日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

明かり煌めく仙台へ 2020- ICHIRYU

2020-12-30 18:32:07 | 居酒屋
仙台に着くのを二日延ばしたことによる収穫は多々ありました。ただし、代償もなかったわけではありません。暮れもいよいよ押し迫った30日、年末年始の休みに入る店は次第に増えてきます。居酒屋はさておき、問題は牛タンをどこでいただくかでした。同じく30日に訪ねた昨年は、一隆の分店が開いていて救われました。しかし、虫のよい話は二度まで起こりません。太助も雅も休んでおり、既出の中では「閣」だけが頼みの綱でした。ならばそちらへ行くかというとさにあらず。かねがね気になっていた店が開いていたため、急遽そちらに飛び込みました。
ICHIRYUなる屋号の通り一隆の系列店です。跡取りが独立して始めた店と小耳に挟みました。「なみなみ」と「久遠」がある虎屋横丁の西の外れ、年季の入った雑居ビルの二階という立地は、本店よりも分店を彷彿させるものがあります。暖簾をくぐるや、大音量で流れる音楽に面食らうも、この期に及んで後には引けず、そのままカウンターに着席。牛タン、味噌カツの二枚看板に加え、当地名物の三角揚げを筆頭にいくつかの肴を揃えた品書きは、やはり分店と同様です。ただし、宮城の地酒が揃っているのは特筆されます。その中から「特急ひばり」なる珍品を選び、然る後に牛タンをいただくという流れに落ち着きました。
この牛タンが出色です。長めの待ち時間を経て運ばれてきたのは、牛タンを山盛りにした横長の皿でした。半分ずつに切ったものが12枚あるため、実質六枚相当ということになります。それを定食にしても二千円少々なら、今のご時世においてはかなりのお値打ち品です。太助に比べやや小ぶりなところと、ご飯に白飯を奢るところは一隆の伝統を受け継ぐ一方、切り分けの厚さが一見して違います。直接比べたわけではないため確たることはいえないものの、「閣」と互角かもしれません。
あちらを引き合いにしたのは、厚く切るだけが能ではないからです。一隆の牛タンといえば、一口で噛み切れる柔らか目の食感が特徴のところ、厚く切られたこちらのタンには歯応えがあります。去年分店でいただいたハーフタンに近いといえば近いものの、噛むほど滲み出る味わいと焼き加減の絶妙さはこちらが上です。名店の技法を採り入れつつも、さらなる独自性を加えて昇華された、唯一無二の味わいでした。音楽が耳障りなのは玉に瑕ながら、それを差し置いてもまた来たいと思わせる価値がここにはあります。
店を出てから気付いたことがあります。名刺に書かれた店主の姓が佐藤、つまり分店の親方と同じなのです。本店の跡取りかと思いきや、実は分店のお身内なのでしょうか。真相のほどはいずれ再訪したときに訪ねてみることにしましょう。

ICHIRYU
仙台市青葉区国分町2-8-2 八百重ビル2F
022-266-0308
1800PM-2230PM(LO)
日祝日定休

特急ひばり
突き出し(肉じゃが・イカと山葵の和え物)
牛タン焼
定食セット
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