日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

豊穣の能登を行く - わり勘

2018-09-02 20:49:53 | 居酒屋
朝帰りという強行策を採ったのは、金沢で一杯やりたかったからだと申しました。そのような気にさせるのは、日曜営業の店が豊富だからでもあります。その中からまず選んだのは「わり勘」です。
実をいうと、元々ここに寄るつもりはありませんでした。投宿し、荷物を置いて繰り出すということになると、おそらく九時を回るでしょう。そうなると、着いた頃には看板になってしまうのです。その結果、今回は「赤玉」か「源左エ門」のいずれかだろうと考えていました。ところが豈図らんや、野町を経由するバスが、ほどよい間合いで出るところでした。投宿を後回しにして直行すると九時前には入店でき、ラストオーダーまで30分、看板までは一時間強が残ります。大荷物を担いでいくのがいかにも野暮ではありますが、何度か訪ねた店なら比較的気兼ねがありません。計ったようにバスが来たのを、野町へ行けという思し召しと受け止めて、急遽予定を変えたというのがここまでの顛末です。

去年の正月にたまたま発見して以来、その年は二度にわたって再訪し、今年もこれで三度目です。通った年数の長さでは何といっても「浜長」ですが、今や最も愛用する店の一つとなりました。これは偏に、有名店と比べても遜色ない品書きの充実ぶりに加えて、野町の寂れた駅前の佇まい、地元客で賑わう大衆的な雰囲気が、自身にとっての居酒屋像とでもいうべきものを体現しているからに他なりません。北陸としては半端ともいえるこの時期、品書きに冬場ほどの華々しさこそないものの、来てよかったとしみじみ実感できるのは、酒と肴だけでは計れない居心地があるからでしょう。
四軒に一軒の割合で「また行きたいと思う店」に出会い、その中から四軒に一軒の割合で「常連になりたいと思う店」が現れ、さらにその中から四軒に一軒の割合で「近くに住みたいと思う店」が残るというのが教祖の経験則だそうですが、自分にとってこの店は「常連になりたいと思う店」に属します。つまり、教祖の分類に照らすと最上級には属しないわけであり、今まで絶賛してきたことと矛盾しているようにも思われるかもしれません。しかるにあえて「常連になりたいと思う店」にとどめるのは、他のお客が名前で呼ばれる御常連ばかりだからです。こちらがどれほど熱心に通い詰めたとしても、この方々には敵いません。御常連に敬意を払いつつ、かくありたいと密かに願う程度がよかろうというわけです。

わり勘
金沢市野町4-3-6
076-244-2280
平日 1700PM-2215PM(LO)
日祝日 1600PM-2115PM(LO)
月曜定休

常きげん二合
刺身五種盛
牛すじ
自家製つみれ
鯛あら汁

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