トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

年末のご挨拶

2018-12-30 20:40:12 | 私的関連

 今年もついに明日で大晦日を迎えます。皆様にとって今年はどのような年だったでしょうか?その年の世相を漢字一文字で表わすと、昨年は「北」が選出されましたが、今年は「」でした。今年は大地震に加え、全国的に豪雨、台風、猛暑などの自然災害が相次いだことへの反映です。
 ちなみに「災」は2004年にも第1位となっており、2回目の選出となります。来年こそは「災」が激減することを祈るばかりです。

 私的には今年1年を漢字一文字で表わせば、「熱」になります。映画ボヘミアン・ラプソディを見たのがきっかけで、再びクイーン熱が再燃しました。ネットを見ても同じ思いのファンは多いようで、映画で若い方にもファンが増えているのは喜ばしい限りです。
 さらに映画のヒットが影響してか、拙ブログへのアクセス数もアップしました。それまではフレディの命日である11月24日に関連記事をアップしても反応はなかったのに、拙ブログも流行の恩恵を受けました。

 ただ、メディアはクイーン特集を組み、フレディの性的指向を以ってLGBT啓蒙活動に利用する始末です。LGBTに理解の無かった時代を生きたフレディは、いかにも孤独で不幸だった…と言わんばかりの論調が多いのは実に不愉快です。『フレディ・マーキュリー 人生と歌を愛した男』(2006)というドキュメンタリーがかつて制作されていたのに、何かあればLGBTに絡めるのが最近のメディアの主流となりました。
 それでもТV特集があれば、観たくなるのがファン心理。先日NHKでブライアンロジャーへの独占インタビューがあり、録画して見ました。但し2人の発言には違和感があり、やはりロックミュージシャンとはこのような考え方をするのか、と感じました。

今は至るところに境界線や壁があるが、私はそれを信じない。私たちはもっと自由になるべきだ」(ロジャー)
壁をつくるのではなく、橋を架けたい。だからアメリカで起きていることも嫌だ。これは一過性のものだと信じて、世界がひとつになることを願う」(ブライアン)
 2人とも祖国のEU離脱には反対しており、ブライアンに至っては、EU離脱とテリーザ・メイ英首相を改めて批判したことを伝えるニュースサイト(2018.1.11)もあります。首相は「虚栄心と権力欲で動いている」の件に至っては殆ど罵倒でしょう。

 EU離脱の決定を、「イギリスがした最も愚かな出来事だ」と見る著名人がいると同時に、EU離脱を全面的に支持する英国人もいます。私お気に入りのベストセラー作家フレデリック・フォーサイスがそう。フォーサイスのコラムは『週刊新潮』2016年9月1日号に掲載され、その全文を紹介したサイトもあります。コラムの見出しは「欺瞞に満ちた支配から国を取り戻せ」。中でも私が共鳴した箇所はこれでした。
私は自分の国が、外国の都市にいる非選出のスーパー官僚たちに従属するようになることに賛成したことは一度もない

英国「EU離脱」問題その後」というサイトには、フォーサイスへの反論が載っています。しかし、根拠としているのが「イルミナティ、コールマン博士のいう三百人委員会」なので、失笑させられました。ユダヤ陰謀論を展開するのは自由ですが、メディアから決定的に締め出されるようなことを言えないのはロックミュージシャンも同じです。
 そして「世界がひとつになる」という世界観は、私には全体主義にしか思えません。日本の隣国はまさにその種の国家だから。

 天体物理学の博士号を取ったインテリにも関わらず、ブライアンの政治オンチぶりには驚きますが、ロックミュージシャンにはこのようなタイプが大半でしょう。政治家とは虚栄心と権力欲で動いている人種だし、そうでなければ務まりません。例え虚栄心と権力欲塗れであっても、国益や国民生活の向上に繋がれば合格なのです。虚栄心と金欲で動いている音楽家より遥かに使えます。

 フォーサイスは自伝でMI6協力者だったことを明かしていますが、代表作『戦争の犬たち』には興味深い台詞がありました。主人公の傭兵がアフリカ内戦について、「表面に見えているのは一握りの政治家と外務省の役人だが、彼らは役所の縄張り争いや再選のことしか見えない、考えないただの操り人形」と一蹴、その背後にいる巨大企業家こそが資源利益を求めて起こしている、というのです。
 同じイギリス人でも、ロックミュージシャンのブライアンと、人間観においてもシニカルなまでにリアリストのフォーサイスでは見解が見事に正反対になるのは当然。クイーンの楽曲は大好きですが、政治観ではフォーサイスに同意させられます。

 今年1年、拙ブログを読まれて頂いた方、そしてマイナーなテーマが中心の記事にコメントを下された皆様、ブログランキングにクリックされた方々、本当に有難うございました!厚く御礼申し上げます。  今後ともよろしくお願い致します。今年はこの記事で終了、年明け3日にブログを再開する予定です。

 来年も天災被災者の方々はもちろん、全国の皆々様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。それでは、よいお年を!

◆関連記事:「戦争の犬たち
アウトサイダー/陰謀の中の人生
フレディは幸せだった?

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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (鳳山)
2018-12-31 16:17:30
今年もたいへんお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

良いお年を!
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よいお年を (のらくろ)
2018-12-31 20:25:01
名古屋へ戻ってきて、モーニング巡りをしていて、今日まで開いている半ば常連客になっている某喫茶店でいつものモーニングを食べていたら、すぐ隣で高齢男女がなにやら会話らしきことを始めた。ちょっと小耳に挟んでみたら、「アベガー」、「カタヤマ(さつき)がー」とか「ケンポウガー」とか言い出したので、うんざりした。案の定、活字かテレビの完全な引き写し、ネットにアクセスなど考えられない。こんなのにも1人1票か…と寒々とした思いで支払いを終えて店を出た。ガツンと言ってやりたいのはやまやまだったが、店自体はお気に入りなので、こんなくだらないことで出入り禁止になってもアホらしく、やめた。

カキコの間に残り4時間を切ってしまった。ブログ主様、皆さま、よいお年をお迎えください。
私は、22時からディーエイチシーテレビで越年します。
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鳳山さんへ (mugi)
2019-01-01 14:24:23
明けましておめでとうございます!

 私の方こそ、とても教えられる記事やコメントを有難うございました。今年もどうぞ宜しくお願い致します。
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Re:よいお年を (mugi)
2019-01-01 14:25:46
>のらくろ さん、

明けましておめでとうございます!

 名古屋って革新支持派の高齢者が多いのでしょうか?尤も仙台も同じだし、地元紙には何時もその類の老人の声ばかり載ります。私の老母さえ、戦争だけは絶対にいけないと言っています。十代半ばに終戦を迎え、戦後の食糧難体験がトラウマになっているのは分りますが、母にはこう言うことにしています。
「此方がしたくなくとも、相手が始めれば起きるのが戦争」

 私は紅白ではなく、クイーンのDVDを鑑賞して越年しました。紅白は何年も前から見ていないし、今年も見る気がまるで起きませんでした。

 昨年は興味深いコメントを多く頂き、有難うございました。今年もどうぞ宜しくお願い致します。
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謹賀新年 (スポンジ頭)
2019-01-02 00:43:40
 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
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追伸 (スポンジ頭)
2019-01-02 00:47:01
何故かいろいろ書いていた事が受け付けられなかったので、省きました。
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古いエントリー関連 (のらくろ)
2019-01-02 01:09:49
今発売中の週刊ポストは、2011年3月のデザートフラワーのエントリーにのらくらが投稿した某産婦人科医の教授の件を数ページにわたり特集しているが、利害関係不明の者が訴訟を起こしただけでなく、ニチベンレンが警告書を送りつけたらしい。このころから????な組織だったようだ。
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Re:謹賀新年 (mugi)
2019-01-02 16:41:34
>スポンジ頭さん、

新年明けましておめでとうございます。

 昨年は大変勉強になるコメントを頂き、有難うございました!今年もどうぞよろしくお願い致します。

>>何故かいろいろ書いていた事が受け付けられなかったので、省きました。

 この一言には驚きました。別にコメント制限はしてないかったのに……よろしかったならば、再度書込みをお願い致します。
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Re:古いエントリー関連 (mugi)
2019-01-02 16:56:51
>のらくろ さん、

 2011-03-27付のコメントですよね。
https://blog.goo.ne.jp/mugi411/e/3e808146f2aeabb5dded276102845f41

 リンク先を改めて読み直しましたが、本文とは別にこの釈明がありました。

「※本稿の内容に関しまして、NGO「FGM廃絶を支援する女たちの会」より、『女性性器切除は現在でも世界で1億人~1億4000万人の女性が犠牲になっている、またこれが原因で妊産婦の死亡や死産もありうるという深刻な現実を考えるとき、「千年以上続いたとされる少女への割礼の儀式は、種を絶やさないための苦肉の策であったのかもしれない」という発言を看過することはできない』とのご指摘を受けました。本稿はもとより女性性器切除を肯定する趣旨ではございませんが…」

 何とニチベンレンが乗り出し、警告書を送りつけたのですか??コラムは「女性性器切除を肯定する趣旨」ではないのは明らかなのに、この程度で訴訟対象とは許し難い暴挙です。
「千年以上続いたとされる少女への割礼の儀式は、種を絶やさないための苦肉の策であったのかもしれないと思う」の箇所は、歴女から見ても「正論」です。男性優位思想はともかく、種の純正を保つ側面もありました。血統に拘るのはむしろ女側ですよ。フェミ史観の者は違うでしょうけど。
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書いていた事 (スポンジ頭)
2019-01-02 19:35:14
>昨年は大変勉強になるコメントを頂き、有難うございました!今年もどうぞよろしくお願い致します。

 こちらこそmugiさんのサイトで知識が増えるのでありがたい事です。年々物覚えが悪くなり、その上頭に血が昇る性格なので、なかなか論理的な文が組み立てられずに困ります。

>よろしかったならば、再度書込みをお願い致します。

 2つほど書いたのですが、リンクを貼ったらどうもそれが原因で弾かれました。しかし、リンクを止めても文章を様々変えても弾かれてしまい、時間を空けて書き込んでも駄目でした。結局何度も挑戦して書き込めたのがあの一行だけだったのです。書いたのは下記2つです。

 1.独ソ戦の話
 戦争の話が出ていたので、私の親戚に終戦時児童ながら戦前生まれがいるが、独ソ戦を知らなかった、と言う話を書いたのです。その親戚が独ソ戦を知ったのは、私がつい最近この話をしたからです。いくら他国の戦争で幼少期の頃だと言えども、同時代に起きた大戦争を知らないとは驚きました。歴史の継承について考えさせられました。

 2.コミケに中○派が出店した話
 近頃はコミケに中○派が出店し、ソフトイメージで食い込もうとしているのだそうです。反対する人間はもちろんいますし反社会的勢力の出店は規約違反との事ですが、思想問題となるのか拒否できないようです。そして、出版物が完売したとかで、放置すると危険ではないかと思いました。そしてマスコミが彼らを好意的に報道していると言うのが恐ろしい。あの辺りに関わると人生終了しますが、これまた歴史の継承と言う点に問題が集約されて行く事例と感じました。

 と言うことを書いていました。・・・新年早々に書く内容ではなかったです・・・。
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