日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

居酒屋聖地巡礼 2015 - 旬味きのした

2015-10-18 21:11:55 | 居酒屋
一風呂浴び、さっぱりしてから外に出てきました。「夜の街に繰り出す」という常套句を使わないのは、夜の街というには語弊があるほど、宿の周囲が静かだからでもあります。しかし、町家を使った飲食店の明かりがところどころに散らばり、興味を惹かれる店も少なくありません。それらを横目にしつつやってきたのは、前回まさかの臨時休業で振られた「きのした」です。
上記の通り、宿の周囲に限っても興味を惹かれる店は少なからずあります。しかし、今回まずここを目指すということは決めていました。理由は大きく分けて二つ。まずは、京都へ来る機会が年に何度あるのか、生涯であと何回京都へ来られるのかと考えた場合、なまじ新規開拓するよりも、通える店を一つか二つ作りたいという考えです。そしてもう一つは、事前情報に一切頼らず、全くの偶然で見つけたことから来る思い入れとでもいえばよいでしょうか。そのような形で出会った店としては、弘前の「はすや」、米沢の「河岸や」、福井の「紋や」などと並ぶ四天王といってもよいのがこの店なのです。

去年は京都に滞在する機会を事実上一度も作れなかったため、この店で呑むのもほぼ二年ぶりということになります。その間に、初めて訪ねて以来不動だった黒縁眼鏡の助手は去り、珍しい女流の板前が後釜となって、接客には学生風の娘さんが加わりました。しかし、明かりもまばらな二条通の静かな佇まいと、明るく清潔な店内は変わりません。
秋刀魚、秋鮭、鰆、松茸、柿、栗、銀杏、さらには名残の鱧と走りの白子が加わって、10月下旬の季節感がありありと窺われる品書きは眺めるだけでも楽しく、繰り出される品々には明らかに居酒屋以上の丁寧な仕事が込められています。それでいながら、日頃通っている居酒屋と大差ない価格設定なのは、独酌を宗とする自分にとっては助かります。玄関に品書きがあり、中の様子を少しだけのぞけるようになっているところも、一見客、一人客が入りやすくするための工夫なのでしょう。「料理は上質、雰囲気は気軽」の看板に偽りなしの名店です。

旬味きのした
京都市中京区二条通河原町西入ル榎木町92-7 佐野ビル1F
075-213-2929
1730PM-2200PM(LO)
火曜定休

風の森・萩の露
突き出し(茄子煮浸し)
きずし
栗の唐揚げと揚銀杏
さわらと里芋の菊花あんかけ

コメント    この記事についてブログを書く
« 居酒屋聖地巡礼 2015 - ホテ... | トップ | 居酒屋聖地巡礼 2015 - いな... »

コメントを投稿