日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

錦繍の飛騨を行く - 鍵や

2015-11-22 00:21:15 | 居酒屋
「あんらく亭」を出た時点で時刻は11時に迫り、心当たりのある店はいずれも事実上看板となりました。呑み屋街を一から歩く余力もなく、あとは地元客が決まって飛び込む老舗のラーメン屋でもあればという状況です。しかし、呑み屋街が広い割には開いているラーメン屋がほとんどなく、上記のような注文まで付け加えると選択肢は皆無に近いものがありました。とはいえこのまま宿へ戻るのも惜しく、教祖が番組で言及していた一軒の店に飛び込みました。訪ねるのは「鍵や」です。
「紹介」ではなく「言及」と表現したのは、呑み屋街を歩く中で、以前入った店の一つとしてごく簡単に触れられたに過ぎないからで、どのような店なのかについては未知数でした。しかし、行灯にお茶漬、雑炊の文字があることからしても、呑んだ後に立ち寄り軽く一杯やる店なのは想像できます。ラーメンの代わりに雑炊をいただくつもりで暖簾をくぐると、野球場のダグアウトのごとく地面を掘った一段低いところに店内があり、年配のおばちゃんが一人で営業していました。艶やかな木材で統一された店内はよいとして、やや散らかっているのはご愛嬌といったところでしょうか。
カウンターの背面に品書きの黒板が二枚あるのは「あんらく亭」と同様ながら、その内容はお茶漬け、雑炊、味噌汁、季節料理、煮物に酢の物といった具合に大雑把で、あってないようなものといっても過言ではありません。おそらくは、腹具合を伝えた上で適当に見繕ってもらうということなのでしょう。しかし残念ながら、一軒目で腹があらかた満ちており、さらには疲労も加わって、あれこれ飲み食いする余力がありません。酒一本と雑炊だけをいただいて、高山での第一夜を締めくくりました。
おばちゃんは話し好きで、お客の顔を一度で覚えられるのが特技だそうです。目移りするほどの酒と肴はないにしても、年季の入ったカウンターで、老練なおばちゃん相手に軽く一杯やって締めくくるという点では、花見のときに訪ねた松本のうどん屋に通ずるものを感じました。高山に泊まる機会が再び巡ってきたときには、この店を最後に訪ね、今回の思い出話をさせてもらうのもよさそうです。

鍵や
高山市朝日町28
0577-32-5391

玉の井
雑炊

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