日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 丸千葉

2015-05-10 19:15:48 | 居酒屋
何を置いても浅草で呑むなどと意気込んでおきながら、結局居酒屋とMOSを各一軒訪ねて切り上げ、バスに揺られて奥浅草に移動してきました。続いて訪ねるのは「丸千葉」です。
飲食店の定休日といえば日曜祝日が常のところ、数少ない例外なのが浅草です。観光地という土地柄、ほとんどの店が日曜も開いており、今回浅草で呑もうと思い立ったのもそのためでした。ところが、その浅草でも何故か相性の悪い店があります。二軒目に予定していた「○吉八」です。過去何度か臨時休業で振られていたこの店に、今回も見事なまでの返り討ちに遭い、代わりに浮上してきたのが三年ぶりの再訪となる「丸千葉」でした。

先日福山の「自由軒」を訪ねたとき、「酒場放浪記」に出た名店にはコの字カウンターの大衆酒場が多いと申しました。この店も然りで、店内の左半分には角を丸めたU字に近いカウンター、右半分には相席の大きなテーブルが二つ置かれ、無数の半紙と短冊が壁面を埋めます。流れるような筆文字の品書きには、三つ葉、竹の子、空豆といった春の風物詩に鰹、岩ガキ、ホヤ、谷中生姜などの初物が加わって、眺めるだけでも楽しいものがあります。
その中でも一押しと思われる鰹は、二人前はあろうかという気前のよさで500円台の良心価格、しかも艶やかに光って見るからにうまそうです。この品を含め、肴はどれも安くておいしく量も十分。器、盛り付け、分量のどれをとっても上品な「志婦や」が、江戸前の洒脱さを宗とするのに対し、こちらは安く手軽に、なおかつたらふく飲み食いできる大衆酒場の正統派と形容するのが合っています。小窓の向こうの厨房で店主が腕を振るい、威勢のいいマスターがカウンターに立ち、この兄弟を中心に板前とおばちゃん達がきびきび動く様子も好ましく、繁盛ぶりも宜なるかなと再認識した次第です。

丸千葉
東京都台東区日本堤1-1-3
03-3872-4216
1400PM-2100PM
水曜定休

生ビール・大関・菊正宗
カツオサシ
生あげやき
谷中しょうが
とん汁

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