トーキング・マイノリティ

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ホロコーストと原爆

2007-08-15 20:56:39 | 歴史諸随想
 今日は終戦から62年目に当たる。「ホロコースト」と言えば、ナチスによるユダヤ人虐殺を連想される方が大半だろうが、本来は「全部」+「焼く」に由来するギリシア語が語源となっており、「丸焼きの供物」を意味したことがWikipediaに載っている。またここから派生した意味に、「火災による惨事」もある。“丸焼きの供物”“火災による惨事”がホロコーストに定義されるなら、原爆はまさにその対象。

  ネット上には様々なユダヤ陰謀論に溢れている。全ての不都合をユダヤと結びつけ、諸悪の根源をユダヤに帰するという妄想の部類に近いヒステリックな謀略論 も珍しくない。ユダヤ人が殆どいない日本でも、かつて「ユダヤが解ると世界が見えてくる」という本がベストセラーになった事もある。私はこの本を未読だ が、著者、宇野正美氏に対するユダヤ知識人の反論なら雑誌・文藝春秋で見た。
 しかし、何故これほどまでユダヤ陰謀論が取り上げられるのだろうか。そしてユダヤ謀略説が好まれるのは日本ばかりでなく、欧米こそがそのルーツなのだ。

  原爆開発に少なからぬユダヤ人科学者が携わったのは知られている。だが、広島に原爆を投下したB29「エノラ・ゲイ号」の搭乗員として特別に選ばれた15 名のうち、ユダヤ人が7名も占めており、機長ポール・ティベッツもユダヤ人であるのを最近になって私は知った。当時のアメリカで、ユダヤ人の占める割合が 全人口の5~6%に過ぎなかったにも係らず。「“原爆ホロコースト”の実態」というサイトに、その詳細が記されている。ちなみに原爆投下を決定したトルーマンも父方がユダヤ系、日本本土への爆撃作戦司令官、カーチス・ルメイ少将もユダヤの血を引いているとか。

 「“原爆ホロコースト”の実態」を読むと、ユダヤ人にはナチスを生み出したドイツ人よりも、直接迫害を行わなかった日本人の方を激しく憎悪する者がむしろ少なくないのが伺える。戦争当時のアメリカの雑誌にはこう書かれていた。
アメリカ人はドイツ人を憎むことを学ばなければならないが、日本人に対しては憎しみが自然と湧いてくる。これはかつてインディアンたちと戦ったときと同様に自然なものだ…普通の日本人は知性が低く無知である。たぶん人間なのだろうが、人間であることを示すような点はどこにもない

  当時もアメリカのマスコミに少なからぬユダヤ系記者がいた。彼らはナチスの人種差別を激しく糾弾しながら、ナチスのスローガンのコピーさながらの記事を書 き連ねていたのだ。戦意と憎悪を煽る戦時の特殊事情も背景にあるにせよ、これは普段から感じている深層心理が全面に表れたのだ。人種差別はキリスト教徒白 人に限らない。ユダヤもコーカソイド(白色人種)であり、選民思想など差別主義の権化で、行き着く先は「ホロコースト」となる。ユダヤの異人種、異教徒蔑 視も白人に劣らぬほど激しく、マルクスなども黒人をニガーと謗っていた事がWikipediaにも載っている。19世紀だから仕方ないと擁護する人もいるだろうが、同時代にも人道主義者は存在していた事実を無視している。

 今月6日のニューヨーク・タイムズは、原爆投下は多数のアメリカ人兵士の命とユダヤ人迫害を終了させたという、確証より一念を拠り所とする“神話”と全く無関係なユダヤ人迫害を並べて報じた。日本がナチスと同盟を結ばずとも、迫害は行われたのだから。
 「“原爆ホロコースト”の実態」サイトには実に興味深い箇所がある。「原爆は日本への罰」と言い放ったユダヤの女監督がいるそうだ。この監督の名と顔が紹介されてないのは奇妙だが、ユダヤ知識人ならそれくらい言いかねない。その箇所を抜粋したい。

迫害に直接関わらなくとも、日本を見るユダヤ人の目は今も厳しいのです。ユダヤ人学生は、広島の平和記念公園にホロコースト慰霊碑があることに驚いて、「ヒロシマ」の横に「アウシュヴィッツ」を並べて、同列に扱うのはおかしいと言いました。「むしろ『南京虐殺』を並べて、原因と結果の因果関係を展示すべきではないか」と。
 また、ホロコースト生存者の映画を撮ったユダヤ人女性は、「原爆は日本への罰」と言いました。つまり、原爆の被害を受けた日本でもユダヤ人から見れば、加害者でしかないということです…


