他紙も同じかもしれないが、河北新報の読者欄「声の交差点」には暫く前から実に下らなく、読むに堪えない投稿が目に付くようになっている。5月10日付にロシアのウクライナ侵攻関連の投稿が掲載され、タイトルは「ロ国民は権力腐敗許すな」。投稿者は仙台市若林区・無職の林 智徳氏(84歳)。“智徳”の名とは裏腹に世間知らずと他国事情への無知を曝す内容だった。以下はその全文。
―ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する制裁の中で、少し驚いたことがある。それは、日米欧がプーチン大統領の娘2人に資産凍結の制裁を科したことである。4月13日の本紙朝刊には、日本政府が「プーチン氏娘ら資産凍結」の記事が掲載された。
なぜ、プーチン大統領の娘2人に対しての制裁なのか?プーチン大統領は、家族を利用して資産隠しをしている恐れがあるのではないか。こんなずるいことが、許されるべきではない。
以前、フィリピンのマルコス元大統領が独裁政治を行い、不正蓄財が発覚したことがある。権力の座に長く居続けると、平然と国民をだまして、私腹を肥やすようになっていく。プーチン大統領も同じではないか。
政界を退いた時に、その資産をまんまと引き出して、一族が安泰で暮らせることをもくろんでいるのではないか。国民の側からすれば、決して許されることではない。明らかに権力の腐敗である。
そこでロシア国民に呼びかけたい。プーチンが築いた腐敗した政治を変えるため、「革命の闘士」に出てきてほしい。私はロシアの蛮行に対して、怒り心頭なのである。
最近はあまり使われなくなったが、「父ちゃん坊や」という言葉がある。大人でありながら、容貌やしぐさに子供っぽい一面のある人を指すものだが、“爺ちゃん坊や”もいるようだ。これは容貌やしぐさではなく、精神面で子供っぽい老人を言っているのだが、84歳にもなって「権力腐敗許すな」のパターン化したスローガンを訴えているのだから、学生時代から精神面は進歩していない。
私的にはプーチンやマルコス以外にも、家族を利用して資産隠しをしている政治家が他国、殊に第三世界では珍しくないことを知らなかった林氏のほうに驚く。この傾向は独裁者に限らず、権力の座に長く居続けなくとも不正蓄財は少なくない。
政界を退いた時以外にもクーデターになれば財産没収となるため、予め外国に資産を移し、一族が安泰で暮らせることを目論むのは一種の保障と言ってよい。「権力腐敗許すな」等のスローガンがまかり通る日本とは違うのだ。権力腐敗が常態化している地域では、権力腐敗という意識も失せている。
ロ国民は権力者の不正蓄財などとうに気付いているだろうし、大体それを行わなかったロシアや中国の権力者などいたのか、と言いたい。ナイーブぶった日本の老人の意見は、千羽鶴をウクライナに贈ろうとした善意の日本人の独りよがりと通じるものがある。
最後の一文「そこでロシア国民に呼びかけたい。プーチンが築いた腐敗した政治を変えるため、「革命の闘士」に出てきてほしい」など、'60年代前半生まれの私でも青臭いの一言だった。
「革命の闘士」の表現から林氏は若かりし頃に学生運動でもしていたのか?年代的にも学生運動が盛んな時期だったし、それ自体は構わない。しかし、84歳でも未だに「革命の闘士」を夢見ているのであれば救いようがない。
河北新報の国際面に目を通しただけで、ウクライナ侵攻以降のロシアは厳しい言論統制を敷いており、反戦デモは容赦なく取り締まっている記事が載っている。プーチン体制を批判したジャーナリストや政治家が幾人も謎の死を遂げており、ロシア一般国民に「革命の闘士」になることを求めるのは酷なのだ。
そして日本の地方紙に日本語で投稿しても、一般ロシア人がそれを見る機会はない。この程度のことも分からないのは正に“爺ちゃん坊や”。こんな投稿を書く側だけでなく、載せる側も自己満足の極み。
2019年6月1日、河北新報の購読料金は朝刊で3,093円から307円アップする3,400円(税込)になった。我が家では朝刊のみだが、購読料金を上げても質はアップしていない。
少し前にネットで朝日新聞は、「アカが書きヤクザが売ってバカが読む」と謗られていたが、最近では「バカが書きヤクザが売ってアカが読む」という人までいる。朝日に限らず新聞全体がそうなっているとしか見えず、新聞だけを見ていれば本当に無知になってしまう。“智徳”でも名前負けしている老人のように。
もし私に小中学生の子供がいれば、新聞は決して読ませないだろう。新聞社も危機感を持っているのか、最近は未成年者や働き盛りが盛んに新聞礼賛の提灯投稿をしている。
権力腐敗というなら先進国も無縁ではない。政治家に劣らず「第四の権力」も腐敗は酷い。朝日新聞と読売新聞の申告漏れを書いた記事(2013/12/27付)があり、庶民ならその額の大きさには驚愕するはず。
「なんと申告漏れとは」というブログ記事には中日新聞社の申告漏れが載っているが、申告漏れとは悪質極まる脱税に過ぎない。発覚しないだけで他紙も“申告漏れ”をしているだろう。
冷酷非情なロシアの独裁者よりも、社会の木鐸と称し、社会正義をがなり立てる裏で平然と“申告漏れ”を繰り返すメディアの方に怒り心頭の日本人も多いのではないか?
◆関連記事:「新聞の魅力を再発見」
「勉強のやる気 新聞が呼び水に」
「イラン人が見た明治の日本」
「ノーリスクで皆殺しで問題ないじゃん」で終わりですよね。天安門やアラブの春近年のベネズエラの反政府運動への弾圧など報道され映像が出たレベルでさえ豊富に実例があるのに呆れんばかりです。
「政権は銃口より生ずる」を地で行く国がこの世界では圧倒的に多く、民主主義だ デモだ 法廷戦術だあ 選挙だで解決できる国の方が少数なんですがねえ。何というか報道も先進国基準で世界が動いている幻想につかりすぎて現実がホント見えてないなあとしみじみ
その最たるものがマスゴミであり、日本にとって有害無益な存在なんでしょう。
>>「政権は銃口より生ずる」を地で行く国がこの世界では圧倒的に多く、民主主義だ デモだ 法廷戦術だあ 選挙だで解決できる国の方が少数なんですがねえ。
アジア諸国で曲がりなりにも投票による民主主義が保たれているのは、日本とインド、韓国くらいでしょうね。インドの選挙も問題はありますが、軍事クーデターがない分マシでしょう。
報道に限らずいわゆる有識者も、先進国基準で世界が動いている幻想につかりすぎていますね。LGBTのような性的マイノリティがモノを言える国の方が少数だし、第三世界では迫害がフツーです。
一部は本物の能天気もいますが、マスゴミ幹部は外患誘致の確信犯が大半と見ています。メディアがこぞって持ち上げる東京新聞の女記者など、早速護憲を訴える講演会を行っていた。もう頭狂新聞と言ってよいでしょう。