日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 大統領

2015-05-10 22:54:15 | 居酒屋
浅草を振り出しにして名酒場を三軒はしごし、腹と心を十分満たしたにもかかわらず、時間が余ったのにかこつけて、さらに一軒欲張ってしまうのが悲しい性です。最後は振り出しの上野に戻り、お約束の「大統領」で締めくくります。

大統領
東京都台東区上野6-10-14
03-3832-5622
1000AM-2400PM

一級酒・雪中梅
もつ焼
煮込み
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 遠州屋本店 高尾

2015-05-10 21:04:01 | 居酒屋
「酒場放浪記」に登場した店を総評して、「八割はどうでもいい店、一割はそこそこよい店、行ってみたいと思うのは残りの一割」と以前申したことがあります。京都と大阪は例外的に粒揃いだという事実についても述べました。都内でも、上記の経験則にかかわらず、行ってみたいと思う酒場が集中している場所はあります。浅草から千住にかけての一帯です。先ほど訪ねた「丸千葉」もその一つだったわけなのですが、同じく注目していた「遠州屋本店 高尾」が至近距離にあると分かり、三軒目は必然的に決まりました。

この店の何が目にとまったかといえば、見るからに老舗と分かる端正な店構えが一つ。大衆的な「丸千葉」とは一味違う、むしろ「志婦や」に近い洒脱な雰囲気が一つといったところでしょうか。実態はその印象とおおむね一致していました。
まず、屋号を入れた白い暖簾をくぐると、玄関にはさらなる暖簾が地面に対してハの字型に二本架かっており、右へ進めば客席、左へ進めばカウンターの中という造りです。そのカウンターには艶やかな一枚板が奢られ、頭上には立派な扁額が架かっており、小上がりは同じ色合いの板の間に仕上げられるなど、上質な木材を要所に使った店内には好感が持てます。
手元にあるのは二枚に分かれた酒の品書きのみで、そのうち一枚には地酒が記されています。裏表合わせれば十種以上、もう一枚にも常備の酒が数種あるため、数にすればかなりのものです。その中から目についた「風の森」を選ぼうとしたところ、あいにく品切れとの返答があり、代わって品書きにはない「開華」なる佐野の地酒を勧められました。有名どころをあえて避けた通好みの品揃えからしても、品書きに記された各銘柄の寸評からしても、地酒には一家言を持つ店のようです。
上記の通り手元に肴の品書きはなく、カウンターの頭上に並んだ短冊と日替わりの黒板が全てになります。その黒板は一品目を注文すると下げられ、所望しない限り再び出てくることはありません。品書きをざっと眺めて組み立てを考え、あとはそれに従い一品二品注文していくという流れは、上質な肴とともに酒をしみじみ味わうのに向いており、実際のところ分量も二人で分けるには控えめ、独酌には必要にして十分といった塩梅です。「丸千葉」でたらふく食い、飲み足りなければここへ来るという使い分けが好適と見え、実際のところ「丸千葉」の先客が二組ほど流れてきました。あちらを「陽」とするなら「陰」と形容するのがふさわしい、いぶし銀の存在感を放つ名酒場です。

遠州屋本店 高尾
東京都台東区清川1-35-5
03-3871-4355
1700PM-2300PM(LO)
水曜定休

開華・出雲富士
お通し(さやえんどう)
地あじ
山菜天ぷら
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 丸千葉

2015-05-10 19:15:48 | 居酒屋
何を置いても浅草で呑むなどと意気込んでおきながら、結局居酒屋とMOSを各一軒訪ねて切り上げ、バスに揺られて奥浅草に移動してきました。続いて訪ねるのは「丸千葉」です。
飲食店の定休日といえば日曜祝日が常のところ、数少ない例外なのが浅草です。観光地という土地柄、ほとんどの店が日曜も開いており、今回浅草で呑もうと思い立ったのもそのためでした。ところが、その浅草でも何故か相性の悪い店があります。二軒目に予定していた「○吉八」です。過去何度か臨時休業で振られていたこの店に、今回も見事なまでの返り討ちに遭い、代わりに浮上してきたのが三年ぶりの再訪となる「丸千葉」でした。

先日福山の「自由軒」を訪ねたとき、「酒場放浪記」に出た名店にはコの字カウンターの大衆酒場が多いと申しました。この店も然りで、店内の左半分には角を丸めたU字に近いカウンター、右半分には相席の大きなテーブルが二つ置かれ、無数の半紙と短冊が壁面を埋めます。流れるような筆文字の品書きには、三つ葉、竹の子、空豆といった春の風物詩に鰹、岩ガキ、ホヤ、谷中生姜などの初物が加わって、眺めるだけでも楽しいものがあります。
その中でも一押しと思われる鰹は、二人前はあろうかという気前のよさで500円台の良心価格、しかも艶やかに光って見るからにうまそうです。この品を含め、肴はどれも安くておいしく量も十分。器、盛り付け、分量のどれをとっても上品な「志婦や」が、江戸前の洒脱さを宗とするのに対し、こちらは安く手軽に、なおかつたらふく飲み食いできる大衆酒場の正統派と形容するのが合っています。小窓の向こうの厨房で店主が腕を振るい、威勢のいいマスターがカウンターに立ち、この兄弟を中心に板前とおばちゃん達がきびきび動く様子も好ましく、繁盛ぶりも宜なるかなと再認識した次第です。

丸千葉
東京都台東区日本堤1-1-3
03-3872-4216
1400PM-2100PM
水曜定休

生ビール・大関・菊正宗
カツオサシ
生あげやき
谷中しょうが
とん汁
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - モスバーガー浅草店

2015-05-10 17:54:23 | MOS
すぐさま二軒目へなだれ込むかというとさにあらず。浅草へ来たなら立ち寄らなければならない場所があります。現存店舗の中でも最古参の部類に属する第14号、モスバーガー浅草店です。
赤看板が緑に変わった以外何もかもそのままなのは、先日訪ねた小倉のMOSと同様です。翌日訪ねた新南陽のMOSも、古きよき時代の造りを残すよい店舗ではありましたが、そのような「古きよき時代の造り」が確立されるさらに前の、一つ一つの店舗を試行錯誤しながら造り込んでいた草創期の名残が、ここと小倉のMOSには残っています。下関東駅店が惜しまれつつ姿を消すなど、古参の店舗も風前の灯となりつつある今日ではありますが、当地にあり続ける限り通い続けたいと思う名店舗です。

モスバーガー浅草店
東京都台東区花川戸1-10-2
03-3844-1143
700AM-2300PM
第14号
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 志婦や

2015-05-10 16:38:52 | 居酒屋
立石、四ツ木を素通りして浅草にやってきました。左党にとって東京の東の聖地というべき町を通るからには、一度は巡礼したいという考えがなかったわけではありません。しかし、季節を変えて何度も通えることを重視する近年の指向に照らし、再訪が困難な場所には足を向けづらいという事情があります。そして何より、浅草で呑むのも一昨年の暮れ以来、独酌に関していえば三年以上の間が開いてしまった今、何を置いてもまず浅草で呑みたかったというのが真相です。このような経緯があるだけに、今更新規開拓に走るつもりはありません。目指す「志婦や」に脇目も振らず飛び込みました。
この店の美点といえば、カウンターと小上がりからなる適度な広さの店内、ぴかぴかのネタが並んだガラスケース、清潔かつ機能的な厨房、その厨房で立ち回る人々の無駄のない所作、声に出して読みたくなる簡素にしててらいのない短冊の品書きといったところでしょうか。あまりにも当然ではありますが、それらの美点は何一つ変わることなく健在でした。本日の品書きは鰹、岩がき、谷中生姜にうどぬたなど、初夏の季節感を先取りしており、開け放たれた窓から心地のよい風が吹き込んで、その品書きをゆらゆら揺らすところが風流です。

志婦や
東京都台東区浅草1-1-6
03-3841-5612
1630PM-2300PM(日祝日1530PM- )
月曜定休

菊正宗・睡龍
お通し(ねぎま)
かつお
うどぬた
やきとり
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 乗り換え

2015-05-10 15:55:39 | 関東
新鎌ヶ谷に着いたところで、向かいのホームに北総7800形の普通列車が待っていたため、迷うことなくこちらに乗り換えました。私鉄各社が安普請の規格に右へ倣えを決め込む前の、最後の世代に相当する車両です。しかも、大荷物の旅行客で混み合っていた先行列車に対し、空いた車内は実に快適。目的地に着くのは数分しか違わないのですから、こちらを選ばない手はありません。

★成田湯川1534/1502K/1653新鎌ヶ谷/1530N/1629浅草
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 五十歩百歩

2015-05-10 15:31:06 | 関東
一時間強の滞在で切り上げ、後続列車で浅草へ向かいます。やってきたのは京成所属の新3000形、内装に関する限り最低限の水準を保っているところは、先ほど乗車した京急新1000形と同様です。しかし、構造的な安普請からくる騒音と振動はいかんともしがたく、あくまで五十歩百歩の違いに過ぎませんorz

★成田湯川1534/1502K/1622浅草
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 成田湯川駅

2015-05-10 14:30:52 | 関東
スカイライナーに乗らなかったのは、中間駅の成田湯川で下車するためでもあります。160km/hでの通過を間近で眺めるのが目的です。
駅前には開業前後にできたと思しき新興の住宅地があるにはあるものの、40分に1本の運転間隔と、全国一とも言われる高額な運賃が災いしてか、列車が着いても乗降客の姿は皆無です。小鳥たちのさえずりが聞こえてくるのどかさの中、列車が突如轟然と通過して行く光景を含め、長野新幹線改め北陸新幹線の安中榛名駅を彷彿とさせます。
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 京急の良心

2015-05-10 13:59:51 | 関東
思い切り苦言を呈してしまいました。しかし、車両こそ眉を顰めるような安普請だったとはいえ、噂に聞きし160km運転にはたしかに見応えがあり、水鏡となった田圃の向こうに印旛沼、その彼方に筑波山が鎮座する車窓にも土地柄が感じられました。それを含めて、一度に限り乗る価値はあったというのが実感です。逆にいえば、同じ列車で往復する理由まではありません。復路は料金不要のアクセス特急を利用します。運用につくのは京急の新1000系、「悪貨は良貨を駆逐する」の諺通り、JR東日本の安普請がものの見事に伝染した、騒音と振動からして安普請と即座に分かる代物ですorz
しかし、今回改めて乗車すると、少なくとも本家本元のJR東日本より幾分ましな車両だと気付きます。例えば座席は昔ながらのバネ仕掛けで、長時間座っていると疲れてくるウレタン製の「着座位置強制シート」とは別物です。壁面には布地模様の艶やかな化粧板が奢られ、窓にはブラインドも備わります。東日本の軍門に下るとしても、最後の一線だけは譲れなかったということでしょう。他社と大同小異に見える安普請の車両にも、京急のささやかな良心が表れているようです。

★成田空港1404/1472H/1414成田湯川
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - スカイライナー

2015-05-10 12:55:12 | 関東
そのようなわけで、スカイライナーに乗車し成田空港へ向かいます。大型連休直後の週末ということもあり、車内はいたって閑散としています。日暮里でまとまった乗車があるとしても、二分か三分の入りがせいぜいではないでしょうか。
それにしても、何とまあ安っぽい車両だろうかというのが三代目スカイライナーの第一印象です。内装がどこもかしこも樹脂製なのは、現代の鉄道車両の宿命と割り切るにしても、その樹脂が一目見て安いと分かる材質で、座面と背ずりにいたっては通勤電車と同じ安物のウレタン製が使われています。JR東日本の中距離電車のグリーン車を、さらに一回りか二回り安っぽくしたかのような内装には、軽い憤りさえ湧いてきました。
その中距離電車のグリーン料金が750円で済むことを思えば、この車両で1240円もの特急料金を徴収するのは厚顔無恥というものでしょう。海外から来て最初に乗った車両がこの有様では、我が国の恥を晒すも同然だと思うのですが。今のところ新しいというだけで持ちこたえてはいるものの、あと五年、十年後には経年劣化で救いようのないことになりそうです。

★京成上野1300/スカイライナー29(13AE13)/1343成田空港
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鐘は上野か浅草か 2015初夏 - 腑抜け

2015-05-10 12:02:39 | 関東
おはようございます。甚だ中途半端な時間ではありますが、これからようやく出発します。長らく未乗車のまま放置していた成田スカイアクセス線に乗り、帰り際に上野か浅草で一献傾ける予定です。
前日十分な休養をとった以上、今日は日の出と同時に動くのが本来の姿ではあったのです。そうすれば房総半島、北関東といったところも当然選択肢に入ってきたでしょう。しかし、頭では分かっているつもりでも、なまじ休むと身体が腑抜けになってしまっていけません。しかも、週末の活動というと遠出して宿泊するのが常で、今週末も直前まではそのつもりでいただけに、突発的な日帰り活動といっても妙案が浮かびませんでした。こうなったのはある意味当然の帰結ではあります。
以上の通り、積極的な理由があってのことというより、消去法に近い形で浮上してきたのが本日の活動ではあります。とはいえ、「はくたか」なき後国内唯一となった、最高160km/hの快足を体感できるのは楽しみです。浅草からも長らく遠ざかっているため、新鮮な感覚で楽しめるのではないかと期待しています。
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