日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

五月雨の加賀を行く - 一歩手前

2021-06-25 15:58:46 | 北陸
またしても面食らう点はあったものの、決断の一歩手前にたどり着きました。内見を終えて投宿したところです。
情報サイトで調べ始めて思ったのは、こちらの希望を何もかも満たす物件など存在しないということです。当初の時点で憧れていた町家暮らしをひとまず置くと、眺めがよく、屋根の下に車を止めることができれば申し分ありません。しかし、屋根付の駐車場という条件だけならそこそこ選択肢はあるものの、住宅としてはごく平凡で、是非ここにと思うほどの決め手には欠けました。これでは埒が明かないと見て駐車場をひとまず措き、眺め重視で探し出したのが浅野川沿いの物件でした。しかしその直後、奇跡の出会いが訪れます。それが最後に見学した寺町の物件です。
この物件の情報を見るや衝撃を受けました。犀川大橋の袂から河原を一望できるのです。当然ながら、繁華街までは楽々歩くことができます。しかも、敷地内には屋根付の駐車場があり、家具付きでWeb接続が無料、さらに賃料も一月無料の大盤振る舞いです。銭湯に寄ったその足で一杯やり、歩いて帰宅できるという、自分のためにあるかのような物件が、一時は候補の筆頭でした。
「一時は」という前置きは、その後浅野川沿いの物件に傾いていたことによります。理由は二つありました。一つ目は、倍以上の広さがあるにもかかわらず、賃料にはさほどの違いがないことです。もう一つの要因として挙げられるのは、わざわざ当地に移り住むという前提で考えたとき、犀川沿いの物件が便利に過ぎたということです。至近に繁華街があれば、生活圏もその周辺に限られるでしょう。それでは余所者が見る金沢と同じです。むしろ、繁華街から適度に離れた浅野川沿いに住まいを構え、比較的なじみの薄い一帯を生活圏にした方が、長い目で見れば得策のような気がしたとでも申しましょうか。

その物件に唯一にして致命的な難点があったことにより、実質的な持ち駒は犀川沿いの物件に絞られていたわけなのですが、ここでもいきなり面食らうこととなりました。エレベーターがないのです。築半世紀以上にもなる、浅野川沿いの物件以上に年季の入った住宅なのは分かっていました。しかし、情報サイトで見た五階建ての外観から、エレベーターも当然あると勝手に思い込んでしたのです。盲点があったと気付いた時点では、またもやしてやられたかと思いました。
しかし、空調の有無が自分にとって死活問題なのに対し、エレベータがないことはそこまで致命的な問題でもありません。そのように割り切れたのは、必要最小限の家具が揃っているからでもあります。大きな家具を運び上げるなら業者の助けが要るものの、そのようなものは揃っていました。机と椅子が事務用なのは惜しまれるものの、繰り返す通り全ての希望を満たす物件などありません。異郷での暮らしに順応できるかどうかが何ともいえない現状において、ともかく一歩を踏み出す場として捉えれば、家具も買わずにすぐ住めるのは理想的です。階段の上り下りについては妥協してもよい点であり、単身者には必要にして十分な広さでもありました。本音をいえば即決するにもやぶさかでなく、一歩手前と述べたのはそのためです。
手頃な値段の賃貸住宅とはいえども、自ら家を借りるのは初めての経験です。それ故に、決断は少し頭を冷やしてからにするつもりですが、「迷ったら買え」が鉄則です。いたずらに引き延ばすことなく、果敢に決断したいものだと思います。
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