  原爆投下を南京に結び付けるくらい厚顔無恥なすり替えもない。中国人に同情して原爆投下をした訳ではないのは知れている。南京虐殺をした日本は原爆という 懲罰を受けて当然との、自己正当化と満足を満たす詭弁に過ぎない。この厚かましい屁理屈は当然中国、南北朝鮮人もよく真似て使用するが、この思考を適応す るなら、19世紀の欧米列強の中国侵略も周辺アジア諸国への覇権主義を続けていた罰(乾隆帝など十全武功と呼ばれる十回の外征で有名)となり、ホロコーストもまた極度の自民族中心主義への罰に値する。

  旧約聖書に軽く目を通しただけで、つくづくユダヤ人とは平然と忘恩行為を働く民族なのだと認識させられる。ナチスからユダヤ人を匿った勇気ある少数の欧州 人にも処遇の悪さに不平を言い、連合国の救出の遅さを叱り付ける。一方ユダヤ人自身は異教徒、異民族には金も身体も張ったことなど滅多にない。
 私は以前アメリカのTVドラマ「ホロコースト」や「アウシュヴィッツ展」を見て、犠牲者には心から同情したが、ユダヤと原爆との関連を知った今、憐憫も失せた。基本的にユダヤ知識人の大半は反日と見た方がよいだろう。

◆関連記事:「ディアスポラ」「常に被害者を装う」「スファラディーム

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown さんへ (mugi)
2010-01-31 21:01:17
 残念ながら、でっち上げや捏造がまかり通るのが歴史ではよくあることです。戦闘状態にあれば、民間人の殺害があるのはどの戦争も同じですが、勝者の虐殺は無視される。
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Unknown (Unknown)
2010-01-31 01:23:31
南京虐殺は中国と朝日新聞の作った嘘ですよ。
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理由が分かりました! (mugi)
2007-08-18 21:23:25
>のらくろさん

>>世の中にはファンタジーに反応する人々が少なくない
私は何故「ユダヤ陰謀論」や「日ユ同祖論」が受けるのか、不可解でしたが、この一言でやっと理由が分かりました。
私自身は極めて即物的で、あまりファンタジーに反応しない性質なのですが、自分がそうだから他人も同じではないですね。古代イスラエルに関心がない者には、たとえイスラエル部族の1つが日本人の祖先だとしても、「だから何?」程度の感情しかないように。

少数ながらサマリア教徒は現代でもいますね。彼らは「自ら本物と称する」ユダヤ人に苛められたり、キリスト教徒に迫害されたりしました。対照的にムスリムは迫害はまず行いませんでしたが。彼らに関して、昨年8月の記事で触れました。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/d1de2f132a0c00c986b6b237e2afde4c

いずれにせよ、本物、ニセモノ共にユダヤは関るとろくなことがない民族だと私は思います。エジプト、ペルシアに助けられても、後足で砂をかけることをしたのは旧約聖書からも伺えるし、オスマン・トルコでも同じ。スペインを追われたユダヤ人を受け入れても、欧米列強に尻尾を振るわ、イスラム圏で差別されていたと言うわ…
これって日本の隣国人と似てますね。何しろ自称兄の国なので、これぞ究極のファンタジーでしょう。
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一応、補足しますね (のらくろ)
2007-08-17 23:52:25
>インチキだからこそ、本物を徹底的に糾弾する。

「本物」とは第一義的には日本人のことではなく、スファラディーのこと。

そして、もう一つ、「世の中にはファンタジーに反応する人々が少なくない」ということです。

「日ユ同祖論」の中での最大のカレントは、古代イスラエルの南北朝分裂のあと、北朝が先に大アッシリア帝国によって滅亡し、北朝に属する12部族中10部族がまず離散して……というとことから始まります。

実は新約聖書では、イエス・キリストの時代、「自ら本物と称する」ユダヤ人は、その10部族に属する連中を「サマリア人」と呼んで忌み嫌っていました。

この故事を以って、「われわれのご先祖(ハザールにとっては全く血縁も何もない)が忌み嫌っていたサマリア人の末裔を、我々が忌み嫌うのは当然のこと」という反応を現在の「マジョリティーユダヤ」が示しても、我々日本人にとってははた迷惑な話ではあるが、不思議なことでは全然ない。ちょうど70年程前に貧乏な親に女郎屋に売り飛ばされ、「ヘイタイさん」に「高価な」セックスを提供して今で言う億単位のカネを貯めながら、そのことには少しも触れず、「私は日本軍に拉致され強姦されセックススレイブにされた」と嘘八百万わめき散らして、第三国の対日非難決議を通させて(日本的視点でみれば、定足数不足で流会の筈だが)しまう業つく婆がいるように。
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そうでしょうか? (mugi)
2007-08-17 22:30:32
アイレンさん、こんばんは。再び丁寧なコメントを有難うございました。

