平安末期の京都。平家一門は、権力・武力・財力、あらゆる面で栄華を極めようとしていた。天皇をもしのぐ勢いで野心を募らせる父・平清盛を危うく感じる長男の重盛はある夜、邸内で琵琶法師の少女・びわと出会い、平家の滅亡を予言される。重盛とびわには、ともに見えないものが見える「目」を持つという共通点があった。
《祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり》
《沙羅双樹の花の色》
《盛者必衰の理をあらわす》
ポップなOPテーマにラップ調のEDテーマやロック的な劇中BGMなど、現代的な音が違和感なく耳に入り込んでくるこのアニメ。
監督・山田尚子氏、脚本・吉田玲子氏が務めるとあって制作サイドの本気度も高いように感じる作品です。
声優陣も実力派揃い。EDテロップも《キャスト》ではなく“声の出演”としているのは制作サイドの拘りだとは、自分の考え過ぎだろうか。
重盛『びわ。維盛、資盛、清経、有盛だ』
重盛『ワケあって預かった。びわだ』
劇中の琵琶の語りの入れ方も見事だと感じるのですが、悠木碧さんの真骨頂と思わされる声が正しく、鳥肌モノです。
重盛の目をもらった!?
死者が見える目がびわに引き継がれた…
自分は全く、歴史には疎く、登場人物の相関性が理解できていません。でも、びわと重盛を中心にしたこのお話は見入ってしまいます。
まだ源氏が表舞台に出る前に平重盛が他界してしまったことは意外でしたが、こうして主人公の両目に“2つの見える目”を持たせることが重要だったのかも知れませんね。
作画背景も美しい。
京都アニメーションやP.A.WORKSのようなリアルで立体的な動きのある表現とはまた、少し違う。美術館で観覧者が思わず感嘆の吐息を漏らしてしまいそうな…淡い「静」の美しさ。
果たしてラストは、どのような結末を迎えるのか?滅びゆく平家の物語りだと言う事は理解しているつもりですが…。
見届ける覚悟を以ってしても、放送回を重ねる毎に握力が強くなりそうです。