日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

鐘は上野か浅草か - 志婦や

2016-06-19 19:53:14 | 居酒屋
活動が停滞する夏場こそ、身近な酒場を訪ね歩く好機でもあります。相棒を車検に送り出し、その足で浅草にやってきました。約一年ぶりともなると選択肢は手堅いところに自ずと絞られ、「志婦や」の暖簾をくぐります。
教祖が数多の著作・番組で激賞してきた有名店です。それだけに安定感は比類なく、浅草で呑むならまずはここだと、万人に自信を持って勧められます。見方を変えると、これはある程度まで紋切り型ということでもあり、再訪を重ねれば重ねるほど、既に分かりきったことの再確認としての性格を帯びてくるのが実情です。具体的にいうなら、いかにも江戸っ子気質の店主、女将と大女将、その三人を中心に手伝いの板前とおばちゃんが小気味よく立ち回るカウンター、慣れた様子で酒を酌む一人客の洗練された所作、簡素ながらも季節感に満ちた品書きといったところがこの店の美点であり、それらは今回も何一つ変わりません。
しかし、再確認のようでありながら、新しい発見が毎度一つや二つはあるのがこの手の店の常であり、同じ店に通うことの楽しみでもあります。前回訪ねたのは去年の五月、開け放たれた玄関と夏らしい品書きは一見したところ当時と同様ながらも、「あゆ塩焼」の短冊に、わずかな季節の移り変わりが表れています。この時期に再訪してよかったと実感する一幕でした。

志婦や
東京都台東区浅草1-1-6
03-3841-5612
1630PM-2300PM(日祝日1530PM- )
月曜定休

菊正宗・京の春
お通し(昆布佃煮)
とり貝ぬた
あゆ塩焼

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