私は基本的に民族の気性など、一世紀そこそこで変化するものではないと思います。
現代のイラクは過去のインドの延長にあるとしか思えません。秩序と平和の美辞麗句を掲げながら、ラーティー(警棒)でデモに参加した丸腰の現地人を散々ぶちのめしていた英国人と、米国兵同様勾留したイラク人を虐待した英国兵が重なります。一部例外だとしても、それなら旧日本軍の捕虜虐待も全てではなく例外でしょう。

なお、第一次大戦後、英国はイラクを統治した事もあり、以前記事にもしています。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/07740c3eb65d2885bbf2d6422504d514
イタリア人外交官が見た英国人も興味深い。老練なイタリア人も、彼らとの外交の難しさを感じていたようです。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/f9ddfe8215d9e21939e205918e6bcb07

アイレンさんの夫はアイルランド人でしたか。それは意外でした。
英国がカトリックのアイルランド人との結婚を禁止していたのは、何年も前に読んだ本(題名は失念)に書いてありました。英国人作家F.フォーサイスの「神の拳」にも、例え気立てが良くてもインド人との結婚はとかく良くないことだったとあり、さもありなん、と感じましたね。

私は英国に行ったことは一度もないので、現地の事情は不明ですが、一昨年7月のロンドン同時多発テロで2週間そこそこでムスリム移民への襲撃、モスク放火などが五百件も相次ぐという、非人道行為がありました。普通の国ではこれが当り前ですが、第三世界で似たようなことが起きれば、ここぞとばかり後進性を強調するのが欧米のメディア。
私は日本人、外国人問わず人権を主張する者には、常に疑いの目を向けずにはいられないのです。

プロフィールにあるとおり、私はインド、中東に関心があり、インドやトルコ贔屓なので、英国を見る目は厳しい面があります。英国に好感を持つ貴女からすれば、快い記事ではなかったでしょうが、悪しからず。
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ファンタジー (mugi)
2007-08-17 22:26:02
>のらくろさん
ネットには様々なユダヤ陰謀論と同時に、「日ユ同祖論」も出回っています。
前者が“反ユダヤ”が強いのに対し、“親ユダヤ”のあまり日本との関連を結び付けたがるのが後者ではないでしょうか。
私は「日ユ同祖論」を安易で都合のよい箇所をつぎはぎしたファンタジーの一種だと思います。義経=ジンギスカンの類と同じであり、眉唾モノより、お笑いの部類に入るので信用は禁物です。

貴方が紹介されたサイトに日本在住のユダヤ人ラビ・M・トケイヤー氏の名も見えたので、やはりこの御仁が絡んでいるのかと感じました。私は彼の意見には全く同意できません。
日本人は基本的にいくつかの民族から成立してるから、イスラエル氏族が紛れ込んでも不思議はありません。しかし、それで「日ユ同祖論」とは絶対ならない。もし日ユ同祖なら、日本人がこれほどまで外交オンチなのでしょうか。

仰るとおり一口にユダヤ人といえ、その定義は当のユダヤ人でも時代によって変わる複雑さで、単一民族に程遠い集団です。私は日本との文化の類似性(しかも根拠もお粗末)を強調したがるユダヤ人は、日本で親ユダヤシンパを作り、金を捻出させるのが目的ではないかと勘ぐってます。かつてハイム・ワイツマンというロシア系ユダヤ人が聖書を根拠として英国に強力なシンパを築いたように。

映画「ミュンヘン」の原作本について記事にしてますが、イスラエルの階級社会は興味深いです。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/d9a296f9cca5283e9e8ef29eca8e20ba
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mugiさん、おはようございます。 (アイレン)
2007-08-17 06:57:18
再びお邪魔いたします。

私の無知で軽はずみな疑問に、貴重なお時間をいただいて長々とお答え下さった事に大変恐縮及び、感謝しております。

お教えいただいた記事を読み、知れば知る程考えさせられてしまいました。

『英国人とは、自国の残虐行為は黙殺...』確かに英国はそのように見られますが、貴方が言われるように現在のイラクと過去のインドと対比するのは間違っていると思います。米軍はいまだにWWII当時と同然の非道をイラクで行っているようですが、英国兵は人間性ある行動(?)をとっています。もちろん何に関してもあるように例外もありますが。
(話は外れますが、『逆立した歴史』で、英国がアイルランド人との結婚を禁止したとコメントされていますが、アイルランド人の夫によると、そのような事は無かったそうですが?)

