日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

晩秋の大地を行く 続編 - はすや

2015-10-05 22:02:59 | 居酒屋
会津の「籠太」にしてもそうなのですが、同じ店に何度も通うと、いつの間にか入る時間と滞在時間も固定化されてくるものです。それも、あらかじめ狙ったかどうかにかかわらず、一通りの活動を終えてから乗り込むと、結果としてその時間帯になっているという状況です。本日も見事なまでに同様の経過をたどり、10時過ぎに「はすや」を訪ねました。
遅い時間もそこそこ賑わうことが多い当店ですが、本日の先客はカウンターの二人組のみとやや落ち着いています。後から三人組と常連の一人客が入り、これでようやく五分の入りです。五分の入りでも落ち着いて感じられるということは、普段の賑わいがそれ以上ということでもあります。満席で振られることこそほとんどないものの、遅くまで三々五々お客が入るのは、地元では知る人ぞ知る店だからでもあるのでしょう。

一品目には、牛肉と茄子と葱を出汁で煮込んだ、当店十八番の温かいお通しが出てきました。本マグロの大トロを主役に白身、イカ、ウニ、蟹、北寄を盛り合わせた刺身は見た目にも彩豊かです。しかし、今回それ以上に特筆しておきたいのが、「マコモベーコン天」なる新作です。
読んで字のごとく、秋の風物詩であるマコモタケをベーコンで巻き、それを天婦羅にしたという直裁な品ではありますが、ともすれば水っぽく感じられるマコモタケをベーコンの塩分が補い、さらに衣も固めに揚げられて、最後に強めの塩が振られるため、これが肴としては誠に好適です。
この品に限らず、この店で繰り出される品々には、最上級の食材に丁寧な仕事が込められた至高の逸品というより、一見するとごく普通の居酒屋料理でありながら、独自の一工夫が込められているものが多いような気がします。たとえば秋刀魚にしても、品書きには刺身、叩き、梅肉揚げ、肝友焼、おろし煮、正油煮と様々な調理法が記され、店主の引き出しの多さは一目瞭然です。津軽が産んだ往年の人気力士の代名詞を借りれば、さしずめ「技のデパート」といったところでしょうか。それが馬鹿の一つ覚えと知りつつ毎度足を運んでしまう理由でもあるのです。

はすや
弘前市上瓦ヶ町1-1-2F
0172-33-6981
1800PM-2400PM
日曜定休

六根・華一風・鷹来屋
お通し
刺盛り六点
まこもたけベーコン天
さんま味噌叩き
そいのちり鍋
うどん

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