暫く前、私のメル友でもある男性ブロガーから、このような質問をされたことがある。
「mugiさんは生まれ変わるなら、男性と女性、どちらがいいですか?」。
これに私は次のように答えた。
「生まれる地域にもよります。もし社会情勢が今のままであれば、日本や欧米なら女でもいいけど、それ以外ならば絶対に男」。
「男と女、生まれ変わるならどちらがいい?」というのは、輪廻転生を信じない人の間でも交わされる連想遊びなのだ。アンケートをとれば、日本や先進国の女性なら、次の世も女がイイと答える人は少なくないだろう。完全な男女平等社会ではなくとも、先進国なら女も社会的地位は今の処は保障されている。
ただし、何時までもこの状況が続くとは考えられない。「経済破綻・貧困・戦争がやってきたとき、女たちの人権はまったくない」というブログ記事があり、管理人・鈴木傾城氏の主張は悲しいが正論なのだ。
「女性の時代というのは、「平和」と「豊かさ」と「教育」が維持されているときだけに囁かれるものであり、そのいずれかが消え去ると同時に女性の時代も簡単に消し飛ぶ」
それでも今の処、日本や欧米の女は第三世界に比べれば遥かに恵まれている。私がインド・中東に関心を持つこともあるが、もし宇宙神なるものが存在するならば、第三世界に女として産まれなかったことを神に跪いて感謝したい。第三世界の大半は21世紀でも、女の人権など殆ど省みられない有様なのを知る日本人は多くない。
決して第三世界の女性全てが虐待されているのではなく、質素でも満ち足りた暮らしをしている人々も多い。だが、絶対的男性優位社会ではいざ問題が起きると、女は決定的に不利な立場に陥る。
インドを始めとする南アジア圏で、特に問題になっているのがアシッド・アタック(酸攻撃)。文字通り女性に酸を浴びせ、容貌を損壊させる暴力である。アシッド・アタックで検索すれば被害者の画像が載っている記事がヒットし、「【閲覧注意】アシッド・アタックの恐ろしさ…なぜこんな事が…」というサイトには各国の被害者の凄惨極まる画像が数多く載っている。
この地域では劇薬が簡単に入手しやすいこともあり、攻撃には硫酸以外に塩酸、硝酸、バッテリー液なども使われる。「パキスタン、 バングラディシュ、インド、アフガニスタン、ネパール、カンボジアなどの国々では、アシッド・アタックはよくある事件」とか。
加害者の多くは被害者の夫や恋人であり、男に逆らったり服従しなかったことへの復讐や見せしめのため酸をかけられ、顔や体に一生消えない火傷を負う。中にはパキスタンの Najaf Sultanaさんのように、実の父により酸をかけられた女性もいる。彼女は寝ていた時に、もう娘はいらないという理由で父から攻撃を受ける。当時Sultanaさんは5歳だった。
「【閲覧注意】アシッド・アタック~」には16歳になったSultanaさんの画像が載っており、大変不謹慎だが、お岩さんの方がずっと美人だと思った。アシッド・アタックの恐ろしさは皮膚を焼くだけでなく、酸で失明するケースも多いこと。Sultanaさんは全盲という。
NHK BS1世界のドキュメンタリーでも今年、「私の顔を返して~パキスタン 酸攻撃の被害女性たち~」が放送され、番組サイトもある。以前から私はインドや周辺諸国でアシッド・アタックが行われていたのは知っていたし、そのため番組を見たが、予想した以上に重い内容で記事にするのには迷いがあった。
この特集に登場したザキアさん(39歳)も右目は欠損しており、酸で溶けた皮膚が引きつり、未だに顔がとても痛むそうだ。さらにパキスタンでアシッド・アタックの被害に遭う女性の多くは十代前半の少女という。アシッド・アタックの加害者が裁かれることは殆どないらしい。
その二に続く
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