私が実感するには、現在の英国は世界で一番人権が重視され、他国民に対し寛容な国です。だから移民が押し寄せ、人権も何もない国から来た彼らはこの国で彼らの権利を主張し、多大な保護を受けて悠々と暮らしていられるのです。

なんか支離滅裂になってきましたね。
文才の無さを痛感しています。
(あ~ほんとに簡潔に書く事ができなくて悲しい...)

「鷹は舞い降りた」興味を持ちましたので、図書館で探して読んでみますね。

尚、始めのコメントで誤字がありましたことをお詫びいたします(第2時→第2次)(恥)

横で申し訳有りませんが、のらくろさん、貴方がリンクされた記事、スピ-ド・リ-ディングさせていただきましたが、私は何事も疑いを持って接する性格なので、「ん~どうなのかしら?」と?マ-クです。

全て宗教というものは、死後の世界を理想化(?)する事を一例とし、何かしら共通点があるようですし...。

また明日、改めてじっくり読んでみます。
返信する
実は近親憎悪かも…… (のらくろ)
2007-08-17 01:14:22
以下のリンクは日本と「ユダヤ」の浅からぬ「因縁」です。膨大ですが、じっくりお読みください。

http://inri.client.jp/hexagon/floorA3F_hb/a3fhb010.html
http://inri.client.jp/hexagon/floorA3F_hb/a3fhb114.html
http://inri.client.jp/hexagon/floorA3F_hb/a3fhb204.html

さて、ユダヤといってもいろいろ、というか、ユダヤ人=単一民族、単一思考などというのは幻想に過ぎません。以下をご覧ください。
http://rerundata.hypermart.net/ura/hexagon/texts/textA2F3/a2f1000.html#02

悪貨は良貨を駆逐する……に適合するのかどうか、とにかく、今世界中でのさばっている「ユダヤ人」とは、ハザール人の末裔で、私に言わせれば「インチキユダヤ」。インチキだからこそ、本物を徹底的に糾弾する。ちょうど日本人が海外で色んな好意的評価を得たら、人種的に区別がつかないのをいいことに日本人の振りをして諸外国で悪さをしてあるく誅酷人や超賎人のように。
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英国気質 (mugi)
2007-08-16 21:10:54
>アイレンさん、こんばんは。
英国のマスコミが何かあれば、WWIIの捕虜虐待を取り上げる理由は、高山正之氏のサイト「異見自在」にその答えがありますよ。
http://zeroplus.sakura.ne.jp/u/2000/0325.html
http://zeroplus.sakura.ne.jp/u/1998/0117.html

フランスの学者ジャン・ピエール・レーマンは「日本と戦った英国は多くの兵士が捕虜の恥辱を受け、おまけに植民地も失ったが、米国のように原爆で仕返しもしていない。そのフラストレーションが常に残っている」と書いていたとか。

英国のベストセラー小説「鷲は舞い降りた」に、英国人のボーア戦争時での民間人捕虜に関する記載があります。私も以前記事にしてますので、よろしかったらご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/f9436966adf2bc811154f0fff88046e9

日本に陥落する前のシンガポールで、そこに住んでいた日本人民間人を収容所送りにし、衛生管理が悪いため相当な死者を出したことは、確か「国民の歴史」に載ってました。英国兵が捕虜になる以前の話です。
英国人とは、自国の残虐行為は黙殺し、他国のそれは徹底糾弾する性質がありますね。現代のイラクでもかつてのインドと変わりない。
http://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/7bda798bf9ac51b5b3948c12826a3118

ユダヤもその点は同じでしょう。植民地(特に中近東)では買弁企業家として欧米列強の手先になり搾取していたのです。中国の租界にもかなり来ていた。植民地での富と利権を奪われたことが、日本への憎悪になっていると思います。
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mugiさんおはようございます (アイレン)
2007-08-16 05:07:19
私は英国に来て、第2時世界大戦(以下WWII)中、日本兵が英国人などの捕虜兵へ与えた惨い行為を初めて知らされました。
私にはそれが誇張されて語り継がれているとしか思えないのですが、こちらではその件が何かと掘り起こされ非難され、日本人が何かしでかすとすぐ、それこそ誇張されて新聞ネタにされるので、WWIIの捕虜兵の子孫か何かのジャ-ナリストの手によるものと思っていたのですが、今回、貴方の記事でユダヤ人が日本人を憎んでいるという事を知り、そのような記事を書くジャ-ナリストの名がユダヤ系だったような気がしてきました。
しかし、ユダヤ人がそれほどまで日本人を憎む根拠がどうもいまいち理解できません。
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