日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

北陸信越縦断ツアー 2017 - あじ平

2017-08-11 21:27:54 | 居酒屋
同じ土地に何度も通うと、日没後の時間配分が読みやすくなり、八時台に投宿して九時頃から呑み屋に入るという流れができあがってきます。その傾向は高山においても例外ではなく、ほぼ読み通りの時間に着き、一風呂浴びて出直す準備が整いました。しかし読み切れなかったことが一つだけあります。お盆の呑み屋事情です。

今回まず行きたかったのは「あんらく亭」です。お盆の最盛期という事情も考えると、「樽平」は観光客で相当混むだろうと予想しました。去る五月に再訪し、「あんらく亭」のよさを再認識したこともあり、今回はまずここだと考えたわけです。
唯一懸念していたのはお盆休みでした。地元のご隠居、勤め人が軽く一杯やっていくような店だけに、お盆は潔く休むという可能性もあります。それだけに、袖看板の明かりが見えてきたときは安堵しました。しかしここで見事に足をすくわれました。
店先に着くなり違和感を覚えたのは、店内から先客の歓声が漏れてきたことです。これまでとは違う気配を察知し、一旦立ち止まって恐る恐る扉を開けました。すると視界に入ったのは、先客で隙間なく埋まったカウンターでした。満席という予想外の事態に「樽平」の早仕舞いが追い打ちをかけ、いきなり難局に追い込まれました。
こうなると他の選択肢も浮上してくるところではありますが、頭の中が「あんらく亭」で凝り固まっていたこともあり、すぐさま切り替えができなかったとでも申しましょうか。幸か不幸か昼のカリーが響き、空腹感もそれほどではありませんでした。そこで宿に一旦退却し、しばらく間を置いてから出直すという方針を立てました。しかし、出直しても無駄という結果はカリーと全く同様に終わり、店内の状況は何一つ変わっていませんでした。その結果、本日の一軒目は「あじ平」に落ち着くという顛末です。

教祖が推す高山の四軒の一角であり、高山に初めて泊まった一昨年は、自身最も期待していた店でもあります。しかるにまさかの早仕舞いで振られ、ようやく訪ねたのはその一年後のことです。そのとき意表を突かれたのは、教祖の番組から勝手に想像していたのとは違う、北陸の魚介を主役にした品書きでした。骨董品が並ぶ古びた店内の雰囲気と、大衆的な雰囲気は期待通りだった一方で、その土地の文化と風土の一端に触れるという酒場めぐりの醍醐味からすると、果たしてこれが最善なのだろうかという一抹の疑問は残りました。それが前回素通りした理由でもあります。
たとえていうなら、県外出身者ばかりで固めた高校野球のチームのようなものとでもいえばよいでしょうか。教祖が絶賛する「樽平」も、実は純然たる地産地消ではなく、北陸の魚介も、女将の郷里である秋田の郷土料理も揃っています。しかし、それらが主役である飛騨の郷土料理と酒、食材を効果的に引き立て、むしろ相乗効果を発揮しているともいえます。一方この店では、魚介が紛うことなき主役であり、飛騨の郷土料理は観光客向けに取って付けたような印象が否めません。県外出身者ばかりのチームになぞらえるのはそのためです。
ただし先日申した通り、自身野球留学に対しては肯定的です。賛否両論ある中、あくまで実力で勝負する気概は、評価されて然るべきものと思います。余所者が勝手に期待する郷土色という要素を除けば、気兼ねなしにいつでも入れるよい店です。意中の店にまさかの誤算で振られた今回、助け船となってくれたことに感謝します。

あじ平
高山市初田町1-34
0577-35-1063
1700PM-2300PM(LO)
日曜定休

飛騨の薫風
突き出し(夏野菜煮浸し)
三点盛り
あゆ姿塩焼き

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