ときどき晴れ

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ドカ落ちエリーの件について。

2010年11月09日 | 二子山
問題の流失ビデオ「ドカ落ちエリー」


前回のブログで
「こーださんが本日3回目の「愛しのエリー12A」トライの時に15mくらいのリップからほぼグランド状態にまで落ちた。
あと20cmで地面だった。かなりきわどい状態。あれはビレーヤーの油断かミスだな。」
と書いた。

これはあくまでも俺の主観ですから。

客観性はないので夜露死苦!
でもこの際だから俺の主観を書きます。



■前提
このルートで、ドカ落ちするのは仕方がありません。
そういうルートだからです。
クライマーの到達高さ等はビデオを再検証して修正しました。
距離は全て目測です。

3クリップの高さは約6mとします。
ロープの出ている角度を65度と仮定すると。
3クリップ目からクライマーのハーネスまでの距離は1.35。
一応垂直距離は約1.224mです。

●今回の落下距離

6m(総高さ)-0.2m(止まった高さ)=5.8mです。

●一応計算上だけの最大停止高さ

6m(総高さ)‐1.35m(ロープの出ていた長さ)=4.65mです。

単純計算上の最大値として『地面からは、4.6mの位置で止まる。』という事になります。


●ロープの伸び率を考慮した最大停止高さ

上記にロープの伸び率27.7%(初回落下37%のロープとしてその75%の値を採用)を考慮すると

6m-((6m+1.35m)×127.7%-6m)=2.62mとなります。

計算上では最大停止距離は2.6mの位置だという事です。


●地面までの距離の算出式は下記のようなになります。

2.6m-(ロープの余裕-流した量-体重差による距離-その他の要因)×127.7%=地面までの残り距離

今回のケースにあてはめてみると

2.6m-0.2m=2.4mとなります。

2.4mが何らかの理由で出たロープの長さということです。


■問題点提議

2.4mの数値が適正だったのでしょうか?

私は適正では無かったと思います。(ハッキリ!)


■何が原因として考えられる?

①ビレーヤーとクライマーの体重差

②ロープの出し過ぎ。

③ビレーヤーの流し過ぎ。

④ビレーヤーが飛んだ為

主な原因は以上4つと考えられます。

その他小さい可能性は、問題を複雑化させるので検討しません。

■検証

①ビレーヤーとクライマーの体重差
ビレーヤーとクライマーのあいだには問題となるほど体重差があったとは考えられません。

②ロープの出し過ぎ。
クライマーの動きを妨げないようにする為にロープに余裕もたしていた。

③ビレーヤーの長し過ぎ。
これもありました。
直後にビレーヤー本人が流したと言ってます。

⑤ビレーヤーが飛んだ為
落下するクライマーとぶつからないように飛んだと言っていますからそうしたんでしょう。

■考察

②~⑤に対するビレーヤーの一つ一つの動きに対しては納得できます。
しかし、ひとつひとつの対応への余裕の合計が、結果的には落下距離を大きくさせたのではないですか?

また、今回のケースを考える上で要素の重み付けはどうですか?

A.ビレーヤーとクライマーがぶつかるのを防ぐ。
B.クライマーをグランドさせない。

どちらに重みを持たせて優先させる必要があるのでしょうか?
当然『クライマーをグランドさせない。』の方が優先順位として上になると私は考えます。
実際にはロープの余裕は計算上からも1m程度ではないですかね。その状態で、ロープを流すとか、ビレーヤー自身が飛ぶなんて判断はありえないんではないですかね?

今回クライマーがグランドしなかったのは、偶然的要素が大きかったのではないですか?
通常のビレーヤーに20cmまでコントロール出来るビレー技術があったとは思えません。

『あと20cmもある状態で停止させられたビレー。』ではなく。
『あと20cmしかなかったビレー。』だと考えるべきです。

20cmの距離は、一歩間違えば事故をになっていた距離です。
今回のビレーは完全なアクシデントとして考えるべきで、けしてインシデントではないと思います。

さらに一番問題なのは、
ビレーヤーが自分のビレー操作に対して疑問をもたず、正当化する意見しか言ってない点かな。
俺だったら、自分のビレー操作に問題はないか自己検証してみるな。
人間のすることだから、判断ミスや操作ミス、油断は絶対にあるのですから。
たとえ一つ一つの動きや考え方に問題がなくても、今回の結果を総合的に考えてみればひとつひとつの行動のさらなる修正案は出るはずです。
そうしなければ、
次回は『20cm』ではなくて『0cm』かもしれません。
でも次回は『1m』くらいであってほしいですけど。

■よけいな一言
日頃、他人のクライミングに厳しい事を言っているわりには、自分の行動にはずいぶん甘いのですね。
俺は自分にも人にも甘いのですが、今回の件は現場にいたのであえてブログに書いてみました。