天下御免のすっとこどっこい

自分が読み返して「楽しかった」と思えることを書き綴っています。

9/23松竹座「六代目中村勘九郎襲名披露九月大歌舞伎」夜の部

2012年09月30日 | 歌舞伎
去る9月23日、松竹座、「六代目中村勘九郎襲名披露 九月大歌舞伎」夜の部に行って来ました。

前回の神戸に続いて今回もかぶりつき、中央ブロックのやや上手より。
また目が合ったらどうしよう(どうもしませんが)、とか、誰を見ようとか、わくわくドキドキしながら開演を待ちました。

1.女暫

昨年の團菊祭で観て、もう一回観たいと思っていた女暫。なんと巴御前が玉三郎さんで、蒲冠者範頼が橋之助さん、これは観ないと一生後悔するかもと思いました。

目の前にはずらずらずらずら~っと色とりどりな登場人物たち。

私の目の前には鯰の翫雀さん、その横には細ぉ~い、女鯰の七之助さん、舞台中央を見ると、青い隈がかっこいい橋之助さんがでーんっと。
下手には、ずらずらずらと「ほぼチーム上方」の面々(秀太郎さん、新悟さん、進之介さん、吉弥さん、薪車さん、純弥さん)が。
みなさん、ずっと合引に座ってらしたんですね。知らなかったです。

目の前の翫雀さんや、七之助さんはもっと遠くを見てらして、中央奥の高い位置に居た橋之助さんや、下手から二番目に座ってらした腰元の純弥さんと目があったかも、かもかもかもかも…。

いろいろ台詞を言ってはるのですが、それどころではなく、中央の橋之助さんはかっこいいし、目の前の翫雀さんは咳ぶほんごほん、と我慢されてるは、鼻すすってはるは、下手のほぼチーム上方は気になるし、翫雀さんの後ろに座ってはった悪者3人組(?)の左の役者さんはずっと目をつぶって寝てる?と思って気になるし。
腹出しさん、お首も赤く塗ってよねぇなんて思ってしまいました。すみません。
新悟さんのお鼻が気になる、(なんで壱太郎さんじゃないんだ?)薪車さんのかっこよさに惚れ惚れ、吉弥さんも美しい、もうお腹いっぱいですぅ~ってところで、

「し~ば~ら~くぅ。」

と花道からゴージャスな玉三郎さんが登場。
観客一斉に花道注目!すごかった。
メイン食べ終わって、もう一回メインが出てきたって感じで、ああ、もう食べられないよおぉ。

いまだに分からない、両手に持ってる凧みないなの、三升紋でした。時蔵さんのときは桐蝶でしたが。
チーム中村屋、チーム上方勢ぞろいでも、玉三郎さんが出てこられると、もう「坂東玉三郎特別公演 女暫」という雰囲気になっているような気が。すみません~。

ぷいっっと横向いたり、見得切ったり、かわいかっこいい巴御前。
すごいねぇとしか言いようがなく…。

七三でひとしきり台詞を言ったあと、吉太朗さんがお茶を持って登場!
きや、なんてこと。
玉三郎さんにお茶を渡して、懐紙を渡して、しずしずしずしず…と揚幕へ引っ込んでいきました。
その間、本舞台無視して七三集中。すみませんです。

鯰や女鯰の説得も無理で、巴御前が本舞台へ来て、「ああ~りゃあこぉりゃあ~」と(聞こえる)奴さんたちが言う中、ほぼチーム上方が巴御前の前へうろうろ、その間、巴御前は肩脱ぎ中。
そして、中央へ来て、もう一回見得!ひや~、かっこいい。

橋之助さんと玉三郎さんの台詞の間、秀太郎さんが口をもごもご、目が閉じてて、ありゃ?
相変わらず、件の悪者3人組(?)の左の役者さんはやっぱり寝てる?とか思っていると、宝剣を携えて手塚太郎が花道から登場。なんと今回壱太郎さん。きちんと男のかっこいい声出してはりました。
先月のトークショーで「なぜか今回立役で。」とお話されていたんですが、いやあ、こんな男らしい声聞いたの初めてかも。驚きました。

そのあと、なぜか、進之介さんがず~っと、にやにや。なんなん、お芝居、それとも?っと気になって仕方なかったです。
目の前では相変わらず、翫雀さんはお鼻つらそうやし。

ほぼチーム上方が花道を引っ込んで、(今回は七之助さんだけ七三で止まってました)、女暫第一部終了。

さて第二部幕外、「宗家のお許しを得て勤めさせていただきました」みたいな玉三郎さんの挨拶で拍手~。
ああ、しんど、となっていると、やっと上手から舞台番の勘九郎さん登場。
容姿だけではなく、声、台詞まわしもお父さんそっくりで、ついつい「お父さんやったらもっとこう…」なんて思ってしまい…、ああごめんなさいです。
舞台番に教えてもらって六方を踏む巴御前、そして「ああ恥ずかしい。」と花道に顔を伏せて、暫くしてから花道を去っていきました。

最前列なので、視界が舞台半分しか見えず、ついつい変なところが気になってしまいました。ああ反省。

しかしまあ、本当玉三郎さんすごすぎますでした。

2.口上

下手から順に

秀太郎 彌十郎 橋之助 七之助 勘九郎 玉三郎 翫雀 扇雀 我當 各幹部の方たちが並ばれていました。
我當さんは脚?足がお悪いせいか、ちょっと腰が浮いた感じでした。お辛そう。

玉三郎さん 
病気療養中の勘三郎さんの代わりにご挨拶します。父勘三郎が大きくした勘九郎という名前を継ぐことになった、よろしくお願いします。

翫雀さん
以前歌舞伎ブームが起こったときに、勘三郎さんとは中座でよくご一緒し、あんなこともこんなこともよく教えてもらいました。笑い。

扇雀さん
勘三郎さんとはよくご一緒させていただき、昼も夜もいろいろ教えていただいています。笑い。
今回はお二人とご一緒できませんが、宜しく。

我當さん
親戚として口上に列させていただくのはありがたい。(先代勘三郎さんのお父さんの姉?妹?が八代目仁左衛門の奥さん。江戸時代までさかのぼりますが…)襲名で演じた土蜘蛛や一條大蔵卿も素晴らしかった。昼の部の瞼の母も客席から見て安心した。と褒めちぎりでした。

秀太郎さん
勘三郎さんが勘九郎のとき勘九郎ちゃん、勘九郎ちゃんと呼んでいました。
兄弟ともに芸熱心です。来年は七緒八くんも初舞台です(と言われたような…あやふや)。

彌十郎さん
お父さんの勘三郎さんとは1つ違いで中学高校と同じで50年来仲良くしていただいています。

橋之助さん
おじとしてこの場にいることをありがたくおもいます。父芝翫が襲名をとても楽しみにしていました。きっとここでも勘三郎さんと一緒に観ていると思います。と涙を誘うご挨拶でした。

七之助さん
父が病気療養中で欠席となったこと親族としてお詫び申し上げます。う~ん、と思ってしまいました。すみませんです。

勘九郎さん
父が大好きな大阪の地で襲名披露させていただくのはありがたい。これからも一所懸命精進していくのでよろしくお願いします。のような内容でした。

最後に玉三郎さん
勘九郎、七之助兄弟、よろしく。これからも歌舞伎の応援よろしくお願いします。との締めのご挨拶でした。

お父さんがものすごくすばらしい役者さんで、兄弟仲が良く、ともに芸熱心なので宜しくといった印象でした。


3.雨乞狐(あまごいぎつね)

ポスターで狐姿の勘九郎さんが笑ってたので、てっきり狐の踊りかと思っていたら、変化舞踊でした。

野狐 下手から横滑りで登場。ひたすら跳ねまくり。あんな重たい衣装で大変やろうなあ。

雨乞巫女 ほんの十数秒で早変わり。これまた、お払いの棒(名前がわからない)を激しく振る振りで大変そう。すると舞台の上から雷雲が。

座頭 30秒も立たないうちに今度は座頭に。下駄でステップ踏んで、高杯観たいなあと思いました。
汗びしょびしょで、雨に打たれてるみたいって思ってしまいました。

小野道風 しばらくたって、花道のすっぽんから傘の頭だけが。そして、お公家さん姿の小野道風登場。手には何か書いた紙を持って。歌が書いてあるようで、よくみると浄瑠璃の歌詞でした。
本舞台に上がると、紙を取替え。巻いてさっと舞台に落とすと、又元に取替え。紙の質が違うようでしたがなんなんだろう。
上手にある社に柳があり、下には蛙がぴょんっと。おおおおおお、「柳に小野道風」ではないですか。
その時、太棹のぶおよよよんという独特の低いいい響きに、お琴だったり胡弓のかすかな合奏になってて、もうずっと観ていたい世界でした。

提灯
雨雲は出たまま舞台は明るくなり、花道から狐のように飛び跳ねた籠の行列が。おお、狐の嫁入りやなあ。
紫の籠には織りの模様入り。やっぱり歌舞伎って凝ってるなあと。
本舞台に上がると、行列の人たちが狐の踊り。かわいい。
きっとかわいいお嫁さんが出てくると思ったら、提灯のお化けでした。
脚は白いタイツ?に足袋を履いて、白いTシャツ?に腕を真っ白に塗られていました。
体に提灯をまとって踊り。しんどいやろうなあ。でもかわいいなあ。
脚がタイツ?なので、根元の縫い目がいやらしく、きわどい感じでどきどき。すみません。

狐の嫁
やっとかわいいお嫁さん登場。でも狐っぽい。

野狐
これでおしまいかと思いきや、中央のセリから、ぴよぉ~んっとまた野狐登場。
ものすごく高かったですよ。びっくりしました。
そしておりたかと思うと、舞台前までスライディング。私の目の前でストップ。ああ、びっくりした。
最初よりさらに激しい振り付けで、お顔ニコニコ。かわいい。
狐六方で花道を引っ込んで行きました。

何も知らなかっただけに、ものすごく楽しかったです。
六歌仙みたいに「雨乞狐 野狐・小野道風」とかで独立した舞踊になりませんかね。
もう一度みたいです。小野道風。

4.雁のたより

約20年前、歌舞伎の本興行で初めて観た上方もの。勘九郎さんの若旦那で大笑いした記憶があり、楽しみでした。

あらすじはあるのですが、あらすじを楽しむというより、個性的な登場人物の台詞とお芝居を楽しむという演目だと思いました。

大名の若殿が妾を連れて有馬温泉へ向かう途中、妾が髪結を見初める。それに腹を立てた嫡子が髪結を陥れようとすると、家老が髪結は甥であるとわかり、実は妾の許婚だった、ああめでたいな。という話。
最後の10分でお話がどんでん返し。いままでのじゃらじゃらは何やったん?という、いつもの上方強引もの。

第一場 有馬温泉湯治場の場

あほな若殿薪車さん、かわいい。お化粧がちょっと赤っぽい。よってるみたい。でもかっこいい。私の真正面。ああ、しあわせ。
ピンクの着物に藤色の羽織の妾、司の壱太郎さん。ますます綺麗になってました。若殿きらいやねん、話しかけんとって。ぷいっってすねた顔がかわいい。かわいい。
声がまた落ち着いていて、初めて聞く低めの声。こんな声も出せるのかと驚きました。出石の大石りくが楽しみです。

第二場 有馬温泉裏町髪結床の場
廻り舞台で湯治場から髪結床に。舞台セットの上部裏側に電球がたくさんついてるんですね。知らなかった。
なんと!若旦那の亀鶴さんを結っているのは前髪を落とした大人?の吉太朗さんではないですか。
亀鶴さんと髪結三二五郎七が話しているときも、「えへっ、えへへへへへ。」とすけべそうな顔がうまかった。
住吉さんに行って来ます。と右手にもったかんざし。えへへへへと、花道を引っ込んでいく姿はもう立派な大人の役者さん。すごいなあ。翫雀さんの「ませすぎや。」がいちばん面白かった。

一瞬でしたが、乳母の吉弥さん。面白かった。必要以上に大笑いしてしまいました。ごめんなさいです。

お玉がだましの手紙を持ってきて、その手紙を読んで行こうか行こまいかとじゃらじゃら、じゃらじゃら。
いちばんの見せ場なのでしょうが、睡魔が。ごめんなさいです。

お玉さんも大阪弁だったんですが、雰囲気が上方より江戸って感じがして…ごめんなさいです。

第三場 有馬温泉湯治場の場

家老の彌十郎さんよかった。もっと出番があればいいのに。
槍でいきなり襲われた三二五郎七。上手くかわす。あれ?武士やったん。
そしてこのことの説明を家老が台詞で説明。隣の離れから来た司がまた、説明。この強引な展開大好きやわあ。まるで時代劇ではないですか。
許婚に合えたと喜ぶ二人に、めでたいなと扇子を出す家老。おお。上方歌舞伎万歳って感じのおしまいでした。

いちばん印象に残ったのは、やっぱり吉太朗さんかなあ。いちばん上方ってニオイがしたような気がします。エラソーにすみません。
あと、壱太郎さんの台詞まわしかなあ。

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