日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

灼熱の近畿を行く 2018 - 玉の湯

2018-08-17 23:34:43 | 温泉
前回は一日汗をかき続け、京都に着いたときには何を置いても一風呂浴びずにはいられませんでした。しかし今日は汗をほとんどかいていません。投宿後、部屋に荷物を置いただけで外に出てきました。しかるに結局風呂に入ることになるとは予想外でした。訪ねるのは「玉の湯」です。

このようなことになったそもそもの発端は、当てにしていた「いっしょう」に早仕舞いで振られたことです。そうなるに至って、まず久々に新規開拓することを着想しました。というのも、かねがね気になっている店がすぐ近くにあったのです。ところがいざ乗り込むと、これが微妙に入りづらい雰囲気でした。たとえていうなら、先日訪ねた荒木町の店のようとでもいえばよいでしょうか。通り沿いから中の様子が有り体に分かってしまい、先客がいる中でどこに入ればよいか一瞬躊躇する上に、カウンターの正面が壁や一升瓶で遮られ、場所によっては落ち着かないように見えたのです。結局踏み切れずに見送ると、界隈ではもう選択肢がありません。まっすぐ向かえばよかったものの、今からでは「いなせや 真」も時間的に半端です。
繁華街へ戻れば、深夜まで呑める店の心当たりはあるものの、そちらはそちらで是非行きたいと思うほどの意欲が湧きませんでした。というのも、例によって酒はもういいという気分だったからです。明治屋では復調の兆しを感じたものの、時間とともに酔いは次第に醒める一方、もう一軒、もう一杯という意欲が戻りませんでした。無理に呑んでも仕方ないと思い至り、趣向を変えるという決断に至った次第です。

銭湯が全国的に廃れつつある一方、今なお健在の地域が少ないながらも残っています。京都もその一つで、都内にはあり得ない密度で銭湯が点在し、しかもその多くが深夜まで開いています。中でもここは「いっしょう」の至近にあり、一度訪ねてみるのも面白そうだと思っていたのです。その機会が思いがけない形で実現することになりました。
深夜まで開いているということは、その時間に来るお客がいるということでに他なりません。暖簾をくぐると、11時過ぎでこれかと思うほどの先客がおり、その後も三々五々お客が現れては店主と挨拶を交わしています。

教祖が長年にわたる京都詣でを集大成した著作に、滞在中の過ごし方を綴った一節がありました。朝は喫茶店に行き、昼は麺類をすすり、夜は酒場で一献傾け、最後にバーへ寄って宿に戻るというものです。要は、番組でも散々紹介されてきた通りということですが、著作ではそのようになった経緯についての言及がありました。最初のうちは寺社巡りもしていたところ、いつしか現地に腰を据え、地元の人と同じように生活することに興味が移っていったという話です。もちろん全く同じにはなり得ないものの、その土地の生活感を肌で感じることに旅情があるということでしょう。
かような観点からすると、銭湯で一風呂浴びるのもまた楽しみのうちということになります。少なくとも、呑み直すことを強く欲していない今の状態を考えると、居酒屋の代わりとして何ら不足はありません。一風呂浴び、脱衣所のTVで今日の試合結果を振り返り、汗が引いたところで辞去します。

玉の湯
京都市中京区押小路通御幸町西入ル亀屋町401
075-231-2985
1500PM-2400PM
日曜定休
入浴料430円

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