毎年春の恒例行事として、旅先に携行する時刻表を買い換えるというものがあります。そして今回悩んだのが、今まで買い求めていた交通新聞社の「コンパス時刻表」から、新たに刊行されたJTBの「小さな時刻表」に乗り換えるかどうかでした。
その昔、単に「時刻表」といえば、交通公社による「国鉄監修」の文字を冠した時刻表を指したものです。ところが、国鉄の終焉とともにJRと組んだ弘済出版社、つまり現在の交通新聞社により「JR時刻表」なるものが発刊されてからというもの、駅の窓口ではもっぱらこの時刻表が使われるようになります。しかしこの時刻表には、無駄な二色刷を始めとしてセンスというものが感じられず、交通公社の時刻表に慣れ親しんだ者にとっては見るに堪えない代物でした。長年にわたり熟成されたJTB時刻表の美しい誌面と、駅の窓口でで否応なく使わされるJR時刻表の醜い誌面との落差に、辟易させられ続けた四半世紀だったわけです。
そもそも「コンパス時刻表」を使い始めたのは、携帯用の時刻表として愛用していた交通案内社の「日本時刻表」が出版社もろとも姿を消し、他に選択肢がなくなったからでした。JTBから代替品が発売されたということになれば、この上ない朗報であり、「JR時刻表」の流れを汲む「コンパス時刻表」など即刻用済みになるのが当然というものでしょう。ところが、迷った末に選んだのはあろうことか後者でした。
理由は二点に集約されます。一つは、携帯サイズを前提として作られた「コンパス時刻表」に対して、「小さな時刻表」はフルサイズの「時刻表」をそのまま縮刷しただけのものに過ぎず、その結果として文字が非常に小さくなり、見やすさで一歩譲るものがあったということです。
もう一つの理由は表紙でした。菜の花と桜を点景にして、築堤を行くローカル列車を収めた「コンパス時刻表」の表紙が、いかにも春らしく、絵柄のバランスとしても完成された秀作だったのに対して、「小さな時刻表」の表紙は緑一色なのです。緑基調の気動車が、一面の緑の中を行くという絵柄なのですが、その緑は新緑とも違うかなり深い緑で、日の高さからしても初夏から夏にかけて撮られたのでしょう。その絵柄と色合いが春先としては季節外れに感じられ、むしろ「コンパス時刻表」にセンスのよさを感じたでも申しましょうか。表紙が互角であれば、多少の見づらさを承知の上で、「小さな時刻表」を選んでいた可能性はあると思います。
このような選択に至ったことは我ながら意外でした。次の機会はおそらく一年後です。そのときはどちらへ転ぶことになるのでしょうか?
その昔、単に「時刻表」といえば、交通公社による「国鉄監修」の文字を冠した時刻表を指したものです。ところが、国鉄の終焉とともにJRと組んだ弘済出版社、つまり現在の交通新聞社により「JR時刻表」なるものが発刊されてからというもの、駅の窓口ではもっぱらこの時刻表が使われるようになります。しかしこの時刻表には、無駄な二色刷を始めとしてセンスというものが感じられず、交通公社の時刻表に慣れ親しんだ者にとっては見るに堪えない代物でした。長年にわたり熟成されたJTB時刻表の美しい誌面と、駅の窓口でで否応なく使わされるJR時刻表の醜い誌面との落差に、辟易させられ続けた四半世紀だったわけです。
そもそも「コンパス時刻表」を使い始めたのは、携帯用の時刻表として愛用していた交通案内社の「日本時刻表」が出版社もろとも姿を消し、他に選択肢がなくなったからでした。JTBから代替品が発売されたということになれば、この上ない朗報であり、「JR時刻表」の流れを汲む「コンパス時刻表」など即刻用済みになるのが当然というものでしょう。ところが、迷った末に選んだのはあろうことか後者でした。
理由は二点に集約されます。一つは、携帯サイズを前提として作られた「コンパス時刻表」に対して、「小さな時刻表」はフルサイズの「時刻表」をそのまま縮刷しただけのものに過ぎず、その結果として文字が非常に小さくなり、見やすさで一歩譲るものがあったということです。
もう一つの理由は表紙でした。菜の花と桜を点景にして、築堤を行くローカル列車を収めた「コンパス時刻表」の表紙が、いかにも春らしく、絵柄のバランスとしても完成された秀作だったのに対して、「小さな時刻表」の表紙は緑一色なのです。緑基調の気動車が、一面の緑の中を行くという絵柄なのですが、その緑は新緑とも違うかなり深い緑で、日の高さからしても初夏から夏にかけて撮られたのでしょう。その絵柄と色合いが春先としては季節外れに感じられ、むしろ「コンパス時刻表」にセンスのよさを感じたでも申しましょうか。表紙が互角であれば、多少の見づらさを承知の上で、「小さな時刻表」を選んでいた可能性はあると思います。
このような選択に至ったことは我ながら意外でした。次の機会はおそらく一年後です。そのときはどちらへ転ぶことになるのでしょうか?
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