郎くんときましたが、人一人歩いておらず大丈夫かいなと思っておりましたが、どこからともなく人が集まってしました。
…といつもと同じ(?)ご挨拶からはじまり、2回目までは8月公演で暑くて暑くて、3回目からは11月になりましたが今度は寒い寒い。出石そばを30皿食べたのですが、昨年錦之介さんが31皿食べられて抜かされた。今年はもっと食べたいと思います。
鯉つかみは我當さんから手取り足取り教わったそうです。

壱太郎さん
先日、りくのお墓にお参りさせていただきました。
豊岡はそばだけではありません。コウノトリほか長々と豊岡の観光親善大使かい!というほどずらずらと。
さて今回と、と言われて、客席もとより、壇上のみなさんも笑いで肩がゆれています。
昨年はやっと愛之助さんの女房になれたと思ったら、今年はなんと3人の子持ち。主税を演じている種之助さんとは3つしか変わりません。ひとつ下の歌昇さんとは仲良くさせていただいています…と客席後ろのほうに視線を移す壱太郎さん。もしやと思って後ろを見ましたら、あらあら、仲良しさんとそのお父様までいらっしゃるではないですか!おおお。
ひとしきり一息ついたところで、隣の吉弥さんが顔をあげ、フライング。
まだまだ続く壱太郎さん。面白い。

吉弥さん
先ほどよりちょっと若返った上村吉弥でございますぅ~。と、そこでもう笑い。
鯉つかみは師匠の我當が演じたときに手伝っておりました。
今回は本水です。たぶん5列目ぐらいまでは水がかかるかもしれません。クリーニング代は自前でお願いします。

薪車さん
5年目の節目に出演できて嬉しい。昨年は出られなくて残念な思いでした。呼んでいただいて、ありがとうございます。と愛之助さんのほうにお辞儀。客席爆笑。
出石と言えばおそば、20皿食べました。豊岡はおいしい空気、おいしい空気としきりに言われていました。
薪車さんも面白い。

種之助さん
こんなに口上が長いとは思いませんでした。客席大爆笑。食べ物に興味はないが、お蕎麦は好き。隼人くんに31皿と聞いたが、楽までにたくさん食べたいと思います。今回父、兄が一緒でなくひとりですが、愛之助のお兄さん、薪車のお兄さん、壱太郎のお兄さん、吉弥の「おばあさん」に教えていただきます。とまた大爆笑。
種之助さん、頭いいなあ。こういうセンスがお芝居に生きてくると思います。将来が楽しみな役者さんやなあと思いました(エラソーにすみません)。

愛之助さん
長らくのご清聴ありがとうございました。いつものように大爆笑。
これで口上終わりかなと思いきや、今日は中貝市長のお誕生日です。お祝いをしたいと思います…と、いきなり顔を伏せていたみなさんが上げ、「はっぴばぁすでいとぅーゆー」と手拍子で歌い始めました。客席も手拍子と歌。「はっぴばぁすでいでぃあなかがいしちょぉ~~、はっぴばぁすでいとぅーゆーーーーーーー。」ぱちぱちぱちぱちぱち…。
また席を立ってお辞儀しはる中貝市長。

今年は口上というよりトークショー、いや「豊岡市と市長を褒め称え、来年も永楽館歌舞伎やってください市長さん」という会のようでした。
今年は最高でしたね。面白かった♪初めての方は驚かれたことでしょう。

中入り(30分)
ボランティアの方によると、かなり時間がおしているとのことでした。
口上長かったもんなあ。


3.湧昇水鯉滝 鯉つかみ(13:45~14:45)

昨年のこんぴら歌舞伎で観たことのある演目。観てきた中ではベスト5には入るくらいの面白さでした。
今回は何度もいわれているように本水を使っての演出とのことで、楽しみにしておりました。

小桜姫が清水詣で見かけたお小姓に一目ぼれ。恋煩いになってしまい、侍女の呉竹やその夫篠村次郎が困っている件から。
えっ、志賀之助が面明かりで笛は吹かないの?ってもうその時点で残念。

病鉢巻の小桜姫の壱太郎さん。鴇色?桜色?のお姫様のお着物がかわいらしすぎ。
久しぶりに「好きすきスキ~。」なお芝居が観れました。

小桜姫がちょっと寝ているときに、すっぽんからまず鯉が出てきて、それから志賀之助実は鯉の精が笛を吹きつつ登場。
やっぱり、よっこいしょっどっこらっしょて感じで上がってくる愛之助さん。いいですね、手作り感満載。
鮮やかな黄緑色のお着物で前髪お小姓。ううううううん、これに惚れるかなあ。美しいけど、中性的。「染模様」っぽい。ちょっと壱太郎さん、かわいらしさより色気が出てたから、うううううん。

私が楽しみにしていた笛は七三と本舞台のちょっとの間だけ
すぐ笛をしまってしまい、本舞台で長唄にのってなんと踊りに。お人形さんみたいなお二人、綺麗でした。
こういう演出かぁ、なあるほど。これもありかと思いました。みどころちゃんと作ってあるやんと感心しました。

夢から覚めた小桜姫。すると、どろんどろんどろんと実際に志賀之助実は鯉の精が下手から登場。
歩いて。ここはちょっと滑ってきて欲しかったです。だからどろんどろんなのに。

そして二人は別室でねんごろに。
いやあ、実は僕鯉なんだよ、とか、きゃあ、志賀之助さまぁ会いたかったぁ、とか、うふふ、お二人お・た・の・し・み、な感情が感じられず、ちゃっちゃと次に進んでしまったのが残念。

その間に、家臣が家宝の刀をめぐって無理難題な縁談を持ってくる件。
薪車さんの見せ場。かっこよかったです。

一間から出てきた二人。志賀之助は襦袢姿です。そこでちょっと客席に笑いが。
お前は鯉やろおっとなると、襦袢がばっとはがされて?ウロコ模様の着物に、そして、上手の水の中へ、矢が刺さって、消えたかと思うと、ちょっとの間で花道から、屋を持った志賀之助登場。
藍色?に金糸の刺繍、袴も金色で藍色の模様ですごくかっこよかったです…が、一言台詞を言ったら居なくなってしまいました。残念。

定式幕が引かれて、舞台はどっかんがっちゃん…鯉との格闘の舞台準備中。
その間にお茶子さんたちは前列の方たちにレインコート配布。
大薩摩さんまだかなあとちょっと待ってしまい、ちょっと間延び。
初日だから仕方ないか。
幕外で大薩摩。片足のせて三味線。かっこいい。

幕が開くと、舞台にはちょっと草むらっぽい絵がぼん、ぼんっとあるだけ。
上手から鯉がばっしゃんばっしゃん。本水です。
花道から、アミアミの(ちょっとなんていう格好なのか失念)戦闘モードの志賀之助登場。
七三で鯉をニラミ。むっちゃかっこいい。愛之助さんはこっちの勇ましいほうがお似合いだと思いました。

そして、上手にしつらえられたプールにぼちゃん。格闘というより、客席に水まいてる?
ちょっと水から上がって、見得。おおおお、かっこいい。

水に入ってしまうと、腰から上しか見えない、上手の3分の1しかプールがないか見えない方が居たのでは?
私は今回ベンチ席でしたので、良く見えましたが、1階席では見えにくかったかと。
鯉も陸に上がって格闘するとかあればよかったんじゃないかなあと思いました。
2階席のほうが楽しかったかも。

格闘の末、鯉にとどめをさして、花道から飛び六方、いや、水まき六方と名づけようかしらん。手、頭を振り乱し、客席に水を撒き散らしながら引っ込んでいかれました。

カーテンコールがあり、水浸しの愛之助さんが手を振っていらっしゃいました。

来年はあるのかなあ。またぼんやり期待しておきます